森を抜けると、昔ながらの藁葺き屋根の家が見えた。
その家の前に出ている者を見て勇者達は驚く。
「あれは、アラクネに……。迷い木の怪物か!?」
イタヤがそう言って剣に手を掛けるも、すぐさまムツヤが前に立ちはだかる。
「あのアラクネさんとマヨイギさんはいい人です!!」
「人っていうか、魔物だがな。でもまぁ、危害は加えてきませんよ」
アシノの言葉に半信半疑だが、勇者達は武器を仕舞う。
「ヨーリィ!!」
「マヨイギ様」
マヨイギがこちらを向いてヨーリィの存在に気付く。勇者一行は警戒しながら近づいていった。
「な、なんだお前らは!!」
ノエウは見慣れない人間たちを怪しむが、見覚えのあるムツヤ達を見て少し安堵する。
スタスタと歩いてやって来たヨーリィをマヨイギは抱きしめていた。
「無事で良かった……」
そんな光景を見ていると、家の中から老人が出てくる。
「じいちゃん!!」
「ムツヤか」
そのやり取りで、皆はムツヤの祖父である事を察した。
「ムツヤっちのおじいさん!?」
「ムツヤ殿のお祖父様か……」
「じいちゃん!! 何で田舎が王都の近くに!? サズァン様は!?」
聞きたい事は山ほどあったが、まず最初に出たのはそんな言葉だ。
「ムツヤ、結界が壊れたんだ」
「結界が!?」
いくら裏の道具を使っても壊れなかったあの結界が壊れたという事にムツヤは驚く。
「それで、サズァン様は!?」
「塔の最上階にきっと居る」
そんな会話をアシノが遮って尋ねる。
「申し訳ありません。私は勇者アシノと申します」
「ワシはムツヤの祖父のタカクです」
「タカクさんですか。あの邪神サズァンについて知っている事をすべて教えてほしいのですが」
そう言うと、タカクは目を瞑り、開いてから話し始めた。
「邪神サズァン様はあの塔を千年守っています。それしか、今は話すことがありません」
まだ大事なことを隠していそうなタカクだったが、アシノは納得するフリをした。
「そうですか。後は直接、邪神サズァンに聞くしかありませんね」
アシノの言葉にタカクはゆっくりと頷いた。そんな時だ。勇者達は魔物の気配に気付く。
空には赤いモスモスが、地上には見たことのないカニの魔物、紫色のゴブリンが、塔の方角からやって来た。
タカクは空に手をかざし、雷を打ち出してモスモスを丸焼きにする。圧倒的な魔法に勇者パーティーの魔法使い達は目を丸くした。
「塔から魔物が溢れ出している。ワシひとりではもう抑えきれません」
「そうか、じいさん分かった。アシノさん!! 俺達は魔物を倒したほうが良さそうだ。アシノさん達は塔へ行ってくれ!!」
「えぇ、頼みました! 行くぞお前ら!!」
その掛け声と共にアシノ達は勇者達を振り返らずに塔へと走り出す。
天高くそびえ立つ塔、その下へムツヤ達はやって来た。
「これが……。裏ダンジョン……」
ユモトがゴクリと生唾を飲んで言う。
「ムツヤ、サズァンの力が強まっている今、お前が昔に登っていた様にはいかないかもしれない。気を付けろよ」
「わがりまじだ」
返事はするが、ムツヤは心ここにあらずといった感じだ。
「しっかりしろ!! ムツヤ!!」
アシノに喝を入れられ、ムツヤは下を向き目を瞑った後に正面を見据える。
「わがりまじだ!! 行きましょう!!」
「そう来なくっちゃ、ムツヤっち!」
一行は裏ダンジョンの一階へと侵入した。そこで早々に裏ダンジョンの洗礼を受けることになる。
「これは……」
扉を開けた先には草原が広がっていた。建物の中だというのに太陽まで登っている。
もっとジメジメした石造りの部屋を想像していた面々は驚いていた。
「ここは、本当に塔の中なのでしょうか?」
「はい、そうでず」
モモの言葉にムツヤが答える。
そして、それと同時に何かがムツヤ達の元へ接近してきた。
青紫色のカニの化け物だ。人ほどの大きさがある。
「な、なに!? このカニさん!!」
ルーが精霊を向かわせ叩くが、殻が頑丈すぎて衝撃しか与えられない。
ムツヤが走り、蹴飛ばすと、空の彼方へ消えていった。
「前衛はムツヤに任せるしか無いな。各自、自分の身を守ることを優先しろ!!」
アシノが言うと皆、返事をする。
今度は空飛ぶ赤いモスモスの群れだ。ユモトが電撃魔法を繰り出すが、一匹しか落とすことが出来なかった。
これもムツヤが炎の渦を繰り出して丸焼きにする。
ムツヤの後を付いて先へ進むと、草原の中にポツンと扉があった。
「あそこから次の部屋にいげまず」
「そうか、わかった」
ムツヤが扉を開け、仲間達もその中に入る。今度は打って変わって廃墟の街だった。雷鳴と雨が降っている。
「ここでは幽霊みたいな敵が出てきまず! 殴ったり普通の剣で攻撃がでぎまぜん」
「なるほどな、わかった」
ムツヤは魔剣『ムゲンジゴク』をカバンに収め、代わりに白い鞘の剣を二本、更に銀色に光るナイフも取り出した。
「モモさんとヨーリィもこれを! 幽霊が斬れます!」
「わかりました、ムツヤ殿!」
「わかった、お兄ちゃん」
そんな会話もそこそこに、半透明の人間や、ゾンビが襲いかかってくる。
ヨーリィが飛び出し、ナイフで幽霊を斬りつけると、それは消滅した。
「はあああ!!!」
モモも叫び、剣で幽霊を斬り捨てる。斬った手応えはないが、相手は消えた。
ムツヤはゾンビの群れに突っ込み、次々と切り捨てながら奥へ進む。
仲間達も自衛をしながらその後を追った。
その家の前に出ている者を見て勇者達は驚く。
「あれは、アラクネに……。迷い木の怪物か!?」
イタヤがそう言って剣に手を掛けるも、すぐさまムツヤが前に立ちはだかる。
「あのアラクネさんとマヨイギさんはいい人です!!」
「人っていうか、魔物だがな。でもまぁ、危害は加えてきませんよ」
アシノの言葉に半信半疑だが、勇者達は武器を仕舞う。
「ヨーリィ!!」
「マヨイギ様」
マヨイギがこちらを向いてヨーリィの存在に気付く。勇者一行は警戒しながら近づいていった。
「な、なんだお前らは!!」
ノエウは見慣れない人間たちを怪しむが、見覚えのあるムツヤ達を見て少し安堵する。
スタスタと歩いてやって来たヨーリィをマヨイギは抱きしめていた。
「無事で良かった……」
そんな光景を見ていると、家の中から老人が出てくる。
「じいちゃん!!」
「ムツヤか」
そのやり取りで、皆はムツヤの祖父である事を察した。
「ムツヤっちのおじいさん!?」
「ムツヤ殿のお祖父様か……」
「じいちゃん!! 何で田舎が王都の近くに!? サズァン様は!?」
聞きたい事は山ほどあったが、まず最初に出たのはそんな言葉だ。
「ムツヤ、結界が壊れたんだ」
「結界が!?」
いくら裏の道具を使っても壊れなかったあの結界が壊れたという事にムツヤは驚く。
「それで、サズァン様は!?」
「塔の最上階にきっと居る」
そんな会話をアシノが遮って尋ねる。
「申し訳ありません。私は勇者アシノと申します」
「ワシはムツヤの祖父のタカクです」
「タカクさんですか。あの邪神サズァンについて知っている事をすべて教えてほしいのですが」
そう言うと、タカクは目を瞑り、開いてから話し始めた。
「邪神サズァン様はあの塔を千年守っています。それしか、今は話すことがありません」
まだ大事なことを隠していそうなタカクだったが、アシノは納得するフリをした。
「そうですか。後は直接、邪神サズァンに聞くしかありませんね」
アシノの言葉にタカクはゆっくりと頷いた。そんな時だ。勇者達は魔物の気配に気付く。
空には赤いモスモスが、地上には見たことのないカニの魔物、紫色のゴブリンが、塔の方角からやって来た。
タカクは空に手をかざし、雷を打ち出してモスモスを丸焼きにする。圧倒的な魔法に勇者パーティーの魔法使い達は目を丸くした。
「塔から魔物が溢れ出している。ワシひとりではもう抑えきれません」
「そうか、じいさん分かった。アシノさん!! 俺達は魔物を倒したほうが良さそうだ。アシノさん達は塔へ行ってくれ!!」
「えぇ、頼みました! 行くぞお前ら!!」
その掛け声と共にアシノ達は勇者達を振り返らずに塔へと走り出す。
天高くそびえ立つ塔、その下へムツヤ達はやって来た。
「これが……。裏ダンジョン……」
ユモトがゴクリと生唾を飲んで言う。
「ムツヤ、サズァンの力が強まっている今、お前が昔に登っていた様にはいかないかもしれない。気を付けろよ」
「わがりまじだ」
返事はするが、ムツヤは心ここにあらずといった感じだ。
「しっかりしろ!! ムツヤ!!」
アシノに喝を入れられ、ムツヤは下を向き目を瞑った後に正面を見据える。
「わがりまじだ!! 行きましょう!!」
「そう来なくっちゃ、ムツヤっち!」
一行は裏ダンジョンの一階へと侵入した。そこで早々に裏ダンジョンの洗礼を受けることになる。
「これは……」
扉を開けた先には草原が広がっていた。建物の中だというのに太陽まで登っている。
もっとジメジメした石造りの部屋を想像していた面々は驚いていた。
「ここは、本当に塔の中なのでしょうか?」
「はい、そうでず」
モモの言葉にムツヤが答える。
そして、それと同時に何かがムツヤ達の元へ接近してきた。
青紫色のカニの化け物だ。人ほどの大きさがある。
「な、なに!? このカニさん!!」
ルーが精霊を向かわせ叩くが、殻が頑丈すぎて衝撃しか与えられない。
ムツヤが走り、蹴飛ばすと、空の彼方へ消えていった。
「前衛はムツヤに任せるしか無いな。各自、自分の身を守ることを優先しろ!!」
アシノが言うと皆、返事をする。
今度は空飛ぶ赤いモスモスの群れだ。ユモトが電撃魔法を繰り出すが、一匹しか落とすことが出来なかった。
これもムツヤが炎の渦を繰り出して丸焼きにする。
ムツヤの後を付いて先へ進むと、草原の中にポツンと扉があった。
「あそこから次の部屋にいげまず」
「そうか、わかった」
ムツヤが扉を開け、仲間達もその中に入る。今度は打って変わって廃墟の街だった。雷鳴と雨が降っている。
「ここでは幽霊みたいな敵が出てきまず! 殴ったり普通の剣で攻撃がでぎまぜん」
「なるほどな、わかった」
ムツヤは魔剣『ムゲンジゴク』をカバンに収め、代わりに白い鞘の剣を二本、更に銀色に光るナイフも取り出した。
「モモさんとヨーリィもこれを! 幽霊が斬れます!」
「わかりました、ムツヤ殿!」
「わかった、お兄ちゃん」
そんな会話もそこそこに、半透明の人間や、ゾンビが襲いかかってくる。
ヨーリィが飛び出し、ナイフで幽霊を斬りつけると、それは消滅した。
「はあああ!!!」
モモも叫び、剣で幽霊を斬り捨てる。斬った手応えはないが、相手は消えた。
ムツヤはゾンビの群れに突っ込み、次々と切り捨てながら奥へ進む。
仲間達も自衛をしながらその後を追った。


