「.....」

話した.....。
全部。

私の将来の夢、両親のこと、PIPUとの生活、父の目的、この研究所の意図。
全て話した。
こんなにスッキリした気持ちになったのはいつぶりだろう。

「それじゃあ、あのCMでよく出てくるロボットっていうのは.....」

「私の親友なの」

「酷い.....」

「人間のやることじゃない.....」

こんなに気分が晴れやかになったのは何年ぶりだろう。

プルルルルルルルルル

うん.....?
この音の正体は一体何だろう。
通知とも違う、この独特な。
気分を不快にさせるような、耳に残るようなこの音は。

しかも、一つの機会から鳴っているわけではない。
全員が持っているスマホからその音が鳴っている。

「皆、スマホをひらいて!」

【緊急通知】

我々日本国は感情を持つ軍事ロボット、NAMBERを完成しました。
これより、今から日本国は全ての国に対して宣戦布告します。
軍事ロボットを使い各国に侵略します。

国会は死にました。
これより、我々統制党が仕切る独裁国家へと生まれ変わります。
日本国民の皆さんは速やかに県の指示に従ってください。

「なにこれ.....」

これは一体。
スマホの画面を見たら、こんな通知が流れてきた。
フェイクだと疑いたくなるような内容の。
だが、その発信元が正式な政府のアカウントだと気付いたときは事の重大さがようやく理解できた。

「皆、ニュースや動画サイト見て。大変なことになってる!」

ニュースの一番は『我が国、他国に宣戦布告』という記事が。
動画サイトでは政府が他国へ侵略する旨を伝えている。

今、何がどうなってるんだ.....。

「ギギギギギ.....。主人よりA地点へ集合という命令を承りました。今から、速やかに移動します」

まずい。
急にPIPUが動き始めた。

今すぐに何とかしないと、PIPUはどこかへ行ってしまいそうだ。
十人がかりで押さえつけているのに、PIPUは押し返している。

「会長!どうしましょう、急にPIPUが動き始めてます!」

「落ち着いて!」

軍事ロボットはPIPUがベースになっている。
だから、PIPUの洗脳を解けば.....ロボットの暴走を止められるかもしれない。
私たちで戦争を止められるかもしれない。

PIPUの洗脳を解くには。
一つだけ方法がある。

それは、私一人だけではできない。
皆の力が必要だ。

以前の私なら逃げだしていたかもしれない。
自分で抱え込んでいたかもしれない。

だけど、今は違う。
私には頼れる仲間がいる。

「皆.....今度は私が皆を頼ってもいい」

「勿論!」

「.....!」

「俺らをは仲間だ。だから、会長は仲間に頼ってください」

「ありがとう.....」

「じゃあ、半数は町の人たちにロボットの事実を伝えて。残りの半数はここに残って.....私を手伝って欲しい」

「お願いできる.....?」

「はい!」

「ありがとう!」