「お前の狡猾な隠蔽工作にはホンマに苦しめられたわ。俺が虐められてる証拠を教師どもから上手く誤魔化してきたせいで、俺はハッキリとした証拠が提示出来ひんかったんや。
 いや~~お前の悪賢いところには感心してるよ?危険すら感じるくらいに。せやからお前はここで確実に消さなあかんよなぁ!?」


 次は中林大毅だ。コイツ自身も俺に暴力振るうことはしてきたけど、こいつだけさらに質悪い虐めを俺にしてきた。
 悪知恵を働かせて俺を陥れたり、自分らの悪行を大人どもから上手く誤魔化したりと、陰湿な立ち回りもしてきたのだ。
 こういうタイプの人間は大体いつもそう。人を貶めて蹴落として出世するようなクズになっていくんや。

 実際、将来のコイツは何人もの同僚や先輩を嵌めて蹴落として潰して、出世を確立させてきている。
 中学のこの頃から人を貶めて潰すという手段を好んでやっていたコイツも、世の中の害悪にしかなり得ないゴミクズ野郎だ。

 「せやからお前はここでぶち殺す......精神を粉々に砕いてからなァ!!」

 無限に続くと思える程に続く地獄の時間を体感させる。実際の時間は僅か10分程度だったが、中林本人の体感時間では2年近くもの間地獄を巡っていた。

 「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”...っ!!」
 
 体が溶ける程熱い血の池地獄。常に体が裂かれる地獄。化け物に食い千切られて弄ばれ続ける地獄。体内から虫や菌に蝕まれ続ける地獄、等々...。
 死んだ瞬間に復活させて、また拷問を受けさせる。夢の中で死のうがリセットされるから、本当に死んで楽になることはない。

 中林本人としては、幻術でつくられた空間で一人、無様に苦しみ足掻いていることになっている。
 しかし実際…現実のこいつは大勢の前で、一人で勝手にのたうち回って醜態を晒していることになっている。
 俺は何もしていない。椅子に座ってただ中林が勝手に奇声を上げて踊るように狂っているのを眺めているだけだ。

 『あははははは!!見ろよ、あいつ一人でのたうち回ってなんか叫んで暴れてるで?キモッ、皆見てる前でそんな奇行がようできるわ!は?何とかしてくれって?お前が何とかしろや、その奇行を早よ止めろやキモいねん!はははははは!!』

 俺の発言にギャラリーどももつられて嗤う。コイツのせいで散々醜態を晒されたし、大人どもも敵に回った...。
 ホンマ陰湿な虐めが好きやな、最近の中学生って。反吐が出る。人を貶めないといちいち娯楽が得られないというのかコイツらは。
 そしてそんな奴らを味方する世の中の大半の人間は何なのか。
 
 「つーかお前は何なん?元々俺と全く接点無かったお前は、谷里が俺を締めた以降からいきなり登場しては谷里らに悪知恵入れ込んで俺を貶めやがって。
 何か?そこに虐められてる奴がいたから面白そうと思ってやり始めたっていう、しょうもなくて最低な理由か?
 別にお前には大して暴力振るったこともなかったのに...お前から仕掛けたことやのに俺を、さァ...!!ふざけてんじゃねーぞクソゴミがぁ!!!」

 さらに精神を汚染(=拷問の強度を上げる)させて潰しに行く。

 「あ”あ”あ”あ”あ”あ”......ごぷぅ...っ!!」

 最初はゲロばかり吐いてたのが、ついには血を吐き出した。痙攣して陸に上がった魚のように無様に跳ねて奇声を上げる。それを見ても俺の気が晴れることなく、ついには中林を直接甚振ることにした。

 「オラッ!お前はいつも人に目立たない箇所ばかりを雑に蹴って甚振ってたな!?腹とか背中とか!だったら俺は胴体が全部内出血するまで殴って蹴って、背骨が砕けるまで鉄パイプとかでぶん殴りまってやろうか!!
 おらよぉ!あの時の俺の苦痛を何倍もの威力で味わえ!!」

 大衆の前でドゴズカと殴って蹴って甚振る。段々気がスッとしてくる。俺の目は片方はここでのコイツの状態を見て、片方はコイツが陥っている幻の地獄での世界を見通している。二つの地獄をこいつには体験させている。
 
 「ああ、右と左とで違う景色が見られるのは中々無いシチュエーションや。どっちの景色も最高や。なァお前はどうや?少しは人を貶めたことに対する罰の主さが理解できたか?」
 「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”しました、しましたぁ!!!谷里が面白いからって誘われたのがきっかけで!わ、悪ふざけ気分で...!」

 「また悪ふざけ!!ホンマお前らはそればっかりやな!?虐げる側がいつも軽い気持ちから人を虐め始める。それに味を占めるようになってエスカレートさせていく。
 次第に自分らが上の人間、中心にいるって勘違いもするようになってさらにイキって好き勝手するようになっていく!!
 たかが学校の中で自分らが世界の中心にいる気になって偉そうにしはじめる!自分とその仲間以外の奴らは、自分らの悦楽の為に存在しているカスだと決めつける!
 自分らに都合の良い存在だと決めつけて理不尽を強いる!!

 ゴミや...クズや...!!お前らは紛れもない最低なゴミクズどもや!!」

 「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい...!!今までのこと全部謝りますっ!!た、助けて...」

 「助けて助けてうるせーなぁ!?助からないって何度も言ってるやろ!!自分の愚行を後悔しながら苦しんで死ぬのが、お前が最後にやることや、クソゴミが!!」
 
 そしてリアルと幻術の中で同時に大剣を振り上げる。ラストはド派手に裂いて殺そうと決めた。

 「さ~~あ、死ね。来世があるなら少しは真っ当に生きてみろや。まぁお前みたいな性根がクズには、そんなチャンス訪れへんやろうけどっっ!!」

 「こんな、ことなら...谷里の誘いなんか、に......乗らなければ―――」

 ズバンと横と縦にそれぞれ雑に両断する。苦しませるためにわざと中途半端に斬って歪な形にさせる。
 中林はしばらく苦痛に悶えて絶叫していたが、血の塊をごぽりと吐いて無様に死んだ。


 『六人目ー!』