「あ......あ”ぁ...!」

 拳を顔面にモロにくらった本山はなんと失神してしまった。氷水をぶっかけて強制的に覚醒させると、当の本人は何が起きたのか分からない様子でいた。

 「よく見とけよ?突然やって来たかつての同級生がどういう力を手にしてるのかを。そこで膝を着いている雑魚どもとのお遊びを見物しながら思い知れよ」

 そう吐き捨てると同時に、重力を元に戻して組員を解放する。同時にキレた男が発砲して、それを合図に組員全員が俺にかかってきた。
 それに対し俺は、本山に見せつけるようにして主に魔術を駆使して組員どもを次々消していった。風の刃で斬り裂いたり、超高熱の炎の玉を飛ばして数人を一瞬で炭にしたり、光の弾を乱発砲して消し飛ばしたりなど、魔術で蹂躙しているという光景をしっかり目に焼き付けさせてやった。

 「は...?な、んだよコレ......夢?俺は夢...を――っがふぉ!?」
 「自分の目を疑うのか~~?だったらもう一度目を覚ませてやるよほらお水ザバァーー!」
 寝ぼけたこと呟く本山に水バケツを被せて、目の前に映ってるモノが現実であることを分からせる。

 「~~づぶはぁ!!テ、メェ杉山ぁ!!これは、どういうことなんや...!?どういうふざけた状況だぁ?組員が、こんな...!!」
 「おお、夢ではないって認める気にはなれてるみたいだな?未だにあり得ない・これは夢だと喚くかと思ってたけどそこまでは低脳ではなかったか~~ww」
 「答えろやぁ!!!これはいったい何なんだ!?テメェはいったい何をしたんかって聞いてこっちは聞いてんだあああああ!!!」
 「うるせぇ黙れ!!!自分の立場を理解することは出来ないのかこのゴミカスがぁ!!!」

 ドゴッドスドスドス!!ベキャア!!

 「――いぎゃああああ!!」
 「目の前に広がってる有り様が全て物語ってんだろうが!俺が!この世界には存在しない力で!お前の仲間全員を無惨に残酷にぶち殺したんだろがぁ!!
 それがなんだお前は!?分かってることを怒鳴って訊きやがって!!今の状況分からないわけ?あっという間に数十人の雑魚を圧倒的力で全滅させた俺を前にしてさぁ!そんな口聞いていいわけなのかなぁ、ええ!?」

 バゴォン!!「ひッ、ヒイイイイイイ!!ごめんなさい...!」

 「――ぶふっwwちょっと脅したらコレかよ?そんなんでよく組長が務まるなぁ?やっぱり根本は小物で弱い最低糞ゴミ蛆デブカス野郎なんだな?本山ァ!」
 「......!!(ギリィ)」
 
 圧倒的力で痛めつけて怒声を上げて大きな破壊音と立てただけで、目の前の中年組長はあっという間に萎縮して情けない声を上げる。かと言って、侮蔑の笑いと貶す言葉を向けられるとそうやって怒りを露わにする。

 「あ~~~~~ww力が無いくせに自分は強い・カーストが上だ!っていう人間に好き勝手言えるのはマジで面白ぇ~~~!お前のことだけどな~~本山ぁww」
 「い...今さら俺の前に現れて、何がしたいねんテメェは...か、金が目的か!?」
 「あ~もうやっぱお前は低脳だなぁ。さっき言ったよな?“復讐”だって...お前への復讐の為に来たって」

 「復、讐...?ま、まさか......ち、中学の時の...!?」

 「うん☆そうそう!.........三年間よくも理不尽に虐げてくれたなデブクソ野郎。細かく言えば、小学の頃からもふざけたちょっかいかけてクラスで孤立させてもくれやがったな小物クソ野郎。
 タダで...楽に死ねると思うなゴミカスクソ野郎」

 般若よりも凄んだ顔で脅し文句を並べてやった俺を見て、本山は顔面蒼白になってガタガタ震え出した。こんなのが本当に闇金の組長なのかと、憎悪と同時に蔑みと呆れの感情も湧いてきたわ。

 まぁそこからは......本山には「地獄」を体験させてもらった――。

 いくつもの地獄を味わわせてやった。俺が受けた三年間の虐めの時間に匹敵する程の濃い時間を体験させてやった。勿論途中で命を落とすことないよう常に治療してやって次の地獄、またその次を体験させて、その繰り返し。
 あの屈辱と怒りと憎しみでどうにかなってしまいそうな三年間を塗りつぶすべく最大限の苦痛を与えてやった。そして思い知らせた。

 自分が如何に俺をブチ切れさせたか、俺に憎悪を抱かせたか、殺意を湧かせたか。自分がいったいどれだけの罪を俺に対して犯してきたのかを…!