今夜は米焼酎にした。ついでに割引になったばかりのお惣菜も買って帰る。
「ただいま」
一人暮らしを始めてから、帰りの挨拶なんてしていなかった。なのに今日は自然に声が出た。たった一匹、金魚がいるだけなのに。電灯を点けるとガラスポットの中、金魚はやっぱり泳いでいた。
買ってきた新しい縦長のポットを洗って水切りカゴに伏せる。お惣菜をお皿に盛って、ロックグラスに氷を入れてお箸と一緒にこたつに運ぶ。自分の食事は準備出来た。ロックグラスに米焼酎を注いで「いただきます」また口から声が出た。
まるみがある爽やかな米焼酎を一口飲んで、金魚を観察する。金魚はレモン水の中で、なにごともないような顔をして、ひらひらしている。
「お腹は空いてませんか」
なぜだか丁寧語で聞いてみる。金魚は知らん顔だ。
買い物袋から金魚のエサを取り出して、ポットの中に三粒入れてみた。金魚は水面近くにやってきて、あっという間にエサを飲み込んだ。エサはレモンの種くらいの大きさだけど、三粒で足りるのかどうかわからない。表示を読んでみようとしても英語だった。どのくらいの量をやればいいのか、それがどこに書いてあるのかもわからない。
とりあえず、もう三粒レモン水にエサを落としてみた。金魚はまた上手に食べ終えた。
翌朝、酒焼けした喉に、新しいポットから注いだレモン水を流し込む。至福だ。お酒を飲んで、だるんだるんとだらけるのも楽しいが、レモン水で酔いを醒ます瞬間も捨てがたい。
「ね、そう思うよね」
金魚に話しかけてエサをやる。六粒のエサを金魚は上手に吸い込む。本当にこの量で足りているのだろうか。金魚の表情などわからないから判断のしようがない。
エサの容器をもう一度見てみる。やっぱり、英語は分からない。英和辞典もないし、どうしようか。
そう考えて、同僚の椎葉さんが英語が堪能という噂を聞いたことを思いだした。頼んだら読んでくれるだろうか。いやそれより椎葉さんに話しかけることが出来るだろうか。
金魚に目をやるとぷくっと空気の泡を吹きだした。確かに生きてる。エサやりは必要だ。とりあえず、エサの容器だけは持って行こう。
「ただいま」
一人暮らしを始めてから、帰りの挨拶なんてしていなかった。なのに今日は自然に声が出た。たった一匹、金魚がいるだけなのに。電灯を点けるとガラスポットの中、金魚はやっぱり泳いでいた。
買ってきた新しい縦長のポットを洗って水切りカゴに伏せる。お惣菜をお皿に盛って、ロックグラスに氷を入れてお箸と一緒にこたつに運ぶ。自分の食事は準備出来た。ロックグラスに米焼酎を注いで「いただきます」また口から声が出た。
まるみがある爽やかな米焼酎を一口飲んで、金魚を観察する。金魚はレモン水の中で、なにごともないような顔をして、ひらひらしている。
「お腹は空いてませんか」
なぜだか丁寧語で聞いてみる。金魚は知らん顔だ。
買い物袋から金魚のエサを取り出して、ポットの中に三粒入れてみた。金魚は水面近くにやってきて、あっという間にエサを飲み込んだ。エサはレモンの種くらいの大きさだけど、三粒で足りるのかどうかわからない。表示を読んでみようとしても英語だった。どのくらいの量をやればいいのか、それがどこに書いてあるのかもわからない。
とりあえず、もう三粒レモン水にエサを落としてみた。金魚はまた上手に食べ終えた。
翌朝、酒焼けした喉に、新しいポットから注いだレモン水を流し込む。至福だ。お酒を飲んで、だるんだるんとだらけるのも楽しいが、レモン水で酔いを醒ます瞬間も捨てがたい。
「ね、そう思うよね」
金魚に話しかけてエサをやる。六粒のエサを金魚は上手に吸い込む。本当にこの量で足りているのだろうか。金魚の表情などわからないから判断のしようがない。
エサの容器をもう一度見てみる。やっぱり、英語は分からない。英和辞典もないし、どうしようか。
そう考えて、同僚の椎葉さんが英語が堪能という噂を聞いたことを思いだした。頼んだら読んでくれるだろうか。いやそれより椎葉さんに話しかけることが出来るだろうか。
金魚に目をやるとぷくっと空気の泡を吹きだした。確かに生きてる。エサやりは必要だ。とりあえず、エサの容器だけは持って行こう。