「お待たせいたしました、お料理とサイン色紙でーす」
「当たり前のようにサイン色紙持ってきましたね!!」
アシノはウェイトレスにツッコミを入れた。爆笑するルーの頭を1発叩いてから渋々サインを書く。
美味しそうな料理が並べられると皆それぞれ祈り食事を始める。
「あ、このお野菜すごく美味しいです!」
ユモトはサラダを食べて言った。シャキシャキとした食感とみずみずしさ、甘さが口の中に広がる。
「確かに、見事な野菜だ。この肉も脂が乗っていてうまいな」
モモも前菜のローストビーフに舌鼓を打つ。ムツヤはそんな事を考えているのか、いないのか、バクバクと食べていた。ルーも負けじと頬をハムスターのように膨らませて食べていた。
「お前はもうちょい行儀よく食べろ」
「らっておいしいんらもん」
「食いながら話すな!!」
食事の中程でシェフと思わしき男がムツヤ達のテーブルまでやって来る。
「勇者アシノ様とお連れの皆様、お料理は楽しんで頂けてますでしょうか?」
「えぇ、どれも美味しく頂いています」
アシノはシェフに軽く会釈をした。
「ありがとうございます。当店の料理は、ほとんどこの村で採れたものを使っておりますので食材の新鮮さには自信があります」
「なるほどねー」
ルーは口の中のものを飲み込んで言う。
「それでは、お食事が終わる頃にデザートをお持ちしますのでごゆっくりお楽しみ下さい」
シェフは一礼してまた厨房へ引っ込んでいった。
「何か良い村ですね、優しい人や良い人が多くて」
「えぇ、そうですね」
ムツヤが言うとモモも同調した。そして食事が終わる頃にデザートが運ばれる。
「お待たせいたしましたー!! 当店特製のプリンでございます」
「やーん、おいしそー!」
ルーは両手を頬に当ててくねくねとしだした。黄色いプルプルとした物体に茶色いソースが掛かったそれをムツヤは初めて見る。
「なんですかこれ?」
「これはプリンって言って牛乳と卵とお砂糖で出来たお菓子です」
「牛乳と卵で?」
ムツヤは頭の中でどうやって作るのか想像をしていた。
「百聞は一見にしかずよ、食べればわかるさ!!」
そう言ってルーは先にプリンを食べ始める。
「ンまあーい」
プリンを食べたルーは思わずそう口にした。
「あ、本当だ。このプリン美味しい!」
ユモトもひとくち食べて言った。ムツヤもそれを見てスプーンでプリンをつつくと、プルプルとした感触が伝わる。
「お、美味しい!」
プリンを口に運ぶと、ムツヤは初めて食べる食感と甘みが気に入ったようだった。
大満足で店を出ると、ムツヤ達は宿へと帰る。夕飯までは自由行動という事になった。
それぞれ買い物をしたり、散歩をしたり、情報を集めたりと思い思いに過ごすとあっという間に日が暮れる。
一行は宿屋で酒を飲みながら夕飯を食べた。エールを一気に半分ほど飲み干した後にアシノが話し始めた。
「そういえば1つ気がかりなことがあった」
「何なにー?」
「今日、村を散歩がてら村人に聞き込みをしてみたんだ。そうしたらアラクネの目撃情報は集まったんだが、そのアラクネに化かされたという男の事を聞くと、皆はぐらかしてくるんだ」
アシノの言葉を聞いてルーはうーんと何かを考える。
「何か隠し事をしてそうね」
「あぁ、まあどのみちアラクネを見つけ出せば分かることだがな」
アシノもそこまで深刻に考えてはいないようだった。
「ふわあああ、ムツヤさんは僕が守りましゅよおおお」
「ユモトさんも俺がまもりますううう」
アシノから飲んでみろと言われて酔っ払っているこの2人の方が問題だ。
「ユモトとムツヤ殿は本当にお酒に弱いですね……」
「見ていて楽しいけどねー」
夕食が済んだ後は皆すぐに眠りについた。
まだ朝日が登るか登らないかの時間にムツヤの連絡石から声がした。
「ムツヤくん、ムツヤくん、起きてくれ」
目を覚ましたのはムツヤではなく、魔力をもらうために手を握って一緒に寝ているヨーリィだった。
ヨーリィはムツヤの頬を軽くペチペチと叩いて起こす。
「うーん? おはようヨーリィ」
「起きたかムツヤくん」
「あぁ、ギルスさん。おはようございます」
「朝早くにすまないね、探知盤に反応があったんだ。北西の方角から裏の道具持ちが近づいてきている」
裏の道具という言葉を聞いてムツヤは一気に目が覚めた。
「わがりました、すぐに皆と行きます!」
ムツヤは皆を起こして周り、事情を説明する。
「まったく、朝っぱらからキエーウの奴らもご苦労なことだね」
宿屋の外に出るとアシノがぼやいた。ひんやりとした朝の空気が心地よい。
「北西って言うとあの山の辺り? 私もう山登りしたくなーい!!」
ルーは駄々をこねるがアシノに襟首を掴まれて連れて行かれる。
探知盤をルーが持ち後衛に。前衛はモモとユモトだ、裏の道具持ちに合うまでは2人の訓練も行う。
襲いかかる魔物をモモは切り裂き、ユモトは氷の魔法で貫き、雷で黒焦げにする。
そんな調子で戦いながら進むと探知盤で分かる裏の道具の場所付近までムツヤ達はたどり着いていた。
ムツヤは探知魔法で周辺に人の気配が無いか調べていた。するとある事に気づいてルーに告げる。
「探知盤の裏の道具の場所に2人居ます」
「まずいな、裏の道具持ちふたりを相手に戦うのか」
アシノは少し不安そうに言った。
「まぁまぁ、大丈夫よ。こっちにはムツヤっちもいるしー」
「そうだな……、悩んでいても仕方ない、ゆっくり近づくぞ」
前衛をムツヤとヨーリィに任せて一行は歩き始めた。
ムツヤなら不意打ちにも対応できるし、ヨーリィは1度ぐらい致命傷を負っても枯れ葉から再生ができるからだ。
「そろそろね」
ルーがそう言ったその時だった。少し開けた場所に居たのは、クモの体を持ち、上半身が人間の。
アラクネだった。
「当たり前のようにサイン色紙持ってきましたね!!」
アシノはウェイトレスにツッコミを入れた。爆笑するルーの頭を1発叩いてから渋々サインを書く。
美味しそうな料理が並べられると皆それぞれ祈り食事を始める。
「あ、このお野菜すごく美味しいです!」
ユモトはサラダを食べて言った。シャキシャキとした食感とみずみずしさ、甘さが口の中に広がる。
「確かに、見事な野菜だ。この肉も脂が乗っていてうまいな」
モモも前菜のローストビーフに舌鼓を打つ。ムツヤはそんな事を考えているのか、いないのか、バクバクと食べていた。ルーも負けじと頬をハムスターのように膨らませて食べていた。
「お前はもうちょい行儀よく食べろ」
「らっておいしいんらもん」
「食いながら話すな!!」
食事の中程でシェフと思わしき男がムツヤ達のテーブルまでやって来る。
「勇者アシノ様とお連れの皆様、お料理は楽しんで頂けてますでしょうか?」
「えぇ、どれも美味しく頂いています」
アシノはシェフに軽く会釈をした。
「ありがとうございます。当店の料理は、ほとんどこの村で採れたものを使っておりますので食材の新鮮さには自信があります」
「なるほどねー」
ルーは口の中のものを飲み込んで言う。
「それでは、お食事が終わる頃にデザートをお持ちしますのでごゆっくりお楽しみ下さい」
シェフは一礼してまた厨房へ引っ込んでいった。
「何か良い村ですね、優しい人や良い人が多くて」
「えぇ、そうですね」
ムツヤが言うとモモも同調した。そして食事が終わる頃にデザートが運ばれる。
「お待たせいたしましたー!! 当店特製のプリンでございます」
「やーん、おいしそー!」
ルーは両手を頬に当ててくねくねとしだした。黄色いプルプルとした物体に茶色いソースが掛かったそれをムツヤは初めて見る。
「なんですかこれ?」
「これはプリンって言って牛乳と卵とお砂糖で出来たお菓子です」
「牛乳と卵で?」
ムツヤは頭の中でどうやって作るのか想像をしていた。
「百聞は一見にしかずよ、食べればわかるさ!!」
そう言ってルーは先にプリンを食べ始める。
「ンまあーい」
プリンを食べたルーは思わずそう口にした。
「あ、本当だ。このプリン美味しい!」
ユモトもひとくち食べて言った。ムツヤもそれを見てスプーンでプリンをつつくと、プルプルとした感触が伝わる。
「お、美味しい!」
プリンを口に運ぶと、ムツヤは初めて食べる食感と甘みが気に入ったようだった。
大満足で店を出ると、ムツヤ達は宿へと帰る。夕飯までは自由行動という事になった。
それぞれ買い物をしたり、散歩をしたり、情報を集めたりと思い思いに過ごすとあっという間に日が暮れる。
一行は宿屋で酒を飲みながら夕飯を食べた。エールを一気に半分ほど飲み干した後にアシノが話し始めた。
「そういえば1つ気がかりなことがあった」
「何なにー?」
「今日、村を散歩がてら村人に聞き込みをしてみたんだ。そうしたらアラクネの目撃情報は集まったんだが、そのアラクネに化かされたという男の事を聞くと、皆はぐらかしてくるんだ」
アシノの言葉を聞いてルーはうーんと何かを考える。
「何か隠し事をしてそうね」
「あぁ、まあどのみちアラクネを見つけ出せば分かることだがな」
アシノもそこまで深刻に考えてはいないようだった。
「ふわあああ、ムツヤさんは僕が守りましゅよおおお」
「ユモトさんも俺がまもりますううう」
アシノから飲んでみろと言われて酔っ払っているこの2人の方が問題だ。
「ユモトとムツヤ殿は本当にお酒に弱いですね……」
「見ていて楽しいけどねー」
夕食が済んだ後は皆すぐに眠りについた。
まだ朝日が登るか登らないかの時間にムツヤの連絡石から声がした。
「ムツヤくん、ムツヤくん、起きてくれ」
目を覚ましたのはムツヤではなく、魔力をもらうために手を握って一緒に寝ているヨーリィだった。
ヨーリィはムツヤの頬を軽くペチペチと叩いて起こす。
「うーん? おはようヨーリィ」
「起きたかムツヤくん」
「あぁ、ギルスさん。おはようございます」
「朝早くにすまないね、探知盤に反応があったんだ。北西の方角から裏の道具持ちが近づいてきている」
裏の道具という言葉を聞いてムツヤは一気に目が覚めた。
「わがりました、すぐに皆と行きます!」
ムツヤは皆を起こして周り、事情を説明する。
「まったく、朝っぱらからキエーウの奴らもご苦労なことだね」
宿屋の外に出るとアシノがぼやいた。ひんやりとした朝の空気が心地よい。
「北西って言うとあの山の辺り? 私もう山登りしたくなーい!!」
ルーは駄々をこねるがアシノに襟首を掴まれて連れて行かれる。
探知盤をルーが持ち後衛に。前衛はモモとユモトだ、裏の道具持ちに合うまでは2人の訓練も行う。
襲いかかる魔物をモモは切り裂き、ユモトは氷の魔法で貫き、雷で黒焦げにする。
そんな調子で戦いながら進むと探知盤で分かる裏の道具の場所付近までムツヤ達はたどり着いていた。
ムツヤは探知魔法で周辺に人の気配が無いか調べていた。するとある事に気づいてルーに告げる。
「探知盤の裏の道具の場所に2人居ます」
「まずいな、裏の道具持ちふたりを相手に戦うのか」
アシノは少し不安そうに言った。
「まぁまぁ、大丈夫よ。こっちにはムツヤっちもいるしー」
「そうだな……、悩んでいても仕方ない、ゆっくり近づくぞ」
前衛をムツヤとヨーリィに任せて一行は歩き始めた。
ムツヤなら不意打ちにも対応できるし、ヨーリィは1度ぐらい致命傷を負っても枯れ葉から再生ができるからだ。
「そろそろね」
ルーがそう言ったその時だった。少し開けた場所に居たのは、クモの体を持ち、上半身が人間の。
アラクネだった。