「綾ちゃん、よく来てくれたわねえ。ほら、武彦。綾ちゃんよ」
カネの病室を訪ねた綾子の瞳に、じわりと涙がにじんだ。カネは胸に抱いたぼろぼろの人形に「武彦」と語りかける。
「綾ちゃんがいてくれて助かってるわ。いつも本当にありがとう。武彦もね、とっても感謝しているよ」
人形を綾子の方に差し出したカネは、慈愛に満ちた目を綾子にも向けた。
「ねえ、綾ちゃん。武彦とも話していたんだけど。もし綾ちゃんさえよければ、武彦のお嫁に来てくれないかねえ。綾ちゃんほど武彦のことを考えてくれる女の子は他にいないものねえ」
綾子はたまらず泣き出した。
「あらあら、どうしたの、綾ちゃん。お嫁の話が嫌だったの?」
えっえっと泣きながら、綾子は首を横に振った。
「悲しいことがあったのねえ。だいじょうぶよ、だいじょうぶ」
カネはだいじょうぶと繰り返しつつ、綾子の頭をそっと撫で続けた。
カネの病状は刻々と悪化している。残された時間は長くはない。
綾子は覚悟を決めた。
カネの病室を訪ねた綾子の瞳に、じわりと涙がにじんだ。カネは胸に抱いたぼろぼろの人形に「武彦」と語りかける。
「綾ちゃんがいてくれて助かってるわ。いつも本当にありがとう。武彦もね、とっても感謝しているよ」
人形を綾子の方に差し出したカネは、慈愛に満ちた目を綾子にも向けた。
「ねえ、綾ちゃん。武彦とも話していたんだけど。もし綾ちゃんさえよければ、武彦のお嫁に来てくれないかねえ。綾ちゃんほど武彦のことを考えてくれる女の子は他にいないものねえ」
綾子はたまらず泣き出した。
「あらあら、どうしたの、綾ちゃん。お嫁の話が嫌だったの?」
えっえっと泣きながら、綾子は首を横に振った。
「悲しいことがあったのねえ。だいじょうぶよ、だいじょうぶ」
カネはだいじょうぶと繰り返しつつ、綾子の頭をそっと撫で続けた。
カネの病状は刻々と悪化している。残された時間は長くはない。
綾子は覚悟を決めた。