「ほんと助かっちゃったなぁ。神様仏様、源様って感じだよね」
テスト後の三年二組の教室。源恭介は、前の席で半身になる椎名夏希と向かい合っていた。
気安い笑顔はいたずらな感じで、椅子の背に乗せた腕の近くでは、きめ細やかなショートヘアがさらさらと風に揺れていた。
「そりゃ良かった。なんかあったら言ってきてくれていいよ。まあ暇だったらだけど」
心臓バクバクの恭介だが、クールに返事をした。
夏希はにこりと笑顔を大きくした。小さな口からは綺麗な八重歯が覗いている。
「ほんと? そんじゃあどんどん頼っちゃうから。いやーつくづく、持つべきものは親切丁寧なクラスメイトだよね」
楽しげな夏希の台詞に、「時間があればな」と恭介はぼそりと返す。
視線は教室の隅。夏希は眩しすぎて、直視できなかった。
席替え以来、夏希は頻繁に後席の恭介に話しかけてきていた。
「髪切ったんだけどかわいいかな?」等突っ込んだ内容の話題が多く、恭介は混乱半分、嬉しさ半分だった。俺に気があるのか? ともひそかに思ったりしていた。
テニス部のエースで、男女関わらず友達の多い夏希。勉強は苦手だが隠すでもなく前向きに明るく生きている。
優しくて綺麗で快活で、クラスのどの女子よりも女の子していると恭介は思う。一日中でも見ていたい。
だけど女子というのは、男子とは違う生き物だ。男よりも強固な友達グループを作るし、何より……。
テスト後の三年二組の教室。源恭介は、前の席で半身になる椎名夏希と向かい合っていた。
気安い笑顔はいたずらな感じで、椅子の背に乗せた腕の近くでは、きめ細やかなショートヘアがさらさらと風に揺れていた。
「そりゃ良かった。なんかあったら言ってきてくれていいよ。まあ暇だったらだけど」
心臓バクバクの恭介だが、クールに返事をした。
夏希はにこりと笑顔を大きくした。小さな口からは綺麗な八重歯が覗いている。
「ほんと? そんじゃあどんどん頼っちゃうから。いやーつくづく、持つべきものは親切丁寧なクラスメイトだよね」
楽しげな夏希の台詞に、「時間があればな」と恭介はぼそりと返す。
視線は教室の隅。夏希は眩しすぎて、直視できなかった。
席替え以来、夏希は頻繁に後席の恭介に話しかけてきていた。
「髪切ったんだけどかわいいかな?」等突っ込んだ内容の話題が多く、恭介は混乱半分、嬉しさ半分だった。俺に気があるのか? ともひそかに思ったりしていた。
テニス部のエースで、男女関わらず友達の多い夏希。勉強は苦手だが隠すでもなく前向きに明るく生きている。
優しくて綺麗で快活で、クラスのどの女子よりも女の子していると恭介は思う。一日中でも見ていたい。
だけど女子というのは、男子とは違う生き物だ。男よりも強固な友達グループを作るし、何より……。