ルーとギルスは作戦会議が終わってからずっと地下に引きこもり、探知盤を分解して青い石を取り出している。
ユモトは家事があるため、探知盤の監視係はムツヤだった。ソファに座ったまま眠気を抑え、何の反応もない板を見つめていた。
その膝にはヨーリィが頭を乗せていた。両手が使えないムツヤから魔力を補給するためにこんな形になっているらしい。
アシノは夕飯まで寝ると言って部屋へ帰っていき、モモは念の為と家の周りを巡回し、警備していた。
「お兄ちゃん、寝ちゃダメ」
薄目になっているムツヤの頬をペチペチとヨーリィは叩いて起こす。
「んが、寝てないよ!!」
ムツヤはハッとして起きる、ヨーリィはムツヤをじっと見つめていた。
「私も探知盤を扱えれば良いんだけど」
ヨーリィは魔力の扱いには長けていたが、探知盤は何故か操作ができなかった。
そんな時にムツヤの胸の紫色のペンダントが光りだした。そして2人の幻影を映し出す。
「はーい、呼ばれなくてもジャンジャカジャンジャンジャーン!」
「さ、サズァン様!?」
「マヨイギ様」
サズァンはバッチリとポーズを取り、迷い木の怪物は棒立ちだった。
「ヨーリィ、何してるの!? 無理やりそんな事させられてない?」
ムツヤの膝の上で寝ているヨーリィを見てマヨイギが身を乗り出して心配する。
「ムツヤお兄ちゃんから魔力をもらっているだけです」
ヨーリィは淡々と答えてマヨイギは一安心した。
「変なことされたらこう、グサッと脇腹刺しちゃって良いからね?」
「ちょーっと? ウチのムツヤに何てこと言うのよ!!」
マヨイギはさらりと恐ろしい事を良い、それに対しサズァンは怒っている。
「あっ、失礼しましたサズァン様……」
「まぁいいわ、大体だけど今の状況は把握しているわ、やっとキエーウって奴らに反撃ってところよね」
「はい、やっと裏の道具を取り返せそうです!」
「頑張ってねムツヤ、今日はマヨイギがヨーリィの様子を見たいってうるさいから何とか繋いだけど。結界が元に戻ってきているから魔力長く持たないし、ひと苦労なのよねー」
「そうだったのですか、マヨイギ様」
ヨーリィに見つめられてそう言われるとマヨイギは照れて視線を逸らして答える。
「い、いや、今はお前の主人じゃ無いけど、ちょっと気になってだな」
「確かに、今の主人はムツヤお兄ちゃんですが。私にとってマヨイギ様もずっと主人です」
「ヨーリィ……」
マヨイギの目には何かこみ上げるものがあったが、くるりと背を向けてしまう。
「あー、魔力切れる! バイバイムツヤー、皆と仲良くするのよー」
「はい、サズァン様!」
手をひらひらと振るサズァンにムツヤは元気よく返事をした。
「あっ、えっと、ヨーリィまたね」
「はい、マヨイギ様」
言い終わると同時にサズァンとマヨイギの姿は消えていく。
それからしばらくしてムツヤは寝てしまったが、器用なことに探知盤に魔力を流したままだったので、ムツヤの足の間にヨーリィはちょこんと座り、代わりに眺めていた。
「ムツヤさーん、起きてください。ご飯できましたよー」
ユモトがムツヤの肩を叩くと目を覚ます。
「あ、すいません寝てました」
「探知盤は異常ありませんでした」
「あー、ヨーリィが見ていてくれたのか、ありがとう」
そう言ってムツヤはヨーリィの頭を撫でる。次にユモトは地下室へと向かう。
「ルーさんギルスさーん、ご飯できましたよー」
「あー、負けたぁ!!!」
ユモトが言い終わる前にルーは騒ぎ出した。
「ど、どうしたんですか?」
「あぁ、ユモトくん。なに、夕飯までにどっちが探知盤をより分解できるか競争していたんだ」
2人のテーブルには山ほどの探知盤が積み重なっている。
「俺の勝ち、なんで負けたか明日まで考えておけよ」
「ぐやじい!!」
ハハとユモトは苦笑いをしてアシノとモモにも声を掛けた。
「いっただきまーす」
食卓に着くとそれぞれ神に祈ったり、食材の命に祈ったりしたが、相変わらずルーは一番うるさかった。
食事が始まってしばらくするとふとムツヤが思い出したように言う。
「あ、そう言えばさっきサズァン様とマヨイギさんとお話したんですよ」
ルーは思わず食酒をブーッと吐く。
「うわっ、お前汚っ!!」
「汚くないもん!!」
ギルスとルーは仲が良いのか悪いのか言い合っていた。
「なんで呼んでくれなかったの!? 私も邪神様とお話してみたかった!!」
「いえ、サズァン様の魔力が持たないってすぐお話は終わっちゃったんですけど」
ムツヤは騒ぐルーをなだめようとしている。
「『迷い木の怪物』か、今やめったに見ない魔物だが」
アシノはポツリと言った。
「マヨイギさん、強かったですよね。結界に迷い込んだ時はもうダメかと思いました」
ユモトが言うとモモもクスリと笑って話し出す。
「マヨイギ殿もだが、ヨーリィも強くて苦戦したぞ」
チビチビとりんごジュースを飲んでいたヨーリィがふと顔を上げる。
「ムツヤお兄ちゃんがデタラメに強くて、ダメだと思ったのはこっちの方だった」
「なるほどな、そう言えばヨーリィちゃんとは元々敵同士だったのか。やけにムツヤくんに懐いているからそんな感じはしなかったが」
ギルスがそう言うとヨーリィは言葉を返す。
「ムツヤお兄ちゃんは、今は私のご主人様ですし、ムツヤお兄ちゃんが居ないと私は枯れ葉に戻ってしまいますから」
「何かそれだと生きるために仕方なくって感じがするな」
アシノは酒を飲みながら言う。
「それは私にもわかりません。1度死んだ時に感情も失ってしまったみたいで」
「ふーん、色々とお前も大変なんだな」
その会話をしている間に、ルーはヨーリィの元まで歩いていって肩に腕を回した。
「ヨーリィちゃんはルーお姉ちゃんのこと好きー?」
「はい、今は仲間ですから」
その言葉を聞くとルーは「くぅー」っと声を出してヨーリィを抱きしめる。
「もうヨーリィちゃん大好きー、私の妹にするー!!」
ヨーリィは無表情のまま抱きしめられて揺さぶられる。そんなこんなで夕食は終わり、監視役のルーを残して、みんな寝静まって日が変わった。
ユモトは家事があるため、探知盤の監視係はムツヤだった。ソファに座ったまま眠気を抑え、何の反応もない板を見つめていた。
その膝にはヨーリィが頭を乗せていた。両手が使えないムツヤから魔力を補給するためにこんな形になっているらしい。
アシノは夕飯まで寝ると言って部屋へ帰っていき、モモは念の為と家の周りを巡回し、警備していた。
「お兄ちゃん、寝ちゃダメ」
薄目になっているムツヤの頬をペチペチとヨーリィは叩いて起こす。
「んが、寝てないよ!!」
ムツヤはハッとして起きる、ヨーリィはムツヤをじっと見つめていた。
「私も探知盤を扱えれば良いんだけど」
ヨーリィは魔力の扱いには長けていたが、探知盤は何故か操作ができなかった。
そんな時にムツヤの胸の紫色のペンダントが光りだした。そして2人の幻影を映し出す。
「はーい、呼ばれなくてもジャンジャカジャンジャンジャーン!」
「さ、サズァン様!?」
「マヨイギ様」
サズァンはバッチリとポーズを取り、迷い木の怪物は棒立ちだった。
「ヨーリィ、何してるの!? 無理やりそんな事させられてない?」
ムツヤの膝の上で寝ているヨーリィを見てマヨイギが身を乗り出して心配する。
「ムツヤお兄ちゃんから魔力をもらっているだけです」
ヨーリィは淡々と答えてマヨイギは一安心した。
「変なことされたらこう、グサッと脇腹刺しちゃって良いからね?」
「ちょーっと? ウチのムツヤに何てこと言うのよ!!」
マヨイギはさらりと恐ろしい事を良い、それに対しサズァンは怒っている。
「あっ、失礼しましたサズァン様……」
「まぁいいわ、大体だけど今の状況は把握しているわ、やっとキエーウって奴らに反撃ってところよね」
「はい、やっと裏の道具を取り返せそうです!」
「頑張ってねムツヤ、今日はマヨイギがヨーリィの様子を見たいってうるさいから何とか繋いだけど。結界が元に戻ってきているから魔力長く持たないし、ひと苦労なのよねー」
「そうだったのですか、マヨイギ様」
ヨーリィに見つめられてそう言われるとマヨイギは照れて視線を逸らして答える。
「い、いや、今はお前の主人じゃ無いけど、ちょっと気になってだな」
「確かに、今の主人はムツヤお兄ちゃんですが。私にとってマヨイギ様もずっと主人です」
「ヨーリィ……」
マヨイギの目には何かこみ上げるものがあったが、くるりと背を向けてしまう。
「あー、魔力切れる! バイバイムツヤー、皆と仲良くするのよー」
「はい、サズァン様!」
手をひらひらと振るサズァンにムツヤは元気よく返事をした。
「あっ、えっと、ヨーリィまたね」
「はい、マヨイギ様」
言い終わると同時にサズァンとマヨイギの姿は消えていく。
それからしばらくしてムツヤは寝てしまったが、器用なことに探知盤に魔力を流したままだったので、ムツヤの足の間にヨーリィはちょこんと座り、代わりに眺めていた。
「ムツヤさーん、起きてください。ご飯できましたよー」
ユモトがムツヤの肩を叩くと目を覚ます。
「あ、すいません寝てました」
「探知盤は異常ありませんでした」
「あー、ヨーリィが見ていてくれたのか、ありがとう」
そう言ってムツヤはヨーリィの頭を撫でる。次にユモトは地下室へと向かう。
「ルーさんギルスさーん、ご飯できましたよー」
「あー、負けたぁ!!!」
ユモトが言い終わる前にルーは騒ぎ出した。
「ど、どうしたんですか?」
「あぁ、ユモトくん。なに、夕飯までにどっちが探知盤をより分解できるか競争していたんだ」
2人のテーブルには山ほどの探知盤が積み重なっている。
「俺の勝ち、なんで負けたか明日まで考えておけよ」
「ぐやじい!!」
ハハとユモトは苦笑いをしてアシノとモモにも声を掛けた。
「いっただきまーす」
食卓に着くとそれぞれ神に祈ったり、食材の命に祈ったりしたが、相変わらずルーは一番うるさかった。
食事が始まってしばらくするとふとムツヤが思い出したように言う。
「あ、そう言えばさっきサズァン様とマヨイギさんとお話したんですよ」
ルーは思わず食酒をブーッと吐く。
「うわっ、お前汚っ!!」
「汚くないもん!!」
ギルスとルーは仲が良いのか悪いのか言い合っていた。
「なんで呼んでくれなかったの!? 私も邪神様とお話してみたかった!!」
「いえ、サズァン様の魔力が持たないってすぐお話は終わっちゃったんですけど」
ムツヤは騒ぐルーをなだめようとしている。
「『迷い木の怪物』か、今やめったに見ない魔物だが」
アシノはポツリと言った。
「マヨイギさん、強かったですよね。結界に迷い込んだ時はもうダメかと思いました」
ユモトが言うとモモもクスリと笑って話し出す。
「マヨイギ殿もだが、ヨーリィも強くて苦戦したぞ」
チビチビとりんごジュースを飲んでいたヨーリィがふと顔を上げる。
「ムツヤお兄ちゃんがデタラメに強くて、ダメだと思ったのはこっちの方だった」
「なるほどな、そう言えばヨーリィちゃんとは元々敵同士だったのか。やけにムツヤくんに懐いているからそんな感じはしなかったが」
ギルスがそう言うとヨーリィは言葉を返す。
「ムツヤお兄ちゃんは、今は私のご主人様ですし、ムツヤお兄ちゃんが居ないと私は枯れ葉に戻ってしまいますから」
「何かそれだと生きるために仕方なくって感じがするな」
アシノは酒を飲みながら言う。
「それは私にもわかりません。1度死んだ時に感情も失ってしまったみたいで」
「ふーん、色々とお前も大変なんだな」
その会話をしている間に、ルーはヨーリィの元まで歩いていって肩に腕を回した。
「ヨーリィちゃんはルーお姉ちゃんのこと好きー?」
「はい、今は仲間ですから」
その言葉を聞くとルーは「くぅー」っと声を出してヨーリィを抱きしめる。
「もうヨーリィちゃん大好きー、私の妹にするー!!」
ヨーリィは無表情のまま抱きしめられて揺さぶられる。そんなこんなで夕食は終わり、監視役のルーを残して、みんな寝静まって日が変わった。