時間は工藤が広場に舞い戻るほんの数分前に巻き戻る。
「!!?」
工藤は一体自分の身に何が起こったのか理解出来ないでいた。
空を滑空していた筈の体は地に足を着き、気づけばただ茫然と目の前の景色を見つめていたのだ。
「――ここは……?」
目の前に広がるのはグレイの世界。そうだ。あの時の牢獄の世界にも似た世界だった。
もちろん全く同じ場所では無いがこの色の無さが自分がいる世界があの時と全く同じ世界なのだと思わせる。
それはそれとして。にしても工藤は何故急に、再びこんな所へと来てしまったのか。
周りを見渡せど視界に入り込む景色は何も無い。
ただただグレイな空間が果てしなく広がっているだけだ。
だがそれでも工藤はここが妙に温かい空間のような気がしていた。
傷んだ彼の心をゆったりと優しく包み込んでくれるような。そんな心持ちがするのだ。
「??」
そんな折、ふと足に生温かい物が触れた。
足元を見やるとそこには犬のような動物がいた。
それには見覚えがある。工藤があの牢獄にいた時、共に時間を過ごしたその犬だ。
「犬っころ! 無事だったのか!」
「……クウン……」
犬は弱っているようだった。
「おい!? 大丈夫かよ!?」
犬を工藤は優しく抱き上げた。
あの時あった枷はもう無い。けれど酷く弱々しい。
そんな事を考えていた矢先の出来事であった。
「え? なんだこりゃっ!?」
突如として犬の体から光が放たれる。
その瞬間、工藤は自身の胸の中に光が灯ったようになった感覚を受けた。
そのままドクンドクンと鼓動が脈打ち、頭の中にその犬の正体が、情報が流れ込んできた。
まるで昔からその事を知っていたかのように、工藤はその犬の事を理解したのであった。
「――お前……だったんだな。ずっと俺に力を貸してくれていたのは」
「クゥンッ!!」
「地の精霊、ノームッ」
犬っころが、いや、地の精霊ノームが嬉しそうに尻尾を振って工藤の頬を舐める。
弱々しかったノームはすでに元気を取り戻していた。
そして工藤の中には地属性の能力が以前とは比べものにならないくらいに溢れている。
改めて自身の体をまじまじと見つめる工藤。
「……すげえ。これが本来の精霊の力か」
「クゥンッ!」
「キーッ!」
「!?」
暫しの感動を味わっているのも束の間に、工藤の呟きに呼応したノームに続き、もう一匹の獣の声が応えた。
振り返るとそこには見た事の無い獣の姿。
一見すると蜥蜴の生き物。
だが蜥蜴と違う点は、体から炎が立ち上ぼり、尻尾の先が炎のように揺らめき輝きを放っているという事だ。
その蜥蜴の生き物は工藤の目を見つめながらのそのそと彼に近づく。
「――お前も……精霊なのか?」
「キイーーッ!」
工藤の言葉に呼応するように生き物は声を上げた。
そしてのそのそと工藤の足元まで辿り着く。
「……お前も俺に力を貸してくれるってのか?」
「キーッ!」
声と共に生き物が工藤の足に頬ずりをした。
その瞬間に生き物の思考が流れ込んでくる。
「サラ……マンダー?」
「キイッ!」
精霊は嬉しそうな声を上げた。
そしてサラマンダーの体からも光が発せられ始めた。
「お前も初めから俺の中にいたんだな」
「キイッ」
「火の精霊、サラマンダー」
「キイッ!」
言われなくとも感じる。
存在を工藤は感じていたのだ。
だだサラマンダーはノームよりも更に工藤の心の奥深くにいたため、その力の断片すら行使出来なかった。
工藤はそう理解した。
ここで改めて、火の精霊サラマンダーに工藤は語り掛ける。
「サラマンダー。俺を……助けてくれ。守りたいやつがいるんだ。この俺に大切なものを守る強さを与えてくれ!」
「キーッ!」
サラマンダーは工藤に飛び掛かるように抱きついた。
それを受け入れる工藤。
やがて彼らの体は交錯し、重なり、眩い光に包まれながら、一つとなる――。
「!!?」
工藤は一体自分の身に何が起こったのか理解出来ないでいた。
空を滑空していた筈の体は地に足を着き、気づけばただ茫然と目の前の景色を見つめていたのだ。
「――ここは……?」
目の前に広がるのはグレイの世界。そうだ。あの時の牢獄の世界にも似た世界だった。
もちろん全く同じ場所では無いがこの色の無さが自分がいる世界があの時と全く同じ世界なのだと思わせる。
それはそれとして。にしても工藤は何故急に、再びこんな所へと来てしまったのか。
周りを見渡せど視界に入り込む景色は何も無い。
ただただグレイな空間が果てしなく広がっているだけだ。
だがそれでも工藤はここが妙に温かい空間のような気がしていた。
傷んだ彼の心をゆったりと優しく包み込んでくれるような。そんな心持ちがするのだ。
「??」
そんな折、ふと足に生温かい物が触れた。
足元を見やるとそこには犬のような動物がいた。
それには見覚えがある。工藤があの牢獄にいた時、共に時間を過ごしたその犬だ。
「犬っころ! 無事だったのか!」
「……クウン……」
犬は弱っているようだった。
「おい!? 大丈夫かよ!?」
犬を工藤は優しく抱き上げた。
あの時あった枷はもう無い。けれど酷く弱々しい。
そんな事を考えていた矢先の出来事であった。
「え? なんだこりゃっ!?」
突如として犬の体から光が放たれる。
その瞬間、工藤は自身の胸の中に光が灯ったようになった感覚を受けた。
そのままドクンドクンと鼓動が脈打ち、頭の中にその犬の正体が、情報が流れ込んできた。
まるで昔からその事を知っていたかのように、工藤はその犬の事を理解したのであった。
「――お前……だったんだな。ずっと俺に力を貸してくれていたのは」
「クゥンッ!!」
「地の精霊、ノームッ」
犬っころが、いや、地の精霊ノームが嬉しそうに尻尾を振って工藤の頬を舐める。
弱々しかったノームはすでに元気を取り戻していた。
そして工藤の中には地属性の能力が以前とは比べものにならないくらいに溢れている。
改めて自身の体をまじまじと見つめる工藤。
「……すげえ。これが本来の精霊の力か」
「クゥンッ!」
「キーッ!」
「!?」
暫しの感動を味わっているのも束の間に、工藤の呟きに呼応したノームに続き、もう一匹の獣の声が応えた。
振り返るとそこには見た事の無い獣の姿。
一見すると蜥蜴の生き物。
だが蜥蜴と違う点は、体から炎が立ち上ぼり、尻尾の先が炎のように揺らめき輝きを放っているという事だ。
その蜥蜴の生き物は工藤の目を見つめながらのそのそと彼に近づく。
「――お前も……精霊なのか?」
「キイーーッ!」
工藤の言葉に呼応するように生き物は声を上げた。
そしてのそのそと工藤の足元まで辿り着く。
「……お前も俺に力を貸してくれるってのか?」
「キーッ!」
声と共に生き物が工藤の足に頬ずりをした。
その瞬間に生き物の思考が流れ込んでくる。
「サラ……マンダー?」
「キイッ!」
精霊は嬉しそうな声を上げた。
そしてサラマンダーの体からも光が発せられ始めた。
「お前も初めから俺の中にいたんだな」
「キイッ」
「火の精霊、サラマンダー」
「キイッ!」
言われなくとも感じる。
存在を工藤は感じていたのだ。
だだサラマンダーはノームよりも更に工藤の心の奥深くにいたため、その力の断片すら行使出来なかった。
工藤はそう理解した。
ここで改めて、火の精霊サラマンダーに工藤は語り掛ける。
「サラマンダー。俺を……助けてくれ。守りたいやつがいるんだ。この俺に大切なものを守る強さを与えてくれ!」
「キーッ!」
サラマンダーは工藤に飛び掛かるように抱きついた。
それを受け入れる工藤。
やがて彼らの体は交錯し、重なり、眩い光に包まれながら、一つとなる――。