3人は1列になって少女を追いかける。
ムツヤは先頭を走り、時おり投げられる杭を全て手でつかみ、はたき落とし、足で蹴り飛ばしたりとやりたい放題やっていた。
しかし、1つ誤算がある。黒髪の少女を追いかけることに夢中になりすぎて、隣の木と同化している怪物に気づくのが遅れてしまった。
かかったなと怪物はニヤリとする。
ムツヤの足元から生えてきたのは木の根だ。それは素早くムツヤの足に絡みついてムツヤの動きを止める……
ことは出来なかった。ムツヤは太い木の根をブチブチと脚力でちぎり走り続けた。
「嘘でしょ!?」
それには流石の怪物も驚きを隠せなかった。ムツヤはくるりと振り返り剣で怪物に斬りかかる。
「調子に乗るんじゃないよ!」
そう言って怪物は口から毒を空気中に散布する。それは通称『死の息』と呼ばれ、吸い込めば良くて全身が麻痺し、最悪の場合はそのまま死んでしまう。
しかし、病気の治る秘薬を飲み続けているムツヤにはそれもあまり効かない。
一応は目くらましになったようでムツヤの剣は怪物の上に逸れてしまった。自分の頭上の木を真っ二つに切られ、炎が燃え上がるのを見てたまらず怪物は別の木へと移動した。
「あなた何者!? どこで雇われたの?」
「あ、俺はムツヤ・バックカントリーと言います」
下半身が木になっている以外は人間の女に非常に似た外見をしているため、ムツヤは思わず普通に挨拶をしてしまう。
そんな事をしている内にお互いの応援がやってきた。
長い黒髪の少女は怪物の前に立ちはだかり、モモとユモトもそれぞれ盾と防御壁を構えてムツヤの前に立つ。
「追手は撒いたと思っていたけどやっぱり人間はしつこいのね」
「あ、そうだ、どうしてこんなごとするんだ!」
にらみ合いながらムツヤは自分の中で疑問に思っていたことを聞く、すると怪物はケラケラと大笑いして答えた。
「どうしてって、人間は私の良い養分になるのよ。それで逆に聞きたいんだけど、どうしてあなたは私を襲うの?」
「え? えーっと、死にたくないから……?」
ムツヤは思ったままのことを言った、それを聞いて怪物は恐ろしい顔を作る。
「私も一緒よ、死にたくないから動物も人間も食べる。死にたくないから私を襲う者は全て排除する」
それを聞いたムツヤは黙ってしまった、あまり賢くない頭で何かを考えている。
「私の体からは人間の薬が取れるらしくてね、人間は私を襲うわ。だから私も人間を殺す」
「ムツヤ殿!! 相手は魔物です、耳を傾けてはいけません!」
モモは盾を構えたまま後ろをチラリと見てムツヤに言う。その一瞬のスキを黒髪の少女、ヨーリィは見逃さなかった。ムツヤはそれに気付いて走り、モモを突き飛ばした。
起き上がったモモが見たものは鎧の隙間、左脇腹に木の杭が刺さったムツヤだった。
ムツヤは先頭を走り、時おり投げられる杭を全て手でつかみ、はたき落とし、足で蹴り飛ばしたりとやりたい放題やっていた。
しかし、1つ誤算がある。黒髪の少女を追いかけることに夢中になりすぎて、隣の木と同化している怪物に気づくのが遅れてしまった。
かかったなと怪物はニヤリとする。
ムツヤの足元から生えてきたのは木の根だ。それは素早くムツヤの足に絡みついてムツヤの動きを止める……
ことは出来なかった。ムツヤは太い木の根をブチブチと脚力でちぎり走り続けた。
「嘘でしょ!?」
それには流石の怪物も驚きを隠せなかった。ムツヤはくるりと振り返り剣で怪物に斬りかかる。
「調子に乗るんじゃないよ!」
そう言って怪物は口から毒を空気中に散布する。それは通称『死の息』と呼ばれ、吸い込めば良くて全身が麻痺し、最悪の場合はそのまま死んでしまう。
しかし、病気の治る秘薬を飲み続けているムツヤにはそれもあまり効かない。
一応は目くらましになったようでムツヤの剣は怪物の上に逸れてしまった。自分の頭上の木を真っ二つに切られ、炎が燃え上がるのを見てたまらず怪物は別の木へと移動した。
「あなた何者!? どこで雇われたの?」
「あ、俺はムツヤ・バックカントリーと言います」
下半身が木になっている以外は人間の女に非常に似た外見をしているため、ムツヤは思わず普通に挨拶をしてしまう。
そんな事をしている内にお互いの応援がやってきた。
長い黒髪の少女は怪物の前に立ちはだかり、モモとユモトもそれぞれ盾と防御壁を構えてムツヤの前に立つ。
「追手は撒いたと思っていたけどやっぱり人間はしつこいのね」
「あ、そうだ、どうしてこんなごとするんだ!」
にらみ合いながらムツヤは自分の中で疑問に思っていたことを聞く、すると怪物はケラケラと大笑いして答えた。
「どうしてって、人間は私の良い養分になるのよ。それで逆に聞きたいんだけど、どうしてあなたは私を襲うの?」
「え? えーっと、死にたくないから……?」
ムツヤは思ったままのことを言った、それを聞いて怪物は恐ろしい顔を作る。
「私も一緒よ、死にたくないから動物も人間も食べる。死にたくないから私を襲う者は全て排除する」
それを聞いたムツヤは黙ってしまった、あまり賢くない頭で何かを考えている。
「私の体からは人間の薬が取れるらしくてね、人間は私を襲うわ。だから私も人間を殺す」
「ムツヤ殿!! 相手は魔物です、耳を傾けてはいけません!」
モモは盾を構えたまま後ろをチラリと見てムツヤに言う。その一瞬のスキを黒髪の少女、ヨーリィは見逃さなかった。ムツヤはそれに気付いて走り、モモを突き飛ばした。
起き上がったモモが見たものは鎧の隙間、左脇腹に木の杭が刺さったムツヤだった。