って、俺は何を口走っている。

柄にもなく大声をあげてまで。

――そうまでしてでも、さゆを泣かせてしまったことを取り返したかった。

「……ごめん、俺、ほんと感情表現ヘタで……」

頭を抱えたくなるくらいだ……。

「……晃くん、こっち来て」

さゆに腕を摑まれて、ソファの方へ連れて行かれた。

「こっち。横向きで座って」

謎の指示をされて、でも今、分が悪い身として素直に言う通りにした。

二人掛けのソファの右半分に横向きに座ると、さゆが反対側――背中を合わせて、俺の反対を向いて座った。

……さゆの顔は見えないけど、直に体温がわかる。

これもなかなか気恥ずかしいんだけど……。

「嬉しかった」

「……え?」

「晃くんが幸せだって言ってくれて、嬉しかった。私、心を開いて話せる人って正直少ないし、凛ちゃんや琴ちゃんにも全部は話せてないし。……私のこと全部知ってるのは晃くんだけで、自分から話したのも晃くんだけだから、その……私が重荷になってないかなって、ずっと心配だった。だから、一緒にいて幸せとか、言ってもらえてうれしかった。……今から泣くから!」

「なんでっ」

「うれし泣き! うれし泣きなら、泣いてもいいでしょ?」

いい、のか……? でも、それはさゆを傷つけているわけではないから……。

「……いいけど、この格好で?」

「泣いてるところ、ライバルに見られたくないもん。でも晃くんの所為で泣くわけだから、傍にいてほしい」

「複雑だな……。でも、さゆのことなら何でも責任取るから、いくらでもどーぞ」

「……途中でいなくならないでよ?」

「ならないよ。ずっとここにいる」

ずっと、いくらでも、さゆに俺が必要なくなるまで。

……ずっと、さゆの傍にいるよ。