中学生復讐編 最終回



 「よぉ。高校でも随分イキって過ごしてるみたいやな?弱い同級生を虐めて楽しんでるそうやんけ」


 ガッ、ゴッ!
 「ぉげら......っ!?」


 東大阪市内にある高校を訪ねて、茶髪のパーマがかった頭で耳にピアスを付けている標的...下田天武《しもだてんむ》の腹に膝蹴りをくらわせて悶絶させる。膝を地に着かせたところを、顔面に爪先蹴りを放って吹き飛ばす。ぐちゃりと鼻が潰れる音がした。

 先日やり遂げた盾浦東中学校での復讐は、俺の復讐劇においては序章に過ぎない。というより中学時代の復讐すらまだ完遂出来てねーからな。

 今思い切り吹っ飛ばした奴が、中学時代の最後の復讐対象だ。そいつは現在高校一年生やから、先日の体育館への招集ができずにいた。せやからこうして直々に赴いたって話。
 もちろんこの下田天武も赦してはならないクソ野郎や。何せ去年、谷里らと一緒になって俺を散々痛めつけやがった最低クソ上級生やったからな...。

 「そういうわけで去年の恨み・憎しみ全部まとめてここで発散する...復讐するからな。遊び気分でこの俺を理不尽に甚振った罪でお前は死刑や」
 「あ”あ”っ!?いきなり俺をどつきやがってこのクソガキがっ!!殺す、蹴り殺す!!」
 
 鼻を押さえながら怒鳴る下田は怒り心頭の様子。不意打ちされたことに激怒している。というかまだまだ元気だ。だいぶ手加減したからな、せいぜい鼻が折れて鳩尾に少しダメージ与えた程度か。
 下田がキレて怒鳴ると俺の間に後ろを塞ぐ連中が現れた。下田とつるんでいる不良どもだ。
 つーか高校に上がってさらにクズさに磨きがかってやがるな、このクソ野郎。何でわざわざイキって不良ぶるのか理解できねーわ。自分の心象を自分で下げて落として何の意味があるのか...まぁどうでもいいか。
 それよりも後ろの連中の何人かが煙草の煙を出してるのが無性に苛つかせる。受動喫煙させやがって......よし全員死刑。


 「喫煙は喫煙所で吸えやクソゴミどもっっ!!」


 ズババン!!瞬時に水を纏った剣で後ろの不良どもの首を刎ね飛ばしてゴミクズの命と煙草の煙を消してやった。

 「は...あ!?」

 後ろにいた仲間たちの惨状を目にした下田は何が起きたんだといった様子で硬直している。

 「どした?俺を蹴り殺すんやなかったんか?」

 血の付いた剣を向けて挑発するが下田はなお怯んだままで向かおうとしない。ああ凶器にビビってるのか。しかも人を殺したしな。

 「なんや、イキって不良してる割には殺し現場を見るんは不慣れか?小物が」

 所詮弱い者虐めを趣味とする小物って奴だわコイツら。ちょっと血を見ればそうやって腰抜けになる雑魚や。


 「はーぁ。俺はこんな雑魚に好きに甚振られてたんか......最っ悪!赦さん!殺す!甚振り殺すっ!!」


 下田のさっきのセリフを似せて叫んで、一気に接近して下田の両足を斬り飛ばした!

 「う”ばわあ”あ”あ”あ”あ”あ”っ!!お、俺の足がああああああっ!?!?血が、血がああああ!!とま、止まらへん、止まらねぇよおおおおおおおおおおおおおおおおおお......っ!!」

 足首から先が無い部分から血の噴水が噴き出て下田の下半身は赤く染まる。地面に倒れ込んだところに、腿に剣を突き刺してそのまま持ち上げる。

 「ぎゃあ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!痛いっ、誰かああああああっ!!助けでええええええええええええ!!さ、殺人鬼がここにい”い”い”い”い”い”い”っ!!!」
 「無駄無駄。結界張って人払いもしてるからお前みたいなクソ野郎なんか誰も気付かへんし助けも来ねーから」
 「ぞんな...っ!た、頼む...!止めてくれっ!俺にいったい何の恨みが...!?」
 「ハァ?そっからかよ?おい俺の顔を見ろっ!去年同じ中学の下級生で、この俺を理不尽に虐げやがったこと、忘れたわけないよなァ?」

 剣を引っこ抜いて胸倉掴んで持ち上げ直して俺の顔をしっかり見させる。

 「う、ぐ!お.........おっお前はぁ!?去年...谷里と中林が、痛めつけて欲しいって頼んだ相手の...!!」
 「思い出したか?そういうわけや。よくも俺を散々甚振ってくれたな......復讐したるからなこのクソ野郎...!」

 ブンと地面へ投げ落として手から炎を発生させる。全身を炙ってたっぷり甚振ってやろうか。そんでその次は酸を纏った拳でぶん殴りまくって壊そうか。

 「ま、待ってくれ...!俺は頼まれただけ......しかも相談されたんや!あの二人がお前に嫌がらせされて困ってるから俺に何とかして欲しいって!そ、それだけでお前をボコってただけで、お前が思ってるような悪気はなかったんや――」
 「あれだけ楽しそうに俺を蹴りまくっといてか?」
 「へ...?」
 
 ズンと脅すように地面を踏み鳴らしながら歩を進めていく。その音に下田はヒッと情けなくビビる。

 「俺は憶えているで?お前、谷里らと楽しそうに俺を甚振ってたよな?お前は今と同じ弱い者虐めが大好きな最低で腰抜けの小物野郎や。後輩の為とかで俺を成敗?そんな建前が俺に通用すると思てんじゃねーぞ!?お前は単に弱っている俺を甚振れるから谷里の嘘まみれの相談に乗っかかったんやろうがっ!!」

 怒りに任せて、手にしていた炎を下田の全身に浴びせる。炎といっても精々肌が爛れる程度の温度だ。死にはしない。その代わりに16才のガキにとっては地獄レベルの激痛を味わうけどな!

 「ぎゃあ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”づい”っ!!熱いあ”づい”あ”づい”っっ!!!み、水、水う”う”う”う”う”う”う”!!!」
 「お前はただ俺を甚振るのが楽しかっただけやろ?しかも反抗する俺が不愉快だとかで潰そうとも思ってた。後輩の為やとかの大儀なんか関係無い。ただ俺を面白がって虐めてただけや!!よくも俺をお前みたいなクソ野郎のサンドバッグにしやがって!!地獄に落ちろおおおおおお!!!」

 さらに炙る、炙る!髪は燃えて禿坊主になり、手に触れただけで激痛が走るレベルの火傷を全身に負って全身急所人間に魔改造してやった。

 「酸性パーンチッ!!」

 火傷まみれの体に酸を纏った拳を叩き込む!ジュウウウッと皮膚が溶けていきぐじゅぐじゅの体と化した!

 「でい”やあ”あ”あ”あ”あ”っ!!嫌や!!痛いのは嫌やあああああ”あ”あ”あ”!!!」
 「俺だって嫌やったわ!!止めろ言うてもお前らは止めへんかった!反抗したら逆ギレしてさらに苛烈に暴行して、苦悶の表情をした俺を面白がって!!お前はそうやって今まで俺や他の立場が弱い奴らを好き勝手嬲ってきたんやろうが!?その報いを今受けてるんやろがっ! “もっと苦しめェ!!” 」

 さらにウイルスを体内に流し込んで中から体を壊していく。炎で炙られ酸で溶かされ、ウイルスでぐちゃぐちゃに破壊されていく。まさに生き地獄というものを、下田というクソ野郎に思い知らせてやった。

 「ご、ごんなごどなら...っ!あ、あ”いづらのざぞい”に乗るん”じゃ、ながっだ......!!こんなッ怪物、にぃい”い”い”い”......!!」
 「人に理不尽を強いるお前らの汚い心の方が怪物や。早よ地獄へ落ちろやクソ野郎」

 最後に思い切り蹴り飛ばして、目に見えないところまで吹っ飛ばした。向こうから数名悲鳴が聞こえたがどうでもいい。


 「中学時代の復讐対象は、これで今度こそ全員殺したな。帰るか」


 屍になった不良どもを燃やしてから学校を出て行き、自分の家に帰った。

 復讐活動はこれにて一旦終わり。「次」が訪れる時までの間、しばらく色々好き勝手やっていこうか...!



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次回以降 しばらく日常(?)回