「由来ー(ゆうら)、いい加減起きなよー」
……はっ。
勢いよく布団を飛び出し、時計を確認する。
『八時五十分』
デジタル時計を見て、サーっと血の気が引く。
「準備しないとっ……!!」
ええと、制服、通学バッグ……あれ、数学のノートが無い!!
今日当てられるのにっ……!!
どーしよーどーしよー!!
『ピーンポーン』
「あら、こんな時間に誰かしら」
そんなお母さんの声が聞こえるはずもなく、わたわたと準備をする。
準備が終わり、玄関にに急ぐ。
玄関に着くと、ある人がいた。
「由来」
「……竜(りゅう)くん?」
そこにいたのは、クラスメイトの竜くん。
「竜くんって言うのね。クラスメイト?」
「あっ、うん。そうだよ」
お母さんの問いかけに、慌ててそう答える。
にしても、なんで竜くんがここに……?
「……由来、学校」
「……あ、そうだった!行ってきます!」
「……?、いってらっしゃい」
「竜くん、どうして私の家が分かったの?」
通学路を歩きながら、竜くんにそう問いかける。
「別に。……これ」
そう言われ差し出されたのは、私の数学のノート。
……へ?なんで?」
「昨日、忘れてたから」
あ、そうだったんだ!
「ありがとう!じゃあ急ご!」