「私は昼寝でもしてくるかな。ユモト、飯うまかったぞ、ごちそうさん」

「あ、はい! ありがとうございます!」

 アシノは立ち上がり、自分の部屋へと向かっていく。ルーは横目でユモトを見てニヤリと笑った。

「午後はユモトちゃんに魔法を教えてあげようかな。さっき横目で見てたけど、気になった所があるからさー」

「良いんですか!? よろしくお願いします!」

 嬉しそうにユモトは返事をする。しかしそれだとモモの手が空いてしまう。

「モモお姉ちゃん、私と戦ってみる?」

「そうだな、よろしく頼むヨーリィ」

「それじゃ俺はまたこの板の調整をしてみまず」

 全員また午後の予定は決まったようだ、食器を片付けそれぞれ訓練を開始した。

「あー、雷の魔法はね、何かこうピューって出してからズババババーンって感じなのよ」

「は、はぁ」

 ルーから指導を受けていたユモトだが、ルーのアドバイスに困惑していた。

 彼女は素晴らしい魔道士でもあったが、直感的な性格らしく教えることはあまり上手ではないらしい。

「ほら、ピューって出してズババババーン!」

 そこから少し離れたところではモモとヨーリィが戦っている。ヨーリィは2、3回体を切られても大丈夫なのでモモは裏世界の剣と盾を持ち、ヨーリィは木のナイフで応戦をしている。

 ヨーリィが放つ木の杭を身をよじり、飛んでかわすが、その着地点で1本肩に当たってしまった。

 先が丸めてあり、鎧の上からとはいえど、カァンという高い音と共に結構な衝撃が伝わる。

「お姉ちゃん、相手が魔物だったらその避け方でもいいけど、飛び跳ねるのは着地点を狙われて危ない」

 今まで剣を使った白兵戦の訓練はしてきたが、ヨーリィのような相手と戦う機会が無かったモモは自分の未熟さを再認識した。

「次は近付いて戦う、いくよ」

 ヨーリィはそう言ってタタタッと走り寄ってきた。横薙ぎに振る木のナイフをモモは盾を構えて受け止める。

 やがて、すっかり辺りは暗くなり、皆が家に戻りくつろいでいた。特訓で汗をかいたモモとユモトは順番に風呂へ入り終え、今は2人で夕飯を作っている。

 ルーはまた地下室へ籠もり、アシノはソファーでくつろいでいる。その向かいのソファーではムツヤとヨーリィが手を握り、肩を寄せ合って眠っていた。