「東三七 菊音。あなたは我が国の大規模な事業に参加し、見事に結果を残しました。ここに表彰します」
パチパチパチパチパチ
今までで一番最悪な表彰だ。
今まで、幾度となく私は表彰されてきた。
だが、こんなに心に響いてこない表情など初めてだ。
私の心はこんなにも暗く沈んでいる。
だが、周りの人たちはそんなものなど知らず拍手をしている。
父親に上手く扇動されている。
その拍手が声援が憧れが視線がより私の心を暗く沈ませる。
本当にこれで良いんだろうか。
表彰式はいつもより長く感じた。
「凄いですね、菊音さん」
「国から表彰されたって.....すごいしか言葉がないよ」
「さすが、私たちの生徒会長ですね!」
「私女子だけど、菊音さん好きになりそう.....」
鬱陶しい。
あなた達のその無邪気な気持ちが私を苦しませる。
彼らは事情を知らない。
聞かせられてるのは私が大きな成功を収めたということ。
いや、AIに新たな可能性を見いだしたというところまでは聞かせられている。
ただ、そこだけだ。
都合のいい部分だけ切り取られ、重要な部分は知らない。
__でも、機械だから良いんじゃんない?
喝采に釣られて、一瞬そう思ってしまった。
だが、それは違う。
私が一番許せないのは.....機械を無惨に使ったことでもなく、周りの人たちに嘘を吹聴したわけでもない。
一番許せないのは、私の心を弄んだことだ。
PIPUは私の親友だった。
たった一人の親友であり家族であり.....。
「流石ね菊音さん」
「憧れちゃうわ」
うるさいな。
本当にうるさい。
彼らは悪くないとは分かっていても、怒りがどんどん増幅していく。
うるさい。
うるさいうるさいうるさい。
うざい。
「うるさい!!」
「え.....?」
や、やばっ。
つい口に出ちゃった。
どうしよう、場が一気に静まり返ってる。
「あ.....な、なんでもない.....」
「っ.....!」
駄目だ。
教室に居られない。
静かな圧が、悲しみが私を襲う。
ひとまず、家に帰ろう。
_________________________________________________________
「.....PIPU」
私は学校から抜け出し、家に帰った。
両親に知られたら怒られるだろうな。
いや、怒られないか。
彼らが好きなのは私じゃなくて、私の役職なのだから。
AIに感情を付けるという大事業を成し遂げたのだ、少し間は私ことを大目に見てくれるだろう。
勉強をしなくても、夜更かししても、ゲームをしても.....。
私には自由が与えられた。
でも、こんな自由は望んでいなかった。
私は.....何をやっても心が満たされないだろう。
PIPUがいないと、全てがつまらなく感じる。
私は、いつの間にかPIPUに依存していたようだ。
「はは.....PIPU、会いたいよお.....」
PIPUは今、研究所にいるだろう。
どこかの研究所に開発をされているだろう。
研究所.....。
一つ心当たりがある。
父が家庭の中で何度と出した研究所が。
父が私を放り出して、何度と入り浸っていた研究所が。
もしかしたら、そこに.....PIPUがいるかもしれない。
「いくか.....」
生き方は知っている。
極秘ではあるが、少し前に父の部屋のパソコンでその研究所をこっそり見たのだ。
場所は確か、ここから少し離れた場所にある。
「.....よし」
行くか、研究所へ。
パチパチパチパチパチ
今までで一番最悪な表彰だ。
今まで、幾度となく私は表彰されてきた。
だが、こんなに心に響いてこない表情など初めてだ。
私の心はこんなにも暗く沈んでいる。
だが、周りの人たちはそんなものなど知らず拍手をしている。
父親に上手く扇動されている。
その拍手が声援が憧れが視線がより私の心を暗く沈ませる。
本当にこれで良いんだろうか。
表彰式はいつもより長く感じた。
「凄いですね、菊音さん」
「国から表彰されたって.....すごいしか言葉がないよ」
「さすが、私たちの生徒会長ですね!」
「私女子だけど、菊音さん好きになりそう.....」
鬱陶しい。
あなた達のその無邪気な気持ちが私を苦しませる。
彼らは事情を知らない。
聞かせられてるのは私が大きな成功を収めたということ。
いや、AIに新たな可能性を見いだしたというところまでは聞かせられている。
ただ、そこだけだ。
都合のいい部分だけ切り取られ、重要な部分は知らない。
__でも、機械だから良いんじゃんない?
喝采に釣られて、一瞬そう思ってしまった。
だが、それは違う。
私が一番許せないのは.....機械を無惨に使ったことでもなく、周りの人たちに嘘を吹聴したわけでもない。
一番許せないのは、私の心を弄んだことだ。
PIPUは私の親友だった。
たった一人の親友であり家族であり.....。
「流石ね菊音さん」
「憧れちゃうわ」
うるさいな。
本当にうるさい。
彼らは悪くないとは分かっていても、怒りがどんどん増幅していく。
うるさい。
うるさいうるさいうるさい。
うざい。
「うるさい!!」
「え.....?」
や、やばっ。
つい口に出ちゃった。
どうしよう、場が一気に静まり返ってる。
「あ.....な、なんでもない.....」
「っ.....!」
駄目だ。
教室に居られない。
静かな圧が、悲しみが私を襲う。
ひとまず、家に帰ろう。
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「.....PIPU」
私は学校から抜け出し、家に帰った。
両親に知られたら怒られるだろうな。
いや、怒られないか。
彼らが好きなのは私じゃなくて、私の役職なのだから。
AIに感情を付けるという大事業を成し遂げたのだ、少し間は私ことを大目に見てくれるだろう。
勉強をしなくても、夜更かししても、ゲームをしても.....。
私には自由が与えられた。
でも、こんな自由は望んでいなかった。
私は.....何をやっても心が満たされないだろう。
PIPUがいないと、全てがつまらなく感じる。
私は、いつの間にかPIPUに依存していたようだ。
「はは.....PIPU、会いたいよお.....」
PIPUは今、研究所にいるだろう。
どこかの研究所に開発をされているだろう。
研究所.....。
一つ心当たりがある。
父が家庭の中で何度と出した研究所が。
父が私を放り出して、何度と入り浸っていた研究所が。
もしかしたら、そこに.....PIPUがいるかもしれない。
「いくか.....」
生き方は知っている。
極秘ではあるが、少し前に父の部屋のパソコンでその研究所をこっそり見たのだ。
場所は確か、ここから少し離れた場所にある。
「.....よし」
行くか、研究所へ。