XXXX年 七月 二十七日。

深夜二十四時五十八分。

――日本 、埼玉県行田市総合病院でゆかり()が生まれた。

二千三百グラム 四十センチと小さな体で 、だが健康的に大きな泣き声を上げながら生まれたそうだ。

その証拠として 、アルバムにガチガチに緊張しながら私を抱いている若かかりし頃の父親とその姿を見て盛大に爆笑している若い母の写真が貼られている。

――もちろん 、生まれた時の記憶は無い。

だが...

両親いわく生まれた時の私は天使の様に可愛かったらしい。

今はもう可愛くないのか(泣)。

そしてもう一言 、言わせて欲しい。

――生まれた時の私 、メッチャ不細工。

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そして同日同時刻 、全く異なる世界:

アソル国に

――ユナ()が生まれた。
現実世界みたいに写真等は無いが...

私の出産を手伝ってくれたフイジ伯母さん(ユナのお母さんのお姉さん)がその時の様子を見せてくれた。

どうやってかと言うと伯母さんの魔法で。ユナの母 、ナジャの家系は魔法を操る言わば魔女や魔法使いの一族。

そしてフイジ伯母さんは過去を見てそれを他者に見せる事が出来るのだ。

( 今 、アニメの見逃しや録画し忘れた時に使えると思ったそこの貴方。過去を見れると言っても長くて五分。勿論現実世界でも使えるのでは?と試みましたが
............
駄目でした。泣)

これ(魔法)について話すと長くなってしまうので説明についてはまた今度。

他者が過去を見る方法はこの魔法を使える相手の手を握り目を瞑る事。

――私は彼女の手を握り目を閉じた。

黒く染まっていた視界に色が付き映像が現れる。

その私の目の前には 、

私...ユナであろう小さな命を大事に抱えているフイジ伯母さんがそこにいた。

「ナジャ.生まれたよ...元気な女の子だ!」

――赤ん坊の泣き声が脳裏に響く。

「んぎゃ..んぎょええええんあああ!!!」

え..待って.これホンマに私?.泣き声がなんかヤバいんだけど...

(まさか、ゆかりとして生まれた時もこん な泣き声だったのか...?)

そんな考えが頭をよぎったが...

――私はそれについて考えるのを止めた。

フイジ伯母さんは私の兄であるロン兄ちゃんと姉であるキーナ姉ちゃんの出産も手伝ってくれたらしい。

そしてフイジ伯母さんは、汗だくになった母の手元にそっと私を置く。

涙を目に浮かべながら母は満面の笑みで私に :
「産まれて来てくれてありがとね... 」

とユナに向かって優しく囁いた。



あー....



すみません読者の皆さん...



今ちょっと涙腺崩壊しかけてるんで、少し待ってもらえますか?..







ぐすっ...







....オーケー 、もう大丈夫です話を戻します。



「見て皆元気な子よ 」



母がそう言うと 、

この頃まだ小さかったキーナ姉ちゃんとロン兄ちゃんがユナの顔を覗き込んだ。

目をキラキラ輝かせ 、まるでお菓子が沢山詰まった宝箱を開けた瞬間の時の様にその姿に魅入っていた。

「凄く可愛いー! 」とロン兄ちゃん。
「天使みたいね!! 」 とキーナ姉ちゃん。

えへっ 、
でへへへへ 、いやはや照れますな。(by私)

そんな事を考えていたとき 、

二人の背後にデカイ図体の大熊が私を見つめていた。

そして...

「うおおおおおん!!よく頑張ったなナジャ! !」 。

あ,違いました.大熊では無く我が父でした。

図体はデカイがかなりの泣き虫の私の父 、ガウロ。

きっと私の泣き声は父親譲りだろう。

――まさかゆかりの父も泣きむs...

「ほらガウロ、貴方も抱いてあげて」

そう言うと母は私を父親にバトンタッチした。やはり兄と姉の二人の子供がいるので手慣れている様子だった。

大きな腕に包まれ 、さっきまで泣いていた私は安心して眠っていた。

その寝顔を優しく見つめる家族に私は心が暖かくなった。

愛されているんだなと実感した。環境も家族も全然違うけれども 、どちらも大好きで大切な家族だ。

――こうして二つの家族に愛されながら、二人の私が生まれた。