「三日月ぃ~!俺、太陽ちゃんに好きになってもらえるか不安なんだけど~!」
雲莉は泣きながら俺に抱きついてきた。
「大丈夫だよ。お前基本太陽には優しいから。な、元気出せ。こんなカッコ悪いところ見られて嫌われるのは自分だぞ?」
「分かってるけどぉ……ううぅ……」
まだ雲莉は泣いている。
雲莉は太陽の事になるとすぐ過保護になる。そんな雲莉はまるで太陽の従者のようだ。
「元気出せ、俺は応援してるからさ。な?」
そう言うと、雲莉は元気が出たのか涙を引っこめこう言った。
「ありがとう三日月……こんな良い友達を持ったのは、凄く運が良いよ」
そう言われると、少し照れくさいな……。
「あ、ありがとな。じゃあお前は席戻れ。そろそろ授業も始まるし、太陽も来てしまうだろう」
「そうだな。じゃ、また後でな三日月」
そう言って雲莉は席に戻っていった。


『キーンコーンカーンコーン。キーンコーンカーンコーン』
「ジャアジュギョウヲハジメマス。ミナサンセキニツイテクダサイ」
チャイムが鳴ると同時に外国人の先生が教室に入ってきた。
そうか、たしか一限目って英会話のテストだったな……。
「……最悪だ……ううっ……」
隣の席の大平(おおひら)がそう唸っている。
「ヨルノサン、ベッシツニドウゾ」
そうこう考えていると、隣の部屋から声が聞こえてきた。ついに俺の番だ。
「……may I comein?(入っても良いですか?)」
ドアをノックしてそう言う。
すると、「OK!」という声が返ってきた。
「hello melsateacher how are you?(こんにちはメルサ先生。気分はどうですか?」
「helloMr.yoruno.I'mfine.thanks.good-bye.(こんにちは夜野さん。私は元気です。ありがとうございます、さようなら)」
そんなこんなで英会話のテストが終わり、俺は教室に戻り、席に座った。
「……なぁなぁ夜野。英会話、どうだったんだ?合格したのか?」
隣の席の大平がそう小さく聞いてきた。
「別に何も言われてねぇけど……。どうかしたのか……?」
俺は大平に小さく返すと、大平は、「そうか、ごめん」と言って、前を向いていた。