ユナが生まれたその翌日。
ーーユナ達家族はとある場所へと向かった。
第三話: 出会い(Encontro)パート1
雲一つ無い透き通る様な晴天に沢山の人がその場所に集まっていた。そこにはユナ同様沢山の赤子の姿で賑わっている。
ーー皆 、考えている事は同じみたいだ。
今私達がいるこの場所はイグレーナ、言わば教会の様な場所だ。このアソル国唯一の教会でとても大きい。
大きな時計が印象的で、今現在時刻は午前七時三十分を回っている。もうすぐ儀式が行われる時間だ。
そしてこの教会の門の前では沢山の人だかりが巨大にそびえ立つその鉄壁を今か今かと待ちわびている。
今日はここで赤子の誕生式が行われるのだ.
誕生式とは週に一度のこの日、その週に生まれた赤子達を集めて祝いの儀式を行う。日本だと誕生式は馴染みが無いがこちらでは赤ん坊なら誰もが通る大事な行事だ。(だが近い物で例えるならお七夜だろう)
ーーゴーンーゴーンー...
鈍いイグレーナの鐘の音が町中に響き渡る。
ーーギィィィィ.....
大きくそびえ立つイグレーナの門が不協和音を奏でながら開かれる。
それにつられ、待ちくたびれた言わんばかりの民衆が重い腰を上げ、ぞろぞろとその門の中に入っていく。
すると幼い姿のキーナ姉ちゃんが楽しそうに:
「見て見て! 皆ソンブラに飲み込まれて行くよ!」
と門に入っていく人々を指差して言った。
ソンブラとは古くからこの国に伝わる童話で、父が良く私達に寝る前に話してくれる物語だ。主な内容はソンブラと呼ばれる黒い影が悪い人達を飲み込んでしまうお話。
「いいか?お前達も悪い事をしたらソンブラに飲み込まれちゃうんだぞ」
と父がソンブラに飲み込まれる悪人並みの面で良く私達に言い聞かせていた。
確かにその巨大な門はまるで作中に出てくるソンブラの様に、入って行く人達みんな吸い込まれる様に消えていく。
「ねえ!私達も早く行こうよ!! 」
と好奇心旺盛な姉はその彼女の明るさを表すかの様に赤く肩まである長さの髪を踊らせながら急かす様に言う。
(流石私の姉,子供の頃から可愛い)
すると父がお姉ちゃんを持ち上げ、肩車をする。
「よしそれじゃあ俺達も行くか!」
「うん!!」
すると何の躊躇いも無く姉は父とイグレーナの門まで向かう。髪の明るさといい活発な性格は誰に似たのか明白だ。
「全く二人ともはしゃいじゃって、それじゃあ私達も行きましょう。ロン」
その二人の後を追うように母は赤ん坊の私を抱え歩きだした。
だが一歩歩いた所で母は異変を感じた.後ろを振り返るとロン兄ちゃんは立ち止まったまま動こうとしない。
「ロン..? どうしたの?」
そこには今にも泣きそう(と言うか半べそ)にしている幼い姿があった。
青く澄んだその目は太陽の光と涙が合間ってキラキラと宝石の様に輝く。姉とは対称的にそして母と同じ青いその髪は兄の沈んだ気持ちを表してる様だ。
「僕いぎだぐない..だってソンブラが... 」
ロン兄ちゃんは涙声で母に訴えかける。
母は全てを察したのか両手で私を抱えていたその手を片手に変え空いた手で兄ちゃんの小さな手を握った。
「怖がらなくて大丈夫よ、それにあの門を潜れば素敵な物が見れるわ」
するとグズっていた兄が母を見上げ、
「本当にホント?」
と不安そうに聞く。
私の兄は姉と比べ怖がりだ、ソンブラの話をする時も楽しそうな姉に比べ兄は心底怯えながら聞いている。
まあ...正直な話、多分お兄ちゃんのヘタレは半分父親のせいな気がするが...
「大丈夫よロンは良い子だから心配無いわ」
「それに... 」
「貴方のお父さんとは後で話合わないと...ね? 」
顔は笑っていたが声はガチトーンだった。
それを悟ってか否や兄ちゃんから涙が消えた...
そう言って母はロン兄ちゃんの手を取り、私を抱きしめながらイグレーナの門を潜った。
ーーユナ達家族はとある場所へと向かった。
第三話: 出会い(Encontro)パート1
雲一つ無い透き通る様な晴天に沢山の人がその場所に集まっていた。そこにはユナ同様沢山の赤子の姿で賑わっている。
ーー皆 、考えている事は同じみたいだ。
今私達がいるこの場所はイグレーナ、言わば教会の様な場所だ。このアソル国唯一の教会でとても大きい。
大きな時計が印象的で、今現在時刻は午前七時三十分を回っている。もうすぐ儀式が行われる時間だ。
そしてこの教会の門の前では沢山の人だかりが巨大にそびえ立つその鉄壁を今か今かと待ちわびている。
今日はここで赤子の誕生式が行われるのだ.
誕生式とは週に一度のこの日、その週に生まれた赤子達を集めて祝いの儀式を行う。日本だと誕生式は馴染みが無いがこちらでは赤ん坊なら誰もが通る大事な行事だ。(だが近い物で例えるならお七夜だろう)
ーーゴーンーゴーンー...
鈍いイグレーナの鐘の音が町中に響き渡る。
ーーギィィィィ.....
大きくそびえ立つイグレーナの門が不協和音を奏でながら開かれる。
それにつられ、待ちくたびれた言わんばかりの民衆が重い腰を上げ、ぞろぞろとその門の中に入っていく。
すると幼い姿のキーナ姉ちゃんが楽しそうに:
「見て見て! 皆ソンブラに飲み込まれて行くよ!」
と門に入っていく人々を指差して言った。
ソンブラとは古くからこの国に伝わる童話で、父が良く私達に寝る前に話してくれる物語だ。主な内容はソンブラと呼ばれる黒い影が悪い人達を飲み込んでしまうお話。
「いいか?お前達も悪い事をしたらソンブラに飲み込まれちゃうんだぞ」
と父がソンブラに飲み込まれる悪人並みの面で良く私達に言い聞かせていた。
確かにその巨大な門はまるで作中に出てくるソンブラの様に、入って行く人達みんな吸い込まれる様に消えていく。
「ねえ!私達も早く行こうよ!! 」
と好奇心旺盛な姉はその彼女の明るさを表すかの様に赤く肩まである長さの髪を踊らせながら急かす様に言う。
(流石私の姉,子供の頃から可愛い)
すると父がお姉ちゃんを持ち上げ、肩車をする。
「よしそれじゃあ俺達も行くか!」
「うん!!」
すると何の躊躇いも無く姉は父とイグレーナの門まで向かう。髪の明るさといい活発な性格は誰に似たのか明白だ。
「全く二人ともはしゃいじゃって、それじゃあ私達も行きましょう。ロン」
その二人の後を追うように母は赤ん坊の私を抱え歩きだした。
だが一歩歩いた所で母は異変を感じた.後ろを振り返るとロン兄ちゃんは立ち止まったまま動こうとしない。
「ロン..? どうしたの?」
そこには今にも泣きそう(と言うか半べそ)にしている幼い姿があった。
青く澄んだその目は太陽の光と涙が合間ってキラキラと宝石の様に輝く。姉とは対称的にそして母と同じ青いその髪は兄の沈んだ気持ちを表してる様だ。
「僕いぎだぐない..だってソンブラが... 」
ロン兄ちゃんは涙声で母に訴えかける。
母は全てを察したのか両手で私を抱えていたその手を片手に変え空いた手で兄ちゃんの小さな手を握った。
「怖がらなくて大丈夫よ、それにあの門を潜れば素敵な物が見れるわ」
するとグズっていた兄が母を見上げ、
「本当にホント?」
と不安そうに聞く。
私の兄は姉と比べ怖がりだ、ソンブラの話をする時も楽しそうな姉に比べ兄は心底怯えながら聞いている。
まあ...正直な話、多分お兄ちゃんのヘタレは半分父親のせいな気がするが...
「大丈夫よロンは良い子だから心配無いわ」
「それに... 」
「貴方のお父さんとは後で話合わないと...ね? 」
顔は笑っていたが声はガチトーンだった。
それを悟ってか否や兄ちゃんから涙が消えた...
そう言って母はロン兄ちゃんの手を取り、私を抱きしめながらイグレーナの門を潜った。