もう自分らは生きては帰れない。この俺に残酷に殺される未来はもう覆せない。
前原が無惨に殺されたのを見た残り8人の虐め主犯者どもは、そう悟ってるように見えた。中村と本山が発狂しながら駆け出して壇上から降りようとするが、途中で結界の壁に遮られて跳ね飛ばされる。
「くそっ!ちきしょう...っ!!もう嫌や!早よ帰らせろや!!こんなとこいたくないわボケェ!!!」
床に拳を叩きつけながら中村が絶叫する。そんな奴のところへゆっくりと近づき髪を乱暴に掴む。
「小西に続き前原も殺されて、お前のお友達みんな死んじゃったなぁー、中村一輝くーん?
お友達が殺されそうになっても、お前は何もせんかったな?さっきの前原とか、あいつ助け求めてたのにお前は何もせんかったなー?所詮お前らの友情なんかその程度やったって話や」
「ひぃ!?うわあああ...!」
俺の不遜で無礼な言動に、以前なら短気を起こして俺に掴みかかって殴りつけていた中村は、ここにはもういなかった。
今のこいつは恐怖と怯えしか持ち合わせていない、ただの腰抜けビビり雑魚野郎になっていた。
「ごめんなさいごめんなさい!助けて見逃して赦して...ッ!!」
俺を脅すことはなく、ガタガタ体を震わせて涙を流して謝罪と命乞いをするばかりだ。
まさに「小物」...そう表現する他なかった。
「ハァ、人を貶めて甚振ってばかりいるといつかはそれが自分に返ってくるって気付かなかったのかねぇ?低脳のお前には考えもしなかったんやろうな...。しかも自分より強い奴が出た途端にソレやもんな。抵抗する素振りも見せへん。媚びへつらうような態度でそいつの機嫌を損ねへんようにする。
俺の場合、以前までは谷里より喧嘩が弱かったけどあいつにはずっと逆らい続けてたぞ?お前にはそういう反骨精神はないんか、なァ?」
髪をグイグイと乱暴に引っ張ったり靴裏を頭にこすり付けたりしながら存分にディスってやるが、それでも中村は俺に悪態をつくことはせず、ただごめんなさいと赦してを繰り返すだけだった。
「あ~あ。お前らみたいな人種ってホンマ弱いよなー、心が。普通殺してやるとか何とか言って良いと思うけどー?」
「あうあああぁ...!」
「しまいには言語崩壊かよ...。お前らみたいなクズは悪人とか言うんやろうけど、お前らは悪人ですらない、ただの腰抜けた小物や」
「ひっ、ひぃい...!」
「ええか、悪人ってのは......」
グサ...ッ「~~~~~!?!?」
中村の両肩を、短剣で刺し貫いてさらにグリグリと動かして抉った。
「悪いことを悪いと自覚した上でこういう非道なことをする奴...俺みたいな奴のことを言うんや!!」
「~~~~ぁぎゃあ”あ”あ”あ”!!!」
掴んでいた髪を離して、その背を蹴りつける...スパイクピンがついた靴裏で!
ガッ、ザクザク...ッ!「いやあ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”...!!」
「あの時と同じや。お前だけいつもすぐに折れて泣いて赦しを乞うだけの小物野郎や。自分より弱い奴にしか威張れないゴミや!」
40後半のオッサンになってもあいつは今みたいに甚振られるとすぐ情けなく泣き喚いていた。ましてや今のコイツは15才。弱いのは当然か。
「かといって苛烈に攻めないなんてことはせーへんけどなっ!次はそうだな―――」
服を斬り裂いて全裸にしたところで、四肢を大の字に固定。そして俺が取り出した物は、回転が速いチェーンソーだ!二度目の時も使った愛用拷問具!
「はいでは削ぎまーす♪」
「おいおいおいおい!!止せ、それはよしてくれ!!止めろ止めて下さい!!お願いしますお願いしま――」
――ブィイイイイイイッッ!!!
「~~~~~~~~ッ!?!?!?
w”くい”ぇrう”いdklん”vsbfhtれ”w”...!!!」
はい、股間を破壊!
「あ”あ”あ”あ”あ”あ”...!!」
「あははははははは!!」
《ぎゃはははははははははっ!!》
泣き叫ぶ中村と笑う俺とギャラリー生徒ども。さっきと同じ正反対の反応で体育館内はまたもカオスと化した。
「お前もクソヤニカスやったなぁ?煙草吸いながら俺を殴りやがって。物理的ダメージ以外に肺とか目の機能を脅かす仕打ちまでしやがってこのクソが!!」
怒りに任せて大剣で腹を抉る。あーあ、そんなに暴れたら血がいっぱい出て死ぬやろうが。すぐに腹を治して即死を防ぐ。
顔をくしゃくしゃにして血とションベンと糞をまき散らして醜態を晒している中村を見て、ため息を吐く。
「は~弱過ぎ。もう白けたわ。おい中村、さっさとここから出て行け。殺す価値すら無くなったわ。早よ視界から失せろ」
「ああああああ......え...?俺、殺され、へん?」
「ああもう溜飲が下がったからもうええわお前。すぐに壊れるし甚振る価値も無いわ。見逃す代わりにお前二度と俺の前に現れんなや?殺すから」
「は...はいぃ!!も、もう二度と虐めたりしませんんんっ!!」
予想外の言葉をかけられて中村は戸惑っていたが、すぐに安堵した顔をしてここから去ろうとしていく。
壇上の階段に差し掛かろうとしたところで―――
カチッ、ピ―――――
「............へ??」
「んなわけないやろアホ。何べんこんな分かりやすい嘘に引っかかんねん。
死ねクソゴミ」
「すっっっ!杉山――――」
中村の絶望満ちた叫びは、地雷の爆発音でかき消された。煙が晴れて階段前には、中村一輝の体の一部はどこにもなかった。
『あー、アホで間抜けな奴は簡単に騙されるよな。ケッサク!
これで四人目!!』