ムツヤは言葉に詰まってしまった。アシノの言う通りだ。
ムツヤは先程、敵を仕留めるチャンスがあった。それにも関わらず、すんでの所で躊躇してしまい、結果重傷を負った。
敵は待つこと無く一歩一歩コチラへと歩いてくる。
ユモトとルー、ヨーリィは魔法と木の杭を男に打ち続けながら距離を取っていた。
男は遠距離攻撃を仕掛けてくる3人を無視してモモの元へ走り出す。
キエーウの一員だから亜人を狙っているのかもしれない。
ハッとしてムツヤは走り出すが、男の人の力を超えた速さが勝る。振りかざされた魔剣を防ぐためにモモは盾を構えた。
無力化の盾のおかげで炎も出ず、モモは無傷だったが、すかさず男は魔剣でモモを横薙ぎに斬りつける。
そんなモモの前にムツヤが立ちはだかり、斬りつけてきた魔剣を同じ魔剣で受け止めた。
また業火が吹き出し、ムツヤは吹き飛ばされなかったものの、モモはもろにその業火を浴びてしまう。
「ああああああ、ぐっ……」
「モモさん!!」
ムツヤが振り返ると酷い火傷を負ったモモが崩れるように倒れる。
「くっそぉ!!」
ムツヤは怒りに身を任せて全力で男の顔を殴った。
男は遠くに吹き飛んで倒れる。振り返ってモモを抱きかかえた。息が荒い、急いで取り出した薬を飲ませた。
「パ、ポロロッカ!!!」
モモが奇声を上げると全身の傷が綺麗に消え去り、ムツヤは一安心する。
「ムツヤ殿…… 足を引っ張ってしまい申し訳ありません」
薄目を開けてモモは言った。違うとムツヤは首を振る。
「俺のせいです、俺がモモさんを危ない目に合わせたんです!」
「ムツヤ、戦いに集中しろ!」
アシノはムツヤに怒号を飛ばす。モモが立ち上がるとムツヤも吹き飛ばした男の方を向いた。
だが、どうも様子がおかしかった、男は全身炎に包まれて苦しんでいるようだった。
「がああああああごおおおおおおお」
男は叫び声を上げて両手で頭を抱えていたのだ。
ムツヤ達は呆然とそれを見ている。
「あああああああああ」
ひときわ大きい叫び声が男の断末魔だった。
男は人型の黒い塊になり、崩れ去ってしまう。
「終わったの……?」
ルーは息を乱しながら言った。アシノは注意しながら男が居た場所に近づく。
地面からは熱気が伝わり、人だった黒い塊がバラバラに砕け散っていた。
そして、魔剣ムゲンジゴクも粉々になり、破片がその隣に転がっている。
「完全に死んでるわな」
アシノはあっさりと言った。皆、緊張の糸が切れて安堵していたが、ムツヤは違った。
「お、俺、人を…… 殺した……」
ムツヤは両手のひらを見つめていた、ブルブルと震えが止まらず、意識も遠のきそうになる。
「ムツヤくん、君が殺したわけじゃない。アイツは魔剣に飲み込まれてしまったんだ」
ギルスはムツヤの肩に手をおいて言う、しかしムツヤの震えは止まらない。
「で、でも、だどしても!! 俺が、俺がこの世界に魔剣を持ってこなかったら、あの人は……」
「ムツヤっち、アイツはキエーウの一員、善良な一般市民じゃない。テロリストよ」
息を整えたルーも真面目な顔をしてムツヤに言った。
「そうです、ムツヤ殿は悪くありません!」
「そうですよ!」
モモもユモトもムツヤをかばった。
だが、ムツヤのもとに歩いてきたアシノは違った。
「ムツヤ、人を斬る覚悟も無いくせに一丁前に剣なんか背負うな」
ムツヤは言葉を失い、うつむいてしまう。
「お前がアイツを斬ることが出来たら、モモも無駄に怪我をすることもなかった」
「アシノ殿!!」
モモは何かを言いかけたがアシノの鋭い眼光で見つめられて何も言えなくなる。
「いったん家に帰るぞ、こんな状態じゃ実験どころじゃないからな」
そう吐き捨ててアシノはもと来た道を歩き出した。
「うーん、みんな撤収!!」
ルーがそう言うとみんなぞろぞろと歩き始める。
ムツヤは先程、敵を仕留めるチャンスがあった。それにも関わらず、すんでの所で躊躇してしまい、結果重傷を負った。
敵は待つこと無く一歩一歩コチラへと歩いてくる。
ユモトとルー、ヨーリィは魔法と木の杭を男に打ち続けながら距離を取っていた。
男は遠距離攻撃を仕掛けてくる3人を無視してモモの元へ走り出す。
キエーウの一員だから亜人を狙っているのかもしれない。
ハッとしてムツヤは走り出すが、男の人の力を超えた速さが勝る。振りかざされた魔剣を防ぐためにモモは盾を構えた。
無力化の盾のおかげで炎も出ず、モモは無傷だったが、すかさず男は魔剣でモモを横薙ぎに斬りつける。
そんなモモの前にムツヤが立ちはだかり、斬りつけてきた魔剣を同じ魔剣で受け止めた。
また業火が吹き出し、ムツヤは吹き飛ばされなかったものの、モモはもろにその業火を浴びてしまう。
「ああああああ、ぐっ……」
「モモさん!!」
ムツヤが振り返ると酷い火傷を負ったモモが崩れるように倒れる。
「くっそぉ!!」
ムツヤは怒りに身を任せて全力で男の顔を殴った。
男は遠くに吹き飛んで倒れる。振り返ってモモを抱きかかえた。息が荒い、急いで取り出した薬を飲ませた。
「パ、ポロロッカ!!!」
モモが奇声を上げると全身の傷が綺麗に消え去り、ムツヤは一安心する。
「ムツヤ殿…… 足を引っ張ってしまい申し訳ありません」
薄目を開けてモモは言った。違うとムツヤは首を振る。
「俺のせいです、俺がモモさんを危ない目に合わせたんです!」
「ムツヤ、戦いに集中しろ!」
アシノはムツヤに怒号を飛ばす。モモが立ち上がるとムツヤも吹き飛ばした男の方を向いた。
だが、どうも様子がおかしかった、男は全身炎に包まれて苦しんでいるようだった。
「がああああああごおおおおおおお」
男は叫び声を上げて両手で頭を抱えていたのだ。
ムツヤ達は呆然とそれを見ている。
「あああああああああ」
ひときわ大きい叫び声が男の断末魔だった。
男は人型の黒い塊になり、崩れ去ってしまう。
「終わったの……?」
ルーは息を乱しながら言った。アシノは注意しながら男が居た場所に近づく。
地面からは熱気が伝わり、人だった黒い塊がバラバラに砕け散っていた。
そして、魔剣ムゲンジゴクも粉々になり、破片がその隣に転がっている。
「完全に死んでるわな」
アシノはあっさりと言った。皆、緊張の糸が切れて安堵していたが、ムツヤは違った。
「お、俺、人を…… 殺した……」
ムツヤは両手のひらを見つめていた、ブルブルと震えが止まらず、意識も遠のきそうになる。
「ムツヤくん、君が殺したわけじゃない。アイツは魔剣に飲み込まれてしまったんだ」
ギルスはムツヤの肩に手をおいて言う、しかしムツヤの震えは止まらない。
「で、でも、だどしても!! 俺が、俺がこの世界に魔剣を持ってこなかったら、あの人は……」
「ムツヤっち、アイツはキエーウの一員、善良な一般市民じゃない。テロリストよ」
息を整えたルーも真面目な顔をしてムツヤに言った。
「そうです、ムツヤ殿は悪くありません!」
「そうですよ!」
モモもユモトもムツヤをかばった。
だが、ムツヤのもとに歩いてきたアシノは違った。
「ムツヤ、人を斬る覚悟も無いくせに一丁前に剣なんか背負うな」
ムツヤは言葉を失い、うつむいてしまう。
「お前がアイツを斬ることが出来たら、モモも無駄に怪我をすることもなかった」
「アシノ殿!!」
モモは何かを言いかけたがアシノの鋭い眼光で見つめられて何も言えなくなる。
「いったん家に帰るぞ、こんな状態じゃ実験どころじゃないからな」
そう吐き捨ててアシノはもと来た道を歩き出した。
「うーん、みんな撤収!!」
ルーがそう言うとみんなぞろぞろと歩き始める。