「それより時間大丈夫?」

 何度も繰り返される質問に、観念して答える。

「大丈夫。誰も私のことなんて気にしないから」

 口にしてからグサリ。また大きな刃物が胸に突き刺さってる。家族からの愛を、彼氏で埋めようとして、彼氏には「彼女が出来た」なんて振られてしまったのに。

 付き合っていたと思っていたのは、私の独りよがりだった。

「やっぱり? そんな気がした。でも、大丈夫だよ、自分自身が愛せれば」

 全てお見通しかのように、彼女は指で銃を作って私の胸を撃ち抜く。自分自身で愛すなんて、難しいことをいとも容易いことのように言うから。つい笑ってしまう。

「楽観的だね」
「そう? でも、そうだね。楽観的になれたかも」
「そうなのかぁ」
「そうだねぇ、私のおかげかも」
「っていうか、あなたもこんな時間に出歩いていて大丈夫なの?」

 同じ質問を返せば、唇をにぃーっと薄く開く。作り笑顔を作る時の私と同じ癖。