階段を上り、扉を開いた先には薄暗い部屋が広がっていた。所々にある松明が申し訳程度に部屋を照らす。
「ムツヤ、照明弾を使っても大丈夫か?」
「はい! 大丈夫でず!」
その会話を聞いたユモトが照明弾を打ち上げる。
そして、見えるのは巨大な影だ。
「牛の頭と人間の体。ミノタウロスか!!」
アシノが言うと、皆は武器を構えた。体の大きさは自分たちの十倍はあろうかという所だ。
大きな斧を持ち、地響きを立てながらこちらへと向かってくる。
ムツヤは飛び出して懐に入り、腹を一発殴った。すると、その巨体が宙を舞い、地面に叩きつけられる。
魔剣『ムゲンジゴク』を使い、倒れるミノタウロスの首をあっという間に刎ねた。
「終わりまじだ!」
「えっ? えっ? ボスってソイツだけ?」
ルーは呆気なく終わってしまった戦いにキョトンとしている。
「ミノタウロスは本来伝説の魔物だ。ムツヤが強すぎるだけだ」
そう言ってアシノは歩き始め、ハッとした仲間達も後を追う。
二十七階層へムツヤ達は辿り着く。
魔物の数が少なくなり、その代わりに出てくる個々が強くなった為、仲間達の出る幕は殆ど無く、ムツヤが大暴れするだけで道が開けていった。
「私たちは楽で良いけど、ムツヤっち疲れないの?」
ルーが少し心配そうに尋ねるも、ムツヤはあっけらかんとしている。
「俺は大丈夫でず!」
二十九階層、次はボスが出てくる。ムツヤは龍を地の彼方へと蹴り飛ばしていた。
「次は三十階層だな、お前たち自分の身を守ることを考えろ」
一同はそれぞれ返事をして、扉を抜ける。
その先の光景にアシノ達は驚く。夕暮れ時の広い荒野に白い何かが列を成して待ち構えていた。
人骨の魔物、スケルトンだ。数千体ほどのそれは、まるで軍隊のように旗を掲げ、弓兵、騎兵も居る。
先頭で馬に乗るスケルトンが剣を掲げると、隊列が一斉にこちらに向かってきた。
「これまずくない!? まずくない!?」
ルーは焦ってそんな事を言う。
「数が多すぎるな」
アシノもこの光景を見て流石に冷や汗が出た。
ムツヤは光魔法を使い、軍隊の列に光の刃を降らせる。隊列は滅茶苦茶になるが、スケルトン達はこちらに向かってくる。
弓兵が矢を飛ばしてきたので、ユモトが貼った防御壁の後ろへと仲間達は隠れた。
「こりゃ本当に軍隊と戦うようなモンだな」
「冷静に言わないでよ!」
ムツヤは斬り込んで弓兵達を次々にバラバラにしていった。粗方片付け終わると白兵戦の始まりだ。
ムツヤが走る後はスケルトンが煙となって消えていった。
「戦いはムツヤに任せて身を守れ!!」
アシノの号令に従って皆は武器を構えて身を寄せ合う。
こちらに向かってきたスケルトン目掛けてルーは召喚した精霊をぶつけた。
「少し強い人間って感じね」
それが戦ってみての感想だ。ムツヤがあまりにも簡単に倒しているので勘違いをしそうだが、相手は裏ダンジョンのモンスターだ。
ヨーリィが近付くスケルトンに木の杭を投げて牽制する。ユモトも巨大な氷柱を射出して戦う。
それでも数体こちらへ敵がやって来てしまう。接近戦はモモが前に出て戦っていた。
スケルトンを袈裟斬りにすると、ガラガラと崩れ煙になり消える。
槍の突きを無力化の盾で受け止め、反撃に斬り捨て、剣の鍔迫り合いになっても押し切っていた。
ヨーリィもナイフに切り替えてモモの援護をする。すばしっこい動きで確実に一体ずつ数を減らしていた。
アシノは皆の成長を感じる。正直な所、最初は頼りなかったモモやユモトも立派に戦っていた。
ムツヤは敵陣の中心へ行くと、魔剣を地面に突き刺す。辺りに業火が広がる。
十分と少し程度でスケルトンの大軍は、ほぼ壊滅した。
「皆さん、こっちに来てくだざい!!」
スケルトンの大軍が居たその奥、荒野の端にポツンとある扉を見つけてムツヤが言う。
ムツヤの光弾による援護射撃を受けながら、アシノ達は走った。
途中の残党はモモとヨーリィが斬り捨て押し通る。
扉の中へ滑り込むアシノ達、最後にムツヤも入っていった。
「やっとここで折り返し地点か」
アシノが呟く。サズァンが待つのは六十階層だ。
一階層、また一階層とムツヤ達は歩みを進める。
三十七階層で巨大な翼竜達を倒し終えた所で小休止を入れた。
「ムツヤ殿?」
心ここにあらずといった感じのムツヤを見てモモは心配そうに話しかける。
「あ、モモさん」
「サズァン様の事、考えていたのですか?」
「あっ、はい……」
考えを図星に当てられてムツヤは何と反応すれば良いか一瞬戸惑った。
「サズァン様、どうしてしまったんでしょうね」
ユモトもそんな事を言う。
「元から世界を壊すことが目的だったのかもしれんな」
アシノが言うと、ルーが疑問点を話す。
「それだったら、キエーウと戦った時に『災厄の壺』の事を教えたり、魔人ラメルって奴と戦った時に力を貸してくれたのは何故かしら」
皆で思考を巡らすが、答えは見つからない。
「考えていても分からん。やはり本人に直接聞くしかないだろう」
「ムツヤ、照明弾を使っても大丈夫か?」
「はい! 大丈夫でず!」
その会話を聞いたユモトが照明弾を打ち上げる。
そして、見えるのは巨大な影だ。
「牛の頭と人間の体。ミノタウロスか!!」
アシノが言うと、皆は武器を構えた。体の大きさは自分たちの十倍はあろうかという所だ。
大きな斧を持ち、地響きを立てながらこちらへと向かってくる。
ムツヤは飛び出して懐に入り、腹を一発殴った。すると、その巨体が宙を舞い、地面に叩きつけられる。
魔剣『ムゲンジゴク』を使い、倒れるミノタウロスの首をあっという間に刎ねた。
「終わりまじだ!」
「えっ? えっ? ボスってソイツだけ?」
ルーは呆気なく終わってしまった戦いにキョトンとしている。
「ミノタウロスは本来伝説の魔物だ。ムツヤが強すぎるだけだ」
そう言ってアシノは歩き始め、ハッとした仲間達も後を追う。
二十七階層へムツヤ達は辿り着く。
魔物の数が少なくなり、その代わりに出てくる個々が強くなった為、仲間達の出る幕は殆ど無く、ムツヤが大暴れするだけで道が開けていった。
「私たちは楽で良いけど、ムツヤっち疲れないの?」
ルーが少し心配そうに尋ねるも、ムツヤはあっけらかんとしている。
「俺は大丈夫でず!」
二十九階層、次はボスが出てくる。ムツヤは龍を地の彼方へと蹴り飛ばしていた。
「次は三十階層だな、お前たち自分の身を守ることを考えろ」
一同はそれぞれ返事をして、扉を抜ける。
その先の光景にアシノ達は驚く。夕暮れ時の広い荒野に白い何かが列を成して待ち構えていた。
人骨の魔物、スケルトンだ。数千体ほどのそれは、まるで軍隊のように旗を掲げ、弓兵、騎兵も居る。
先頭で馬に乗るスケルトンが剣を掲げると、隊列が一斉にこちらに向かってきた。
「これまずくない!? まずくない!?」
ルーは焦ってそんな事を言う。
「数が多すぎるな」
アシノもこの光景を見て流石に冷や汗が出た。
ムツヤは光魔法を使い、軍隊の列に光の刃を降らせる。隊列は滅茶苦茶になるが、スケルトン達はこちらに向かってくる。
弓兵が矢を飛ばしてきたので、ユモトが貼った防御壁の後ろへと仲間達は隠れた。
「こりゃ本当に軍隊と戦うようなモンだな」
「冷静に言わないでよ!」
ムツヤは斬り込んで弓兵達を次々にバラバラにしていった。粗方片付け終わると白兵戦の始まりだ。
ムツヤが走る後はスケルトンが煙となって消えていった。
「戦いはムツヤに任せて身を守れ!!」
アシノの号令に従って皆は武器を構えて身を寄せ合う。
こちらに向かってきたスケルトン目掛けてルーは召喚した精霊をぶつけた。
「少し強い人間って感じね」
それが戦ってみての感想だ。ムツヤがあまりにも簡単に倒しているので勘違いをしそうだが、相手は裏ダンジョンのモンスターだ。
ヨーリィが近付くスケルトンに木の杭を投げて牽制する。ユモトも巨大な氷柱を射出して戦う。
それでも数体こちらへ敵がやって来てしまう。接近戦はモモが前に出て戦っていた。
スケルトンを袈裟斬りにすると、ガラガラと崩れ煙になり消える。
槍の突きを無力化の盾で受け止め、反撃に斬り捨て、剣の鍔迫り合いになっても押し切っていた。
ヨーリィもナイフに切り替えてモモの援護をする。すばしっこい動きで確実に一体ずつ数を減らしていた。
アシノは皆の成長を感じる。正直な所、最初は頼りなかったモモやユモトも立派に戦っていた。
ムツヤは敵陣の中心へ行くと、魔剣を地面に突き刺す。辺りに業火が広がる。
十分と少し程度でスケルトンの大軍は、ほぼ壊滅した。
「皆さん、こっちに来てくだざい!!」
スケルトンの大軍が居たその奥、荒野の端にポツンとある扉を見つけてムツヤが言う。
ムツヤの光弾による援護射撃を受けながら、アシノ達は走った。
途中の残党はモモとヨーリィが斬り捨て押し通る。
扉の中へ滑り込むアシノ達、最後にムツヤも入っていった。
「やっとここで折り返し地点か」
アシノが呟く。サズァンが待つのは六十階層だ。
一階層、また一階層とムツヤ達は歩みを進める。
三十七階層で巨大な翼竜達を倒し終えた所で小休止を入れた。
「ムツヤ殿?」
心ここにあらずといった感じのムツヤを見てモモは心配そうに話しかける。
「あ、モモさん」
「サズァン様の事、考えていたのですか?」
「あっ、はい……」
考えを図星に当てられてムツヤは何と反応すれば良いか一瞬戸惑った。
「サズァン様、どうしてしまったんでしょうね」
ユモトもそんな事を言う。
「元から世界を壊すことが目的だったのかもしれんな」
アシノが言うと、ルーが疑問点を話す。
「それだったら、キエーウと戦った時に『災厄の壺』の事を教えたり、魔人ラメルって奴と戦った時に力を貸してくれたのは何故かしら」
皆で思考を巡らすが、答えは見つからない。
「考えていても分からん。やはり本人に直接聞くしかないだろう」


