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 何も書けずにいた進路希望調査に自分の意思で選んだ大学を記し、提出した。

 第一希望だけでなく第三希望まで。

 実際には第四、第五、それ以上ある。いずれの学校も、夢を叶えることが出来る場所だ。


「図書館司書になりたい? どうして?」


 休み時間、これまでは授業中に続いて寝ていたけれど、今はノートにペンを走らせている。


「急に勉強頑張りだして、授業も真面目に聞いてるからビックリしちゃったよ。授業中にメッセージを送っても返してくれないんだもん」

「絶対に通いたい図書館があるんだ」


 一問でも多く問題を解く。成績に合わせて選んだわけではない学校は、これまでサボっていた分の努力を必要とする。


「全ての本が電子書籍になるわけじゃないでしょ? すっごく好きな本に出会ったんだけどね、やっとタイトルを知れたのに電書でなくて、でももう売ってないから、図書館に行きたいの」

「そんなの、お客として行けばいいじゃない? なんでわざわざ司書に」

「うん、そうなんだけどね。仕事があったら行けない日もあるから。いられる時間も短いし」


 キリがいいのでペンを置いた。

 夢や目標がなく悩み、立ち止まっていた自分がいなくなった今、晴れやかな気分で言える。


「私は図書室登校がしたいんだ」


 世界図書館に行くと言っていた君に、また会うために。



―了―