ミシロは木の枝を集めることにした。うさぎを焼いて食べるためだ。
その辺を散策すると、十分な量の枝は集まったが、どうやって火を付けるかだ。
だが、ミシロは不思議と今の自分なら魔法で火を出せる感覚があった。
「うーん……」
集めた枝に目を閉じて炎を想像する。すると、手のひらからポンッと火の玉が現れ、枝に向かってふわふわと飛び出す。
「わっ!」
本当に出来たことにミシロはびっくりするが、同時に少し興奮していた。火が消えないように枝をいじり、息を吹きかける。
立派な焚き火ができると、そこでうさぎを串に刺して焼き始めた。しばらくすると、美味しそうな匂いが広がる。
「そろそろかな?」
うさぎを引き上げると、ミシロはパクリと一口食べる。
味付けこそ無かったが、肉のジューシーさは空きっ腹に染み渡るものだった。
夢中でうさぎを食べ終えると、ミシロは空を見上げる。これからどうしようと。
ふと、ラメル様の事を思い出した。世界をメチャクチャにすると約束したんだ。
しかし、世界をメチャクチャにすると言っても、何から始めれば良いのか分からなかった。
何だか疲労感が襲い、ミシロは眠ってしまう。
「んだよ、ガキが居るだけじゃねえか」
そんな声でミシロは目を覚ます。見ると男が3人。それ以外にも気配があった。
「アホな冒険者か、もしくは行商人かと思ったんですがねぇ」
立ち上がり、震えながらミシロは男達を見る。
「まぁいい、服を脱いで、金目のものを出せ」
男達は山賊だった。命令されたミシロが後ろに後ずさりした。
「ガキとは言え女ですぜ、良いようにしちまいましょうか」
「そうだな」
意地汚い笑みを浮かべてこちらにやって来る山賊。ミシロはどうしようどうしようと考え、そうだと思う。
翼を背中から出して空高く飛び上がった。
「なっ!?」
男達は驚きの声を上げる。そのまま逃げようとも考えたミシロだったが。
何故か心の底から「アイツ等を殺せ」という感情が湧き出る。自分に出来るのかといった不安があったが、衝動が抑えられない。
ミシロは急降下し、山賊の一人に蹴りを食らわせる。
「がぐっ」
そんな声を出して、山賊は吹き飛び、絶命した。
「な、何なんだこいつ!? 魔物か!?」
剣を抜いて山賊たちは構えた。武器を構えられ、ミシロはブルッと震え上がる。
「くっそ、この野郎!!」
斬りかかる山賊だったが、その瞬間、動きがスローモーションに見えた。
次にどんな動きをするのか、剣の軌道が全て読める。
軽々とミシロはそれを躱すと、右拳を顔に叩き込んだ。山賊の首が吹き飛ぶ。
「な、なんだコイツ……」
他の山賊たちはすっかり震え上がっていた。逃げようとするが、それはミシロが許さない。
飛んで追いかけて殴る。上半身を拳が貫通した。
「ば、化け物だ!!」
「化け物だと、上等だ。こいつを試してやろう」
「おかしらぁ!!」
山賊の頭であろう大男が出てきた。手には青みがかった色の細い剣だ。
「魔人の残した武具だかしらんが、元上級冒険者の俺と、この剣に勝てるわけがねぇ」
頭はそんな事を言ってミシロに突っ込んできた。
なるほど、先程の山賊より早い。だが、ミシロが躱せない程では無かった。
「まだまだこんなもんじゃねぇぜ!!」
山賊が言った後、何と剣先で地面を突き刺す。それと同時に、地面から水弾が地中から無数に打ち出された。
水は勢いをつければ、金属すら切断できる。数発食らうと、ミシロは久しぶりに痛みを感じた。
それがきっかけで、ミシロは過去の虐げられていた日々がフラッシュバックしてしまう。
「いや、いや……」
「どうだ、この剣は!! 恐らく伝説通りなら、魔剣『ジャビガワ』だ」
「かっけーっす!! 頭!!」
縮こまり震えているミシロ相手に山賊の頭はトドメを入れようとする。
「終わりだ、水よ吹き出せジャビガワァ!!!」
地面を突き刺し、水を噴出させようとした。逃げねば、死ぬ……。
「嫌だああああ!!!」
ミシロは発狂して飛び上がる。耳をつんざくほどの声に山賊たちは怯んだ。
「死ねえええええ!!!!」
山賊の頭目掛けてミシロは急降下する。
「クソっ!!」
そう言って頭は水弾を打ち続けるが、ミシロが無意識の内に貼っていたバリアに全て弾かれる。
飛びながらミシロは右手の爪を鋭く伸ばし、頭の喉笛を切り裂いた。
「あっ、あー!!!」
頭は右手でそこを抑えながら悶ていたが、助からないだろう。
残りも殴り蹴り、切り裂いて8人居た山賊は、壊滅してしまった。
まだ息がある山賊の元へ近付き、ミシロは上から見下す。
「お、お願いです!! 命だけは!!」
「何でお前達はこんな目に会ったか知ってる?」
「も、もう山賊なんてやりません!! 悪さもしません!! ですから……」
「弱いからだよ、弱いのがいけないの。弱いやつなんて奪われて当然なんだから」
そう言ってミシロは腕を振ると、顔の無くなった山賊は息絶えた。
すっかり静寂を取り戻した山の中で、ミシロは山賊たちの荷物を物色していた。
食料は無かった。水は少しあったが、こんな奴らが口をつけたものを飲みたくない。
そして、山賊頭の持っていた魔剣『ジャビガワ』と呼ばれていた剣を手に取る。
ラメル様がカバンから取り出した道具。あの時は触れることすら出来なかった魔剣を握ることが出来て、少し嬉しさを感じる。
その辺を散策すると、十分な量の枝は集まったが、どうやって火を付けるかだ。
だが、ミシロは不思議と今の自分なら魔法で火を出せる感覚があった。
「うーん……」
集めた枝に目を閉じて炎を想像する。すると、手のひらからポンッと火の玉が現れ、枝に向かってふわふわと飛び出す。
「わっ!」
本当に出来たことにミシロはびっくりするが、同時に少し興奮していた。火が消えないように枝をいじり、息を吹きかける。
立派な焚き火ができると、そこでうさぎを串に刺して焼き始めた。しばらくすると、美味しそうな匂いが広がる。
「そろそろかな?」
うさぎを引き上げると、ミシロはパクリと一口食べる。
味付けこそ無かったが、肉のジューシーさは空きっ腹に染み渡るものだった。
夢中でうさぎを食べ終えると、ミシロは空を見上げる。これからどうしようと。
ふと、ラメル様の事を思い出した。世界をメチャクチャにすると約束したんだ。
しかし、世界をメチャクチャにすると言っても、何から始めれば良いのか分からなかった。
何だか疲労感が襲い、ミシロは眠ってしまう。
「んだよ、ガキが居るだけじゃねえか」
そんな声でミシロは目を覚ます。見ると男が3人。それ以外にも気配があった。
「アホな冒険者か、もしくは行商人かと思ったんですがねぇ」
立ち上がり、震えながらミシロは男達を見る。
「まぁいい、服を脱いで、金目のものを出せ」
男達は山賊だった。命令されたミシロが後ろに後ずさりした。
「ガキとは言え女ですぜ、良いようにしちまいましょうか」
「そうだな」
意地汚い笑みを浮かべてこちらにやって来る山賊。ミシロはどうしようどうしようと考え、そうだと思う。
翼を背中から出して空高く飛び上がった。
「なっ!?」
男達は驚きの声を上げる。そのまま逃げようとも考えたミシロだったが。
何故か心の底から「アイツ等を殺せ」という感情が湧き出る。自分に出来るのかといった不安があったが、衝動が抑えられない。
ミシロは急降下し、山賊の一人に蹴りを食らわせる。
「がぐっ」
そんな声を出して、山賊は吹き飛び、絶命した。
「な、何なんだこいつ!? 魔物か!?」
剣を抜いて山賊たちは構えた。武器を構えられ、ミシロはブルッと震え上がる。
「くっそ、この野郎!!」
斬りかかる山賊だったが、その瞬間、動きがスローモーションに見えた。
次にどんな動きをするのか、剣の軌道が全て読める。
軽々とミシロはそれを躱すと、右拳を顔に叩き込んだ。山賊の首が吹き飛ぶ。
「な、なんだコイツ……」
他の山賊たちはすっかり震え上がっていた。逃げようとするが、それはミシロが許さない。
飛んで追いかけて殴る。上半身を拳が貫通した。
「ば、化け物だ!!」
「化け物だと、上等だ。こいつを試してやろう」
「おかしらぁ!!」
山賊の頭であろう大男が出てきた。手には青みがかった色の細い剣だ。
「魔人の残した武具だかしらんが、元上級冒険者の俺と、この剣に勝てるわけがねぇ」
頭はそんな事を言ってミシロに突っ込んできた。
なるほど、先程の山賊より早い。だが、ミシロが躱せない程では無かった。
「まだまだこんなもんじゃねぇぜ!!」
山賊が言った後、何と剣先で地面を突き刺す。それと同時に、地面から水弾が地中から無数に打ち出された。
水は勢いをつければ、金属すら切断できる。数発食らうと、ミシロは久しぶりに痛みを感じた。
それがきっかけで、ミシロは過去の虐げられていた日々がフラッシュバックしてしまう。
「いや、いや……」
「どうだ、この剣は!! 恐らく伝説通りなら、魔剣『ジャビガワ』だ」
「かっけーっす!! 頭!!」
縮こまり震えているミシロ相手に山賊の頭はトドメを入れようとする。
「終わりだ、水よ吹き出せジャビガワァ!!!」
地面を突き刺し、水を噴出させようとした。逃げねば、死ぬ……。
「嫌だああああ!!!」
ミシロは発狂して飛び上がる。耳をつんざくほどの声に山賊たちは怯んだ。
「死ねえええええ!!!!」
山賊の頭目掛けてミシロは急降下する。
「クソっ!!」
そう言って頭は水弾を打ち続けるが、ミシロが無意識の内に貼っていたバリアに全て弾かれる。
飛びながらミシロは右手の爪を鋭く伸ばし、頭の喉笛を切り裂いた。
「あっ、あー!!!」
頭は右手でそこを抑えながら悶ていたが、助からないだろう。
残りも殴り蹴り、切り裂いて8人居た山賊は、壊滅してしまった。
まだ息がある山賊の元へ近付き、ミシロは上から見下す。
「お、お願いです!! 命だけは!!」
「何でお前達はこんな目に会ったか知ってる?」
「も、もう山賊なんてやりません!! 悪さもしません!! ですから……」
「弱いからだよ、弱いのがいけないの。弱いやつなんて奪われて当然なんだから」
そう言ってミシロは腕を振ると、顔の無くなった山賊は息絶えた。
すっかり静寂を取り戻した山の中で、ミシロは山賊たちの荷物を物色していた。
食料は無かった。水は少しあったが、こんな奴らが口をつけたものを飲みたくない。
そして、山賊頭の持っていた魔剣『ジャビガワ』と呼ばれていた剣を手に取る。
ラメル様がカバンから取り出した道具。あの時は触れることすら出来なかった魔剣を握ることが出来て、少し嬉しさを感じる。


