「……ここが重要倉庫か……」
随分頑丈なセキュリティだなと思いながら、倉庫の鍵を開けた。
そこには一つだけ箱があった。
箱を開けると、中には『月毎の売り上げ』と書かれた書類が沢山しまってあった。
「多……早く戻るか」
その書類を全部取り、俺は重要倉庫を後にした。


スラスラとシャーペンを走らせ、表をうめていく。
意外と早く終わりそうだな……。
そう思いながら作業をしていると、雲莉がひょこっと顔を覗かせた。
「どうだ?順調か?」
首をかしげてそう聞く雲莉に、俺は「順調だよ」と答えた。
「そうか、助かったよ。じゃあもう閉店だし、そろそろ帰っていいからな。閉店の準備をするから、お前はもうちょっとで帰ってくれな」
そう言って雲莉は部屋をバタバタと出て行った。
「……はぁ」
ため息をついて、帰る準備をゆっくり始めた。
「……太陽、どうしてるのかなぁ。今頃堀内と、デートしてるのかなぁ」
そんな事を考えていると、いつの間にか帰る準備が終わった。
「雲莉ー、俺、帰るな」
そう言うと、雲莉の、「気をつけてなー」という声が聞こえた。


ガチャリと扉を閉め、自分の家に向かう。
「……はぁ、疲れた」
一人呟きながらゆっくりと歩く。
すると、聞き慣れた声が聞こえてきた。
「……三日月?どうしたの、曇り書店に行ってたの?」
……太陽……っ。
「……あ、そうだ!私の家来ない?三日月に渡したい物があってーー」
「お前はもう話しかけるな。もうーー仲良くできる自信がないんだっ……!」
そう言った俺は、ちらりと太陽を見る。
すると、太陽はひどく傷ついているような、戸惑っているような顔をした。
……ごめん、太陽っ……ううっ、ごめ、ん……!
「三日月ーー」
「もう、俺に金輪際関わってくるな。じゃあな」
そう強引に話を締めて、俺は逃げるようにその場を去った。