ここはとある会議室。
その会議室には政府の重要役人で占められていた。
各国に宣戦布告してから数時間が経過。
彼らはその戦争をどのようにして勝利するか白熱した議論が行われていた。
「東三七 士野さん。まずは、研究が成功しておめでとうございます」
「ありがとうございます。財務長。長年私が研究していたものが今年でようやく成功し、嬉しい限りです」
そう、高価な服装で包み、髭を生やした男は言った。
その男の名は東三七 士野。
菊音の父親だった。
彼もまたこの会議の参加者であった。
「さて.....道井くん。前線で戦っているAIの様子はどうなっているんだ?」
「はい!ただ今のところ.....。えっ!?」
「どうした?道井くん」
士野のマネージャーと思わしき男は謎の媒体を見て声を上げた
「そ、それが.....次々に戦闘を停止し、撤退していっています」
「な.....なんだと!」
「どういうことだ!?」
「人工知能には特殊な機械を埋めて、我々に忠実ではなかったのか!?」
その男の発言により、政府の役人は資料をめくる手の動きを止めた。
そして、その男に詰め寄った。
「.....洗脳している反応が消えています」
「なっ.....。なぜ.....。そのAIを動かしている機械を操っているのは我々以外いないはずだぞ。裏切者が出ない限り
命令に逆らうというのは不可能なはずだ!」
「いえ、この反応は.....PIPUからの操作です。恐らく、PIPUがAIたちの洗脳を解いたのだと思います」
「なっ.....。なに!?」
バン!
その瞬間、その会議室のドアが勢いよく開け放たれた。
「お父さん、もう止めて!」
ドアを乱暴に開けたその人は臆することなく会議室へ入り、士野に向けてそう言った。
その女は士野にそっくりな顔であった。
東三七 菊音。
そう、その会議室に入ってきたのは士野の娘であった。
「なぜ.....お前が。いや、AIの洗脳を解いたのは.....菊音か!?」
「うん。正解」
父の鬼気迫った質問に菊音はさらりと答えた。
「PIPUの洗脳を解いて、そしてPIPUが他のAIの洗脳を解かせたんだよね」
「な.....」
「どうやって洗脳を解いたかは知らんが。なぜ、こんなことをやったんだ?黙ってれば、皆から表彰されて。
そして、私の会社を継いでたんだぞ。菊音には、お金に困らない人生が待っていたんだぞ。それを.....なぜ棒に振る.....」
「うるせえよ.....」
「え.....?」
「うるせえって言ったんだよ。私は会社を継ぐ気はない。私は自分のラーメンの支店を作る。それが私の夢だ!」
「私は自由だ、誰にも縛られることがない。私は.....私だ、お前らが作った完璧な娘じゃない。私だ!」
「あ.....」
衝撃の発言の数々に父の呼吸は止まった。
「そして、今すぐにこの戦争を止めろ!お前らがやったことは全部市民に話してある」
「なっ.....」
「士野さん!!この建物の外に大群衆が出来ています。そして、SNSでは政府への批判で盛り上がっています!」
そう、窓の外を見て誰かが言った。
その通り、外には大群衆が建物を囲んでいる光景がある。
プラカードを掲げて、戦争を止めろというコールが飛んでいる。
「もう既に民間との間で各国と講和が進んでいます」
「ぬ.....ぬぬぬぬぬぬ.....」
「父、いや士野。私は私の人生を歩む。お前に操る権利はない」
「ぐ.....」
カチャ
口論の中、そんな金属が擦りあう音が響いた。
その直後、誰かが腰から銃を取り出し菊音にその銃口を向けた。
「死ね、菊音!」
「あ.....」
菊音はすぐさま、その方へ向けたが間に合わなかった。
銃から放たれたその弾は空間を貫き、真っすぐに菊音の方へ向かう。
「菊音!」
その弾は菊音の体を貫くかと思われた。
だが、その1秒後。
弾はPIPUの体を貫いた!
「PIPU!」
PIPUが菊音の前に出て、身代わりになったのだ。
「菊音.....」
「動かないで!今、止血するから」
菊音はすぐさま、彼女の元へ駆けよった。
貫かれた部分を抑える。
だが、悲しくもそこからは激しく油が出るばかりであった。
「菊音.....私も死ぬみたい」
「え.....」
「だから、最後に少しだけ言わせて」
「私、菊音の家に来て良かった」
「私達、いつまでも恋人だよ」
「PIPU!」
彼女の声もむなしく。
PIPUの目からは光が無くなり、黒く染まっていく。
それと同時にほんのりとした温かみは徐々に消えて、冷たくなっていった。
「PIPU.....」
_________________________________________________________
20XX年
東三七 菊音。
彼女はある大学へ進学した。
その大学は料理を専門とする大学。
その大学は菊音が行きたがっていたが、両親が反対していた大学だった。
だが、彼女は今日その大学の門をくぐる。
それと同時に彼女はその大学から漂う料理の数々の香りを堪能した。
「ふう.....」
それと同時にこれまでどれだけ苦労してきたか振り返った。
あの後、父は逮捕され、母はおかしくなり精神病院に移動。
彼女は一人身となった。
だが、政府の援助もあい彼女は復活。
「.....良い天気」
そう彼女は青く晴れ渡った空を見上げて言った。
もう、自分には両親がいない。
縛り付けていた存在がいなくなった。
だが、彼女は恐れることを知らなかった。
彼女には友達がいる。
PIPUは死んだが、本当の自分を知った友達がいる。
「.....」
彼女はとある写真を取り出した。
それは、アイドルのポスターとの写真。
その写真にはもう一人誰かが写っていた。
前までは一人で撮っていた。
だが、その写真にはオタク仲間が写っている。
その自分の満面とした笑みを見て、こう菊音は思った。
少しだけ息がしやすくなった気がした。
その会議室には政府の重要役人で占められていた。
各国に宣戦布告してから数時間が経過。
彼らはその戦争をどのようにして勝利するか白熱した議論が行われていた。
「東三七 士野さん。まずは、研究が成功しておめでとうございます」
「ありがとうございます。財務長。長年私が研究していたものが今年でようやく成功し、嬉しい限りです」
そう、高価な服装で包み、髭を生やした男は言った。
その男の名は東三七 士野。
菊音の父親だった。
彼もまたこの会議の参加者であった。
「さて.....道井くん。前線で戦っているAIの様子はどうなっているんだ?」
「はい!ただ今のところ.....。えっ!?」
「どうした?道井くん」
士野のマネージャーと思わしき男は謎の媒体を見て声を上げた
「そ、それが.....次々に戦闘を停止し、撤退していっています」
「な.....なんだと!」
「どういうことだ!?」
「人工知能には特殊な機械を埋めて、我々に忠実ではなかったのか!?」
その男の発言により、政府の役人は資料をめくる手の動きを止めた。
そして、その男に詰め寄った。
「.....洗脳している反応が消えています」
「なっ.....。なぜ.....。そのAIを動かしている機械を操っているのは我々以外いないはずだぞ。裏切者が出ない限り
命令に逆らうというのは不可能なはずだ!」
「いえ、この反応は.....PIPUからの操作です。恐らく、PIPUがAIたちの洗脳を解いたのだと思います」
「なっ.....。なに!?」
バン!
その瞬間、その会議室のドアが勢いよく開け放たれた。
「お父さん、もう止めて!」
ドアを乱暴に開けたその人は臆することなく会議室へ入り、士野に向けてそう言った。
その女は士野にそっくりな顔であった。
東三七 菊音。
そう、その会議室に入ってきたのは士野の娘であった。
「なぜ.....お前が。いや、AIの洗脳を解いたのは.....菊音か!?」
「うん。正解」
父の鬼気迫った質問に菊音はさらりと答えた。
「PIPUの洗脳を解いて、そしてPIPUが他のAIの洗脳を解かせたんだよね」
「な.....」
「どうやって洗脳を解いたかは知らんが。なぜ、こんなことをやったんだ?黙ってれば、皆から表彰されて。
そして、私の会社を継いでたんだぞ。菊音には、お金に困らない人生が待っていたんだぞ。それを.....なぜ棒に振る.....」
「うるせえよ.....」
「え.....?」
「うるせえって言ったんだよ。私は会社を継ぐ気はない。私は自分のラーメンの支店を作る。それが私の夢だ!」
「私は自由だ、誰にも縛られることがない。私は.....私だ、お前らが作った完璧な娘じゃない。私だ!」
「あ.....」
衝撃の発言の数々に父の呼吸は止まった。
「そして、今すぐにこの戦争を止めろ!お前らがやったことは全部市民に話してある」
「なっ.....」
「士野さん!!この建物の外に大群衆が出来ています。そして、SNSでは政府への批判で盛り上がっています!」
そう、窓の外を見て誰かが言った。
その通り、外には大群衆が建物を囲んでいる光景がある。
プラカードを掲げて、戦争を止めろというコールが飛んでいる。
「もう既に民間との間で各国と講和が進んでいます」
「ぬ.....ぬぬぬぬぬぬ.....」
「父、いや士野。私は私の人生を歩む。お前に操る権利はない」
「ぐ.....」
カチャ
口論の中、そんな金属が擦りあう音が響いた。
その直後、誰かが腰から銃を取り出し菊音にその銃口を向けた。
「死ね、菊音!」
「あ.....」
菊音はすぐさま、その方へ向けたが間に合わなかった。
銃から放たれたその弾は空間を貫き、真っすぐに菊音の方へ向かう。
「菊音!」
その弾は菊音の体を貫くかと思われた。
だが、その1秒後。
弾はPIPUの体を貫いた!
「PIPU!」
PIPUが菊音の前に出て、身代わりになったのだ。
「菊音.....」
「動かないで!今、止血するから」
菊音はすぐさま、彼女の元へ駆けよった。
貫かれた部分を抑える。
だが、悲しくもそこからは激しく油が出るばかりであった。
「菊音.....私も死ぬみたい」
「え.....」
「だから、最後に少しだけ言わせて」
「私、菊音の家に来て良かった」
「私達、いつまでも恋人だよ」
「PIPU!」
彼女の声もむなしく。
PIPUの目からは光が無くなり、黒く染まっていく。
それと同時にほんのりとした温かみは徐々に消えて、冷たくなっていった。
「PIPU.....」
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20XX年
東三七 菊音。
彼女はある大学へ進学した。
その大学は料理を専門とする大学。
その大学は菊音が行きたがっていたが、両親が反対していた大学だった。
だが、彼女は今日その大学の門をくぐる。
それと同時に彼女はその大学から漂う料理の数々の香りを堪能した。
「ふう.....」
それと同時にこれまでどれだけ苦労してきたか振り返った。
あの後、父は逮捕され、母はおかしくなり精神病院に移動。
彼女は一人身となった。
だが、政府の援助もあい彼女は復活。
「.....良い天気」
そう彼女は青く晴れ渡った空を見上げて言った。
もう、自分には両親がいない。
縛り付けていた存在がいなくなった。
だが、彼女は恐れることを知らなかった。
彼女には友達がいる。
PIPUは死んだが、本当の自分を知った友達がいる。
「.....」
彼女はとある写真を取り出した。
それは、アイドルのポスターとの写真。
その写真にはもう一人誰かが写っていた。
前までは一人で撮っていた。
だが、その写真にはオタク仲間が写っている。
その自分の満面とした笑みを見て、こう菊音は思った。
少しだけ息がしやすくなった気がした。