五年前、私を救ってくれた君へ

「由来ー(ゆうら)、いい加減起きなよー」
……はっ。
勢いよく布団を飛び出し、時計を確認する。
『八時五十分』
デジタル時計を見て、サーっと血の気が引く。
「準備しないとっ……!!」
ええと、制服、通学バッグ……あれ、数学のノートが無い!!
今日当てられるのにっ……!!
どーしよーどーしよー!!
『ピーンポーン』
「あら、こんな時間に誰かしら」
そんなお母さんの声が聞こえるはずもなく、わたわたと準備をする。
準備が終わり、玄関にに急ぐ。
玄関に着くと、ある人がいた。
「由来」
「……竜(りゅう)くん?」
そこにいたのは、クラスメイトの竜くん。
「竜くんって言うのね。クラスメイト?」
「あっ、うん。そうだよ」
お母さんの問いかけに、慌ててそう答える。
にしても、なんで竜くんがここに……?
「……由来、学校」
「……あ、そうだった!行ってきます!」
「……?、いってらっしゃい」
「竜くん、どうして私の家が分かったの?」
通学路を歩きながら、竜くんにそう問いかける。
「別に。……これ」
そう言われ差し出されたのは、私の数学のノート。
……へ?なんで?」
「昨日、忘れてたから」
あ、そうだったんだ!
「ありがとう!じゃあ急ご!」