その日は恭介にとって地獄だった。校門まで一緒にいたせいで佳奈との登校が知れ渡ったのだった。
「堂々と一年の子と歩いてるなんてねー。相手の子見たけど、ぱっと見中学生だよ。逸脱してるよね……」
 廊下の端、恭介に不審げな目を向けながら知らない女子たちがこそこそ話していた。早足で通り過ぎた恭介は、苛立ちを加速させる。
(くだらない。他に話す事ないのかっつの)