(どいつもこいつも………!!)
日を追うごとに心は病んでいき、体調も良くない時の方が多くなっていった。当然、仕事が厭になってきた。
それでもここで辞めたら俺は破産して終わる...だから勤務する他なかった。
今にして考えると、労基に訴えれば良かったのだが、当時の俺にはそんな考えが働かなかった。もう心身ともにボロボロで、まともに考える余裕すらなかったんだ...。
そんな鬱まみれのクソッタレな日々が続いて数週間、俺らの確執を知ろうともしない杉浦はよりにもよって俺と遅川を組ませて仕事を命じやがった。
そして案の定、トラブルは起きた。
「あーもうクソが、そのやり方やと効率悪いやろ!?貸せ、無能に任すと時間がもったいねーよ!」
―――ブチッ...
「来るの遅いっ!何やってたんじゃおい!?」
「いや……休憩後どこへ移動したら良いか聞かされてなかったから、遅川さん探してたんすけど」
「そんなもん休憩中に俺に聞きに来たらよかっただろうがっ!それくらい考えとけや」
「......休憩中どこ探してもおらんかったから聞けなかったんだろうが」
「あ?何か言ったか?とっとと作業しろよクソガキが」
―――ブチブチ……ッ
「おいその道具は俺らが使ってるのとは違うやつだろうがっ!」
「あ......すみません、戻しに行きます」(スタスタ...)
「ちんたら歩くなっ!走って行けよ!!この無能クソガキがぁ!!」
―――ブチン...!!
「―――ちっ」
その舌打ち一つで、全てを壊すことになった。
「...おいっ!今俺に舌打ちしたんか!?おいコラ待て、止まれ!聞いてるのが分からんのか、杉山ァ!?」
「黙れよ...!この老害が!お前があの二人とグルになって俺にだけ感じ悪い態度取るようになって、意図的に排除しようとしてるくせに...!俺にだけ当たり強くしてんじゃねーよっっ!!!」
で...そこからは互いに罵声を浴びせ合い、仕事どころじゃなくなり別れて仕事をして、解散した。
会社に戻った後、杉浦に呼び出されて俺らが揉めたことについての話...とは名ばかりの、解雇通告をくらった。
「......何で、俺だけがそういう処分なんですか...?」
「んん...。まさか本当に君らの間にそんな険悪な関係ができてたのは思わなかった...。それはすまないと思っている。けどな、君がたけし君にかなり酷い問題発言をしたと、本人とその様子を見てた義一君と隼君から聞いた以上は...見過ごせないってことになってな...」
「問題発言をしたのは、向こうも同じです!無能だのクソガキだの、要らないクズだの!侮辱発言の頻度としてはあいつの方が酷かった!あいつの方にも...いやアイツの方が問題あるはずですよねぇ!?60才にもなって煙草のことで注意されたからって陰湿な嫌がらせをするような幼稚野郎こそ、罰せられるべきでしょう!?」
それを言ってから俺はハッとなったがもう遅かった...。現在進行形で問題発言をしてしまっていることに気付いたのは全部言った後だった。
「......君にとっては問題で、許せないことなんだろうし、実際たけし君にも非はあったんやろうけど......。けどな、俺と彼らとは長いこと仲良く仕事してきたつもりなんよ?だからここで彼らと縁を切るのは避けたいのが本音であってね?かといってこのまま杉山君とたけし君らと仕事させるのは難しい、と判断せざるを得なくなってるのも事実であって...。だから、申し訳ないけど杉山君にはここを辞めて――」
ダンッッッ!
「...杉山君?どうし――」
「結局は...友達贔屓じゃねーかよ...!何十年も社会人やってる奴がああいうクソ嫌がらせしてることを、縁を切りたくないからって庇うとか...ふざけんじゃねぇ!!!」
ガッシャアン...!
「俺がっ!俺ばっかりがぁ、いつも...いつもいつもいつも...。
いつもいつもいつもいつもいつもいつもいつも...!いっっつもそうやって有害扱いされて俺だけが排除されてっ!!全部あいつらから攻撃してきて、嫌がらせしてきてるってのに、最終的には俺が悪者扱いされて排除されるんだ!!お前もあいつらと同じじゃねーかよおおおっ!!!」
「......すまないがもう解雇は覆せない。残り約一月間、彼らと仕事が一緒にならないようにシフトを組むから、それで――」
「知るかよっっ!!今すぐ辞めてやるよこんなクソ会社なんかよぉ!!!お前ら全員死ねばええんじゃ!クソがぁ...!!!」
内に溜めに溜めていた黒い本音を全てぶちまけて、会社を出て行き帰宅した。
そして俺は完全に精神を患い、鬱になって...何もかもを辞めることにした。
社会人を完全に辞めた瞬間だった...。