「そ、そんな事無いですよモモさん!」
慌ててユモトはモモにフォローを入れておく。
「俺、モモさんの料理も好きなんで楽しみです!」
ムツヤが笑顔を作って言うと、モモは「あ、あう……」と小さく言って下を向いてしまった。
ヨーリィはマイペースに真顔のままもしゃもしゃと朝食を食べている。
「ごちそうさまでした」
皆が食べ終わるとユモトは食器を片付け始める。モモも「私も手伝おう」と皿を洗った。
「皆この後はどうするんだ?」
アシノが尋ねると皆は思い思いに返事をする。
「私は新しい剣を使いこなせるよう特訓をしようと思っています」
食器を洗い終えたモモは、腰に携えた剣を触りながら言った。
「僕も家事が何もなければ魔法の練習をしたいです。やはり数年使っていなかったのでまだ馴染まない部分があるので」
早くムツヤさんに恩返しがしたいとユモトは決心し、杖をギュッと握りしめる。
「それじゃ私は2人の特訓のお手伝いをしようかな」
ルーがにこにこ笑って言うと2人は「よろしくお願いします」と言って軽く頭を下げた。
「俺はサズァン様から言われた通り、この板で裏の道具の位置を見つけようと思います」
ムツヤはカバンからガラス板を取り出して言った。するとルーがまた騒ぎ出す。
「えぇー!? 昨日サズァン様が来てたの!? 私も邪神様に合ってみたかった!」
「ま、まぁまた会えると思いますよ」
物凄く悔しがっているルーにムツヤは若干戸惑いながら言った。
「私はお兄ちゃんのお手伝いか、お姉ちゃん達の特訓のお手伝いをします」
「ヨーリィ、俺の方は大丈夫だがら、モモさんとユモトさんの特訓のお手伝いをしてあげて」
ムツヤはそう言ってヨーリィの頭を撫でた。「んっ」と小さい声を出したのは了解したという意味だろう。
「私もビンのフタでも飛ばしながら訓練でも見ていてやるかな、技術は失ったが知識だけは一応あるんでね」
自虐気味にアシノは言った。これで全員の今日の予定は決まったみたいだ。
モモは土くれで作られた精霊と対峙していた。
振り下ろされた木刀を横っ飛びで避けてスキが出来た脇腹を剣で切り抜く。すると精霊は形を保てなくなり、土へと還っていく。
「筋は良いな、剣は誰から教わったんだ?」
その様子を眺めていたアシノはモモに尋ねる。剣を鞘に収めるとモモは答えた。
「主に父と村の戦士からですね」
「そうか、まだ新しい剣が馴染んでいないのもあるだろうが、剣の軌道はもっと弧を描くように意識して使うと良いな」
「わかりました」
そう言ってモモは汗を拭う。ルーは「じゃーもうちょっと強い精霊出しちゃうよー!」とノリノリで精霊を召喚していた。
モモたちから少し離れた場所ではヨーリィとユモトが特訓に励んでいる。
ヨーリィが無数に投げる木の杭をユモトは魔法で作った防御壁で弾き返していた。
魔力をだいぶ使うらしくユモトは汗を流しながらはぁはぁと肩で息をしている。
自分の全力で防御壁を張っていたがユモトは耐えきれず1本木の杭の侵入を許してしまい、右頬をかすめていった。
「ユモトお姉ちゃん、実戦だったら今ので死んでた」
ヨーリィの指導は容赦のないものだ。
訓練用に木の杭は先を丸めており、ユモト自身に攻撃が当たらないようヨーリィは投げていたが、それ以外は実戦と同じ威力で投げられているので、矢よりも強力な投擲だった。
「ははは、厳しいね」
無理して笑顔を作り、その場に座り込んでユモトは言う。もうお姉ちゃん呼びを訂正することは諦めている。
「次は私に魔法を当てて、遠慮はしなくても大丈夫だから」
休む間もなくユモトは立ち上がらされ、今度はヨーリィに向かって火の玉や雷、尖った氷を魔法で生み出して打つが、ヨーリィはそれを走り、飛び跳ね、かわし続ける。
そして、ムツヤはと言うと裏の道具の位置がわかる板を手に持ち魔力を流していた。
周辺の地図は浮かび上がるものの、自分達が居るこの家以外に裏の道具の反応は無かった。ムツヤはもっと集中して広い範囲の地図を浮かび上がらせようとする。
「そろそろ休憩でも入れるか」
昼になりアシノが言うと、ユモトはよろよろと歩いて木に寄りかかって座りこみ、はぁはぁと吐息を漏らしていた。
春先だが思い切り魔法を沢山使ったせいで汗もびっしょりとかいている。
モモはルーとアシノに礼を言った後で家の中に入り椅子に座った。ユモト程ではないが疲れで息が上がっている。
ルーは流石に先輩冒険者らしく、息1つ切らさずにピンピンとしていた。
「お兄ちゃん」
ヨーリィはムツヤの部屋をノックする。中から「入っでぎていいよー」と声がしたので扉を開けた。
「お昼ご飯が出来たので呼びに来ました」
「おーありがと」
「それと魔力の補充をお願いしたいのですが」
「良いよ、おいでヨーリィ」
ムツヤは椅子に座ったまま1つ背伸びをして立ち上がる。するとヨーリィがトコトコと近づきギュッと手を握った。2人は手を繋いだまま食堂へ向かう。
「あっ、ムツヤさーん。お待ちしてました」
ユモトは手を振りムツヤを呼んだ。ルーとアシノは一足先に昼食のサンドイッチを食べていた。
「お待ちしてました、ムツヤ殿」
そう言ってモモは立ち上がる。食事に手を付けずに待っていたらしい。
「あれ、モモさん先に食べていてもらって良かったのに」
「いいえ、従者が主より先に食事をするわけにはいきませんので」
「そんな事気にしなぐでいいのにー」
「そうよー、モモちゃんは真面目なんだからー」
もぐもぐと食べながらルーが言った。全員が椅子に座るとユモトとモモも食事を始める。
「ところでムツヤっちー? 裏の道具の探知は調子どうなの?」
「そうでずね、魔力を調整して結構遠くまで見渡せるようにはなりましたが」
ムツヤは板をルーに見せた、それをルーは身を乗り出して覗き込む。
「ふーん、大体半径30km圏内ってところかな、っていうか凄いわねこれ」
裏の道具とムツヤの魔力の使い方に関心をしたルーと興味なさげに覗き込むアシノ。
「取り敢えずそれで監視しときゃ不意打ちを食らうことは無いってわけか」
「そうみたいね」
アシノは1つあくびをして眠そうにしていた。
慌ててユモトはモモにフォローを入れておく。
「俺、モモさんの料理も好きなんで楽しみです!」
ムツヤが笑顔を作って言うと、モモは「あ、あう……」と小さく言って下を向いてしまった。
ヨーリィはマイペースに真顔のままもしゃもしゃと朝食を食べている。
「ごちそうさまでした」
皆が食べ終わるとユモトは食器を片付け始める。モモも「私も手伝おう」と皿を洗った。
「皆この後はどうするんだ?」
アシノが尋ねると皆は思い思いに返事をする。
「私は新しい剣を使いこなせるよう特訓をしようと思っています」
食器を洗い終えたモモは、腰に携えた剣を触りながら言った。
「僕も家事が何もなければ魔法の練習をしたいです。やはり数年使っていなかったのでまだ馴染まない部分があるので」
早くムツヤさんに恩返しがしたいとユモトは決心し、杖をギュッと握りしめる。
「それじゃ私は2人の特訓のお手伝いをしようかな」
ルーがにこにこ笑って言うと2人は「よろしくお願いします」と言って軽く頭を下げた。
「俺はサズァン様から言われた通り、この板で裏の道具の位置を見つけようと思います」
ムツヤはカバンからガラス板を取り出して言った。するとルーがまた騒ぎ出す。
「えぇー!? 昨日サズァン様が来てたの!? 私も邪神様に合ってみたかった!」
「ま、まぁまた会えると思いますよ」
物凄く悔しがっているルーにムツヤは若干戸惑いながら言った。
「私はお兄ちゃんのお手伝いか、お姉ちゃん達の特訓のお手伝いをします」
「ヨーリィ、俺の方は大丈夫だがら、モモさんとユモトさんの特訓のお手伝いをしてあげて」
ムツヤはそう言ってヨーリィの頭を撫でた。「んっ」と小さい声を出したのは了解したという意味だろう。
「私もビンのフタでも飛ばしながら訓練でも見ていてやるかな、技術は失ったが知識だけは一応あるんでね」
自虐気味にアシノは言った。これで全員の今日の予定は決まったみたいだ。
モモは土くれで作られた精霊と対峙していた。
振り下ろされた木刀を横っ飛びで避けてスキが出来た脇腹を剣で切り抜く。すると精霊は形を保てなくなり、土へと還っていく。
「筋は良いな、剣は誰から教わったんだ?」
その様子を眺めていたアシノはモモに尋ねる。剣を鞘に収めるとモモは答えた。
「主に父と村の戦士からですね」
「そうか、まだ新しい剣が馴染んでいないのもあるだろうが、剣の軌道はもっと弧を描くように意識して使うと良いな」
「わかりました」
そう言ってモモは汗を拭う。ルーは「じゃーもうちょっと強い精霊出しちゃうよー!」とノリノリで精霊を召喚していた。
モモたちから少し離れた場所ではヨーリィとユモトが特訓に励んでいる。
ヨーリィが無数に投げる木の杭をユモトは魔法で作った防御壁で弾き返していた。
魔力をだいぶ使うらしくユモトは汗を流しながらはぁはぁと肩で息をしている。
自分の全力で防御壁を張っていたがユモトは耐えきれず1本木の杭の侵入を許してしまい、右頬をかすめていった。
「ユモトお姉ちゃん、実戦だったら今ので死んでた」
ヨーリィの指導は容赦のないものだ。
訓練用に木の杭は先を丸めており、ユモト自身に攻撃が当たらないようヨーリィは投げていたが、それ以外は実戦と同じ威力で投げられているので、矢よりも強力な投擲だった。
「ははは、厳しいね」
無理して笑顔を作り、その場に座り込んでユモトは言う。もうお姉ちゃん呼びを訂正することは諦めている。
「次は私に魔法を当てて、遠慮はしなくても大丈夫だから」
休む間もなくユモトは立ち上がらされ、今度はヨーリィに向かって火の玉や雷、尖った氷を魔法で生み出して打つが、ヨーリィはそれを走り、飛び跳ね、かわし続ける。
そして、ムツヤはと言うと裏の道具の位置がわかる板を手に持ち魔力を流していた。
周辺の地図は浮かび上がるものの、自分達が居るこの家以外に裏の道具の反応は無かった。ムツヤはもっと集中して広い範囲の地図を浮かび上がらせようとする。
「そろそろ休憩でも入れるか」
昼になりアシノが言うと、ユモトはよろよろと歩いて木に寄りかかって座りこみ、はぁはぁと吐息を漏らしていた。
春先だが思い切り魔法を沢山使ったせいで汗もびっしょりとかいている。
モモはルーとアシノに礼を言った後で家の中に入り椅子に座った。ユモト程ではないが疲れで息が上がっている。
ルーは流石に先輩冒険者らしく、息1つ切らさずにピンピンとしていた。
「お兄ちゃん」
ヨーリィはムツヤの部屋をノックする。中から「入っでぎていいよー」と声がしたので扉を開けた。
「お昼ご飯が出来たので呼びに来ました」
「おーありがと」
「それと魔力の補充をお願いしたいのですが」
「良いよ、おいでヨーリィ」
ムツヤは椅子に座ったまま1つ背伸びをして立ち上がる。するとヨーリィがトコトコと近づきギュッと手を握った。2人は手を繋いだまま食堂へ向かう。
「あっ、ムツヤさーん。お待ちしてました」
ユモトは手を振りムツヤを呼んだ。ルーとアシノは一足先に昼食のサンドイッチを食べていた。
「お待ちしてました、ムツヤ殿」
そう言ってモモは立ち上がる。食事に手を付けずに待っていたらしい。
「あれ、モモさん先に食べていてもらって良かったのに」
「いいえ、従者が主より先に食事をするわけにはいきませんので」
「そんな事気にしなぐでいいのにー」
「そうよー、モモちゃんは真面目なんだからー」
もぐもぐと食べながらルーが言った。全員が椅子に座るとユモトとモモも食事を始める。
「ところでムツヤっちー? 裏の道具の探知は調子どうなの?」
「そうでずね、魔力を調整して結構遠くまで見渡せるようにはなりましたが」
ムツヤは板をルーに見せた、それをルーは身を乗り出して覗き込む。
「ふーん、大体半径30km圏内ってところかな、っていうか凄いわねこれ」
裏の道具とムツヤの魔力の使い方に関心をしたルーと興味なさげに覗き込むアシノ。
「取り敢えずそれで監視しときゃ不意打ちを食らうことは無いってわけか」
「そうみたいね」
アシノは1つあくびをして眠そうにしていた。