『失礼します』
HRにギリギリ間に合ったみたいで、担任の先生はまだ来ていなかった。ほっと息をつき、席に座る。
すると、後ろからツンツンと誰かが小突いてきた。
「……水保」
小突いたのは、親友の水保だった。
「おはよー。ギリギリだね~」
「ところでさ……」と話を変えてくる水保は、少し怖い。
「竜くんと一緒のタイミングて入って来たのはなんで?」
私はとぼけるのが得意だけれど、今回は出来そうに無かった。
そう、水保は竜くんの事が好きなのだ。
言ったら仲間外れにされる覚悟を決め、言おうとしたその時。
「水保ー。一緒に遊ぼうぜ!」
「りゅっ、竜くん!?う、うんっ!あ、後でね由来ぁ!」
水保はそう言って慌てて出て行った。
「……うん。お幸せに」
小さくそう呟き、一息つく。
そして私は、何かが蘇るような感覚に襲われた。
ザザーッ。
『……由来、危ない!』
『!!』
キキーッ!!!
『いててっ……っ』
あ、あ、あぁっ……!!
目の前にある血まみれの死体を触り、触る度に自分を保てなくなっていった。
そして私は泣いていた。
ーー優輝くんの死を、思い出しーー