転生して帰って来た俺は 異世界で得た力を使って復讐する(全年齢)



 11人いた虐めの主犯格どもは残すところもう残り5人となっていた。
 偶然かどうかは知らんが残ってるのはどれも、俺に不名誉で屈辱的な呼称をつけて辱めたりパシリに行かせようとしたりデタラメな悪評をばら撒いて貶めたりしていた奴らだ。谷里や本山、前原のような暴力を振るったりはしていない。

 「お前らは...リンチの時には参加せず、ただ俺が痛めつけられてるのを観賞していただけやったな?俺が虐められてる様を指さして嗤って、撮影してばら撒いて...そんな最低行為だけをしていた連中だったよな?」

 腕を回して準備運動をしながら歩み寄る俺に、五人とも何か喚いて離れようとする。逃げ出そうとする連中の一人…清水を捕まえて、床に押し倒す。

 「なァ清水。何自分は悪くないわって言いたそうな面しとんじゃ、ごら。ここに連れてこられた時点で、お前も今まで殺した奴らと同じ罪人だってことが、まだ分かってねーんか、ああ?」
 「お、俺はそんなこと思ってへん......ち、ちゃんと反省してるっ!な、なァ俺らはもうええやろ?お前が言った通り俺らはお前に暴力は振るわなかった!あ、あいつら程の悪いことはしてへんはずやろ、そうやろ!?」
 
 床に這いつくばりながら清水は罪が軽いはずだと主張する。あるいはそれで死から逃げられるとでも思ってるのか。


 「ハァ......とりあえず俺が今もお前に対して抱いている憎しみをぶつけるか...。

 ―――何が鼻くそ野郎じゃ、鼻少しほじったくらいで何不名誉極まりない呼び名つけてんねん!!小西と一緒になって俺を貶めて辱めてクラス内、いや学年中の笑いものにして味方をなくしてくれたな!?お前の下らない悪意あるイジりが俺を不快にさせて傷つけて周りが一緒になって俺を侮蔑するようになって俺は散々な目に遭ってきたんやぞ!この虐め主犯野郎のクズがっっ!!」


 拳、蹴り、ナイフ、拳銃、槍、酸、攻撃魔術…俺が持てる全攻撃手段を用いて(死なないようちゃんと調整して)、激情に駆られるままに全てを振るって、清水の体と尊厳を壊していく。
 殴打の音と衝撃、刃物で肉を刺した音と感触、銃で撃った音と着弾音、酸をぶっかけた時に出る焼けるような音などを耳にして感触を実感する度に、俺の心は洗われていく。怒りの形相だったのがいつの間にか愉快な笑みを浮かべた顔になった気がした。

 「ああ”、ぎゃあああ......いだあ”あ”あ”っ!!お、い”止せ......うげえああああ!!た、すけ......べぎらげぇあ”あ”あ”あ”あ”...っ!!!」

 清水の苦痛の絶叫を心地よく聞きながら、憎しみを込めた暴力も振るい続ける。手足を素手で千切ってはくっつける。剣で斬り落としたりをも繰り返して、遊びまくる。

 そんな俺と清水とのやり取りを見ている五組の連中は止めてだの赦してやってだのと勝手ほざいてやがる。俺が虐げられてる時は揃って見て見ぬフリきめていたくせに、小西や清水が俺に虐げられてる時はそうやって俺を非難しやがる...どこまでこの世界は、俺に優しくしねーつもりなのかと、また沸々と怒りが湧いてくる。
 制止と助けを求める叫びを上げてる清水の顔面を殴って黙らせて脅すように話しかける。


 「あのな。先に殺した連中と同じ暴力をしたしなかったとか関係ねーから。お前は俺を辱めて貶めてさらし者にした。それは紛れもない事実で重罪や。
 だから死刑。下らない命乞いしたってもう無駄や」
 「うぇえあああ...!そんな......お前は、そんな理由で、簡単に俺らを殺す気なんか!?ホンマに殺す気でいるんか!?」
 「だからそう言ってんだろ?何か?そうやって説得して俺の気を変えようってか?無駄やから。今さら俺に情で訴えたところでどうこう出来へんよ?止めてほしいなら力づくで止めてみせろや、なァ」


 俺の血も涙もない発言に今度こそ絶望した清水は力無く倒れる。次いでうおおおおおと幼児みたいに泣いて喚いて慟哭する。

 「全部お前が招いたことやろが!!何も悪いことしてない奴を理不尽に辱めて貶めるから、そんな目に遭うんや!クソ野郎が、十二分に苦しんで死ねぇ!!」

 “苦しんで死ね”

 そして清水の体内に細胞を一つ一つ破壊するウイルスを発生させて、その体を雑に蹴り飛ばす。後はもうウイルスの侵食に任せて、勝手に死んどけば良い。

 ここからは同時進行でいこう。清水がウイルスに蝕まれて地獄を見てる間、別の奴への復讐をはじめよう!


 「次はーそうやな……よし、お前や」
 「ぐぅおっ!?嫌や、嫌やぁ!!死にたくない...っ!!」


 俺に捕まって情けなく悲鳴を上げる井村遼を、壁に叩きつけて黙らせる。

 「お前にも相当俺の学校生活...人生を汚してくれたよな?何がフランクフルトじゃクソがあああああ!!!」

 ドガバキゴスドスゴキメキィ!!!

 「ごえあ”、あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!!悪ふざけが過ぎましたごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!!」
 「何や、お前も悪ふざけが過ぎた…が言い訳かぁ!?いい加減飽きたわその下らない言い訳はよぉおおおおおお!!!」

 怒りが強まってさらに苛烈に殴り蹴っていく。井村の骨は折れて、内臓が傷つき破裂もする。
 気が付けば刃物で腹を抉ってもいた。すぐに痛覚を麻痺させてショック死を防ぐ。

 「う”、わあ”あ”あ”あ”あ”!?!?」
 「あーあ、そんなに大声で喚くと...ほら言わんこっちゃない」

 痛覚麻痺してるせいで簡単に大声を出してしまいその刺激で井村が盛大に吐血する。治療して腹を元に戻す。そう簡単には死なせない。

 「感情的になり過ぎていつの間にか腹をかっさばいてたわ。危ない危ない、すぐに殺してまうとこやったわ」

 黒い笑みを浮かべてそう言う俺を、井村は心底怯え恐れた様子でなお逃げようとする。

 「どこへ行くつもりやァ!?お前が俺に散々犯してきた罪の落とし前をつけずにさァ!!」

 ガンッ 「おげァ...!!」

 後頭部を掴んで顔面を床に叩きつけてやる。鼻血を大量に流してキモい面の井村をこっちに向き合わせて、脅すように話しかける。

 「フランクフルト?それは俺の股間のことを悪意ある揶揄でそう表現してたよな?明らかな“悪意”を込めてよぉ。
 俺がそれが厭やって何度も何度も、何度も何度も何度も何度も何度も...!厭って言ったのに!お前は悪ふざけでずっと俺を辱め続けてきたんだよなァ!?」

 ジュウウウウウウウ!!両腕に濃硫酸をかける。

 「わ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”っ!?!?皮膚が溶ける、溶けてる!!いだい”、いだいぃぃい”い”い”い”!!!」
 「腕が溶かされたが何や!?俺は二年半もこんな物理的痛みよりも数段痛くて苦しい傷を負い続けてきたんやぞ?それらの合計の痛みときたら...俺は何回死んでたんやろな?これなんか全然大した苦痛じゃねーだろがよぉおおおお!!!」

 ジュウウウウウウウ!!ジュウウウウウウウ!!!両足も溶かしていく。

 「rfptふぉpvldsぢkvdsdkfそlkcvpk!!!」
 「ははははは!!この程度で発狂すんな!俺はまだまだスッとしてへんぞ!?」
 
 腹を何度も踏みつけて強引に正気に戻す。

 「ハァー!ハァー!.........もう止めてくれ...!あんな呼び名で馬鹿にしたことはもう反省してる......か、勘弁して――」
 「お前は俺の言葉聞いてへんかったんか?“絶対に赦さん”って言ったんやぞ?俺を散々虚仮にして辱めて笑いものにした罪をここで全て贖って、死ね」
 「そんな、そんな...!あんまり、やあ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”っ!!」
 
 心が折れたように泣き叫ぶ井村に構わず棘がついた鞭で背中を打ちまくる。

 「お前のせいで塾で恥かかされまくって、挙句は辞めさせられて!俺はそのせいでロクに良い高校に通えなくなったんや!!お前が俺に犯した罪はそれなりにデカいぞ!何せ俺の人生を狂わせたも同然やんやからなァ!!お前の下らない悪ふざけとやらで俺は最悪な学校生活を送る羽目になったんや!このクソッタレがァ!!!」

 「うぎゃあああああああああああああああああ...っ!!!」


 苛烈に打ち続けていると背骨が見えてきた。皮膚と筋肉が破れて骨まで達したようだ。剥き出しになった背骨を踏んづけてグリグリと痛めつける。井村の声にならない悲鳴を無視して続ける。

 「そもそもお前は何や!?お前は俺のイチモツを見たことなかったくせに、あそこのクソ青山に便乗して俺をあんな呼び名で貶し出したよな?一度も俺のを見たことないくせに、デカいかどうかも知らん、実物見たことないくせにお前は憶測で俺をずっと貶し続けてきたってわけや!!
 ふざけてんじゃねーぞ!!事実かどうか確認もしないでずっと貶して笑いものにしゃがって!!で無関係の奴らまで俺がそういう奴やと曲解しだして俺を嗤うようになった。お前のせいで俺は散々恥をかかされてきたんや!!
 お前のせいで!!お前のせいでえええええええええええええ!!!」

 バチィィイイイイイイイイイイイイイ!!!
 剥き出しになった背骨に、鞭を思い切りしならせて打ちつける!

 「~~~れしおdhおぇいyprすえ”!!!」
 「想像で!俺のことをまるで想像と同じように!!分かったように貶してんじゃねーぞゴミカス野郎がああああああああああああ!!!」

 憶測で人を貶すクズは死ぬべきゴミ野郎だ。マスゴミやそいつにほだされて真実をロクに知らないくせに同じように叩いて貶して嗤う大衆ども同じだ。
 井村はマスゴミ同然の最低クズ野郎や!!
 
 「は~~~!やっぱこうやって激情に駆られて痛めつけるのは最高やなァ!!ラストは毒で苦しんで死ね」

 “神経と骨と筋肉と皮膚を冒す猛毒で殺せ”


 「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”...!!!か、体が、全身が焼ける、あ”あ”あ”あ”あ”あ”.........!!!」
 「あははははははは!!お前は毒に冒されてたくさん苦しんで、死ねェ!!!」




 ウイルスで苦しみ藻掻いている清水の隣に井村を蹴り飛ばした。二人仲良く苦しませ続けてやる。
 というわけで、次の復讐に移ろう。次は―――


 「あ~お~や~ま~ァ!!お前のせいで井村までもが俺を蔑称で呼ぶようになったんやろうがっっ!!!」

 グシャア、ブシュウウウウウウウウウウウウウ!!

 「~~~~~がぁああああああああああああ!?!?」

 スパイクピンがついた靴で、青山祐輝の頭を踏みつける。その拍子に血がいっぱい噴き出た。次いで爪を立てて青山の胸を突き刺して掴んで持ち上げる。胸倉掴みならぬ胸倉突き刺し掴みだ。

 「あ”あ”あ”あ”!?刺さって、えぐっ、抉れてる!!いだい”!!は、離せ、え!!」

 ジタバタ藻掻いて叫ぶ青山にイラっときた俺は、もう片方の手から酸を発射して腹にかける。

 ジュウウウウウウウ!!
 「ばあああああああっ!?!?」

 服が溶けて露わになった腹が赤く爛れている。


 「お前が俺に偉そうに命令できる立場なんか?お前が口に出すべきセリフは“なるべく早く楽に殺して下さい”って必死に懇願することやろうがよ?
 離せだ?俺を散々貶しておいて、調子こいてんじゃねーぞクソゴミが」
 「ぐああああ......っぐ!!この、狂人が...!」
 「へぇ?お前は今までのと違ってそうやって反抗する気力があるんか。オモロいやんけ。ならもうちょい遊べるな」


 掴んでいる手に力を込めて肉をさらに抉る。血がさらにボタボタと滴る。
 
 「ぐぅおおおおお......っ!!」
 「お前のせいで小6の学校生活ではだいぶ恥かかされた......お前がチ〇デカとかいう不名誉不快極まりない屈辱的ネームで呼んだことでっっ!!」

 さらに握る。血がたくさん出る!
 
 「げぁあああああっっ!!」
 「中学に上がってからも、前原とかと一緒になってあの呼び名で俺を貶してきた。俺が厭がってるのを笑いものにして、止めろと言っても面白がるだけ!!俺を貶めることが道楽やと言わんばかりの仕打ちを二年半も…!!」

 さらに錬成で床から長い棘を発生させて、奴の両手足を突き刺し貫いた!

 「うぉぐぅううううううう......!!」
 「人の身体部位をそうやって大勢の前で貶して辱める。完全な名誉毀損罪を含む虐めや!犯罪や!!つまりこの場でのお前は犯罪者。だからこうして俺に復讐される立場にあるわけや。
 分かるか?あの時...いや今もか。俺がどんだけ傷ついて不快にさせたか!お前は知ろうともしなかったんやろうな、自分が望まない呼び名で呼ばれ続けることの不快さと鬱になりそうなストレスが!!
 人の精神的苦痛のことを知ろうともしなかったお前は、俺をああいう風に貶し続けてさぞ楽しかったんやろーなこの腐ったゴミカス野郎!!!」


 腕、脚、肩、横腹と順に突き刺していく。足元には青山の汚い血だまりが出来上がっていた。マイクで話を続ける。

 『弁明は聞かへんで?全部お前が仕掛けてきたことやからな。全部悪意あるちょっかいやったもんな。俺言うたよな?厭やって、その呼び名で呼ぶなって。散々言い続けてきたよな?
 やのにお前は俺の本気で嫌がってる反応を笑いものにして面白がって俺の名誉をズタズタにしやがった!!
 なァお前ら、このクズをどう思う!?人が嫌がる呼び名で呼ぶようなクズ野郎は許せる人間か!?』

 「酷い!」「最低や!」「小学校とかで教わらなかったん?嫌がることはしてはいけないって!」「お前は最低のクズや!!」「死ねば良いわクソ野郎!!」

 返ってきたのは青山に対する罵詈雑言の嵐。誰もが怒りと蔑みが込められた非難をぶつけてくる。それらをモロに受けた青山は完全に萎縮した様子だ。自分がこの場では悪人扱いされて味方もいないという状況が恐ろしいようだ。

 「め、めちゃくちゃやこんなん...。俺は認めへんで、お前なんかが正しいわけないんや...。俺がお前を貶したんは悪いことやったって認める、けど......だからといってここまですることは、許されへんはずや!!なぁ先生らもそう思うやろっ!?」

 だがそれでもまだ自分の意見を主張する気力が残っていた青山は俺の行為を否定して、教師どもに同意を求める。ほとんどが青山の言葉に首肯する。再び俺を非難する声も上がってきた。
 そんな茶番を見た俺は呆れを含んだため息を吐いて教師全員の口を閉じさせる。次いで青山の顔面を何度も殴り続ける。

 「何勝手に、自分の発言の同意を求めとんねん。お前の意見なんて全然聞いてへんかったやろうがっ!!」

 蜂の巣になるくらい腫れるまでぶん殴り続けて一息ついた隙に青山はなおも反論する。

 「いい加減にしろ、や...。もうこれで終われ、よ...。何人も殺しやがって...!この殺人鬼がぁ...!“チ――」

 刹那、俺は青山を床に叩きつけて、胸を放して首を掴んだ。

 「おい......お前今何言おうとした?俺に向かって今、何言おうとした?この期に及んでまだ、あの忌々しい呼び名で俺を貶そうとしたんか?」
 
 怒りを通り越して感情が無くなった声で問いかける。対する青山は苦しそうにしながらも口を動かす。
 声は出てないが口の動きで大体その内容が理解できる

 ............そうか。

  この程度の拷問はコイツにとっては生温かったと。まだ俺をそうやって貶すくらいの余裕があると。
 まだ、足りないってことか……この復讐の残虐度が。

 なら......コイツにはとことん絶望を味わってもらおっかな。今のクソ発言をしたことを後悔するくらいにな...!


 パチンと指を鳴らして青山の目の前にモニターを出現させる。モニターが映し出されているのは誰かの家のリビングだった。どこにでもありそうな一般家庭の様相のリビング部屋だ。
 
 ただ、その部屋は普通ではなかった。テーブルはひっくり返されて傷だらけ、窓は割れていてソファーも中身が飛び出てボロボロだ。壁にはあちこちに傷や穴があって酷い有り様だ。


 「............おい、これって............」

 首を放して代わりに両手足に枷をつけて芋虫状態にした青山は、モニターを見て明らかに動揺している。

 「どしたー?顔色が悪いなー。血を流し過ぎたせいだけやなさそうやけどー?」
 「これ......《《俺ん家》》やんけ...!」
 

 青山が再度吠える。俺は正解と答える代わりに笑ってやった。
 そう、モニターに映ってるのは青山の家の中だ。
 今回の復讐をするにあたって、俺はあることをしていた。それは虐め主犯連中の家族関係のリサーチだ。
 どいつもこいつも、家族仲は俺程ではないが微妙だった。《《たとえ目の前で家族を殺して見せても大してダメージを負わせられない》》と判断していた...が。


 「お前だけは随分家族仲がよろしいようで。良いことやなぁ家族と仲良いってのは」
 「.........」


 絶句する青山を笑いながらカメラを動かして部屋を移動させる。すると映像から何か声が聞こえる。助けてだの離してだのと...。それを聞いた青山の顔がさらに悪くなっていく。
 そしてパッと画面が切り替わるとそこには数人が映っていた。二人は俺...によく似たアバターだ。適当に作った為、機械部分が若干見えている。だが青山が目を惹いたのはもう三人の姿の方だ。


 「誰か、助けてええ!!」
 「母さん...!!」

 「クソ、何でこんなことに...!」
 「父さん...!!」

 「放して、放して、よぉ...!!」
 「ね、姉ちゃん...!!」

 『はーいその通り!こちらにお映りしておりますのが~~青山祐輝の家族ご一行でーすっ!!』




*人によってはかなり胸糞展開あり ご注意ください





 俺の紹介アナウンスに観客生徒どもが囃し立てる。青山本人は激しく動揺し、教師どもや生き残っている女子二人と五組の連中は啞然としている。清水と井村は地獄の苦痛でそれどころじゃないようだ。今も断末魔の叫び声を上げている。


 「お前がそうやってなおも俺を侮辱するもんやから、俺もう切れたわ。お前には暴力振るわれたことなかったし、ただ精神的な虐めしかやってこなかったけど。
 地雷踏んだ以上はもう堪忍ならんわ。せやから………」

 するとモニターに映っているアバターたちが動き始める。それぞれの手には大きな剣とガトリング銃がある。そしてそれぞれ二人…青山の両親の頭に突き付ける。

 「!!お、おいぃ!!ま、まさか!?!?なぁおい、冗談やろ止せ!?止めてくれ!!俺が悪かった!!調子に乗り過ぎた!!頼む俺の大事な家族や!!頼む、止めてくれえええ!!殺すなら俺だけにしてくれ!!家族のみんなを巻き込まんといてくれぇええ...っ!!」
 
 これ以上にないくらいの音量で叫んで必死に俺にアバターが今からやろうとしていることの制止を求める。
 頼む頼むと連呼する青山の髪を掴んで、俺はフッと穏やかに笑い...


 「ばーか。全部お前のせいや。ざまーみろwww
 ―――やれ」


 『――(グサァ)いやあ”あ”あ”あ”あ”あ”.........』
 『――(ズガガガガガガガガガ!!)ごぱあああ.........っ!』

 数秒にして青山両親が、ただの肉塊と化した。頭がキレイに割れたもの、全身撃たれて挽肉状態になったもの………それはそれは惨い死体が映っている。

 「あ......あ.........母さん...。父、さん.........」
 『いやああああああああああああああ.........っ!!」

 青山は掠れた声で呟き、モニターに映っている青山姉は悲痛な叫びを上げる。


あ 「あーあ。お前が俺の地雷を踏み抜くことしなければ、お前の家族があんな目に遭わずに済んだのになー。お前がふざけたことしたせいで、お前のお母さんとお父さん惨たらしく殺されちゃったねぇ!?お前が俺を侮辱したせいでっ!!」


 お前のせいで二人は死んだと、青山に対して何度もそう言葉を投げかける。青山は呆然と、ただ画面を凝視するだけだ。死んだ母と父の姿をただ見つめるだけだ。
 そしてようやく慟哭を上げて二人の死を嘆いた。

 「う、あああ、ああ......ぉおおおおおおおおおお......」

 額を床にこすり付けながら呻く青山を再び掴んで顔をモニターに向けさせる。

 「おい、誰がこれで終わりやって言うたよ?まだ一人残ってるやろうが」

 モニターには、衝撃的な光景が映っていた!

 『いやあああ!いやああああ!!止めて、触んなっ!!この人殺しぃ!!」

 青山姉はアバター二人に犯されていた。

 「な......っ!?!?おい杉山ァ!!もう止めろや!!姉ちゃんを放してくれ!!止めろ、止めてくれえええええ!!!」

 再び青山は俺に怒鳴りつけるが鼻で笑って聞く耳持たずの反応をする。裸にひん剥かれた青山姉は、アバター二人に酷い暴行を受けている。

 「はぁ?《《止めろ》》やと...?俺は昔そのセリフを何度も何度もお前に使ってあの不名誉不快極まりない呼び名を止めさせようとしたよなァ?
 で、お前はどうしたんやっけ~~?止めろって言った俺の言うこと聞いたんやっけ~~!?」

 「あの時とこれとは程度がちゃうやろうがあああああ!?もう止めろやあああああ!!!俺の家族を奪って汚すのはもう止め―――」

 「程度がちゃうとかそんな次元じゃねーだろうがっっ!!!」

 ドゴォ!!「――っが......ぉお...!」

 青山の文句に再びキレた俺は青山の顎を思い切り蹴り砕いた。

 「程度?程度さえ低けりゃ何しても良いって言いたいんかお前は!?些細なことやから......ってそれはお前の中ではの話やろーが!!俺にとっては耐え難い屈辱と苦痛に塗れた消えない傷やってんぞ!!お前の解釈で俺にしでかした罪を軽くしてんじゃねーぞこのクソゴミがあああ!!!」

 殴打、銃、剣、鞭、炎とあらゆる武器で青山をその場で甚振りまくる。その間モニター内の音量を最大にして青山姉の悲痛と絶望の叫び声を聞かせてやる。


 「い”やあ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!止めて助けて、助け――ぉごおっ!?んぶ......ぉええ...!んぐんぶぶぅう.........っ!?」


 アバター二人は前と後ろから青山姉を辱めている。その絵面は人としての尊厳を理不尽に汚すものだった。そしてそれを見た青山はさらに絶望していく。

 「あ~~~はっはっは!!俺を不快にさせたクソ野郎どもは全員不幸と絶望の底に叩き落とす!!さァ、お前もそろそろ終わろうか!!姉と一緒に死にやがれ!!」

 青山を仰向けに倒して大の字にさせる。腹に硫酸をぶっかけて溶かしていく。ジュウウウと煙を立てながらゆっくり腹部の皮膚を溶かしていく。
 体育館内では青山の苦痛の絶叫が、モニター内からはその姉の絶望に満ちた悲鳴が響いている。

 「~~ぅごおおおおおあ”あ”あ”あ”あ”あ”っ!!腹が、焼けるいだい”ィ!!!」
 「痛いかぁ? じゃあもっと痛くしてやる!!」
 
 グチュ...!

 「~~~~jgろtのっろべmぎるオれ宇井ふいⅬれblれg......!!」
 
 爛れた腹を踏んずけてグリグリとにじって甚振る。その刺激はよほどエグかったのだろう、声にならない叫びを上げる。

 「あははははは!!っははははははははははは!!俺が受けた屈辱と痛みを思い知れぇクソ野郎!!」

 さらに腹を蹴ったり刺したりして拷問しまくる。同時にモニターから青山姉が叫んでいた。


 『た、助けてぇ…!!祐輝ぃ助けてええええ!!祐輝いいいいいい!!!』


 泣きながら青山の名前を叫んで助けを呼んでいる。それを聞いた青山もとうとう泣き出して姉に謝罪をする。

 「ず、まねぇ姉ちゃん...!お”れのぜい、で......!ごめん、ごめんよお”ぉ...っ!!」

 お互い名前を呼び合って助けと謝罪の言葉を交わす様を、俺はただ嗤って見世物にしてやる。

 『どうや青山ァ!?コレがお前がかつて俺にやってたことや!!止めてほしいのに面白がって理不尽に虐げることがどういうことか、その低脳な頭で理解できたか!?汚され奪われることがどういうことなんか、後悔して絶望しながら死ねぇ!!』

 マイクで叫び、青山を指差して笑いものにしてやる。俺の笑いにギャラリーどもも同調して嗤う。
 狂気が充満したこの空間に板敷と吉原は泣き出した。地獄の苦しみを味わいながらも今の様子を見ていた様子の清水と井村は絶望しきった顔をしていた。教師どもは目を背け耳を塞ぐなど現実逃避しようとしていた。

 しばらく青山を拷問して満足したところで、隅で地獄を味わっている二人を青山の傍に並べる。最後は派手にいこう!

 『よぉし!今から三人同時にぶち殺しまーす!!無様に無価値の命を散らす様を笑ってやってくださーいっ!!』

 俺の宣言にギャラリーどもは沸いた。狂ったテンションの中、俺は青山の頭上に巨大鉄球を浮かせる。そして清水と井村のウイルス(毒)の侵食を加速させる。

 「「あおごぼぺっ!?ばがああああああ!!!」」

 二人はさらに大量の血を吐いて苦しそうに叫んで藻掻く。痛み苦しみ、絶望と後悔と、早く楽になりたい生への諦めに潰れた二人を見て笑いながら俺は手拍子をする。

 『しーねっ!しーねっ!しーねっ!...!...!』

 死ね死ねとコールしながら手拍子する俺につられてギャラリーどもも同じことをする。

 《シーネ!シーネ!シーネ!》

 それがしばらく続き、三人にとって耐え難いムードを形成したところで、ついに清水と井村の命が消えようとする。


 「じゃあ―――死ね」


 腕を振り下ろすと鉄球が落下―――青山の頭を粉々に砕いた!同時に清水と井村から夥しい血が噴き出てそのまま死んだ。
 青山祐輝・清水博樹・井村遼への復讐を同時に達成した。
 ついでに青山姉も殺しておいた。腹上死だ。


 『九人復讐完了!!』




 壇上には夥しい血が流れている。三人分の致死量の血が流れているのだから無理もない。
 それだけの血を流させた当の本人...俺はケラケラと笑って愉快なご様子でいる。
 ただの肉塊となった三人の遺体に俺は順番に小便をかけて亡骸を辱める。こいつら三人には散々不名誉不快極まりない呼び名で呼ばれたり見世物にされたりと俺の尊厳を汚し辱めてきた。だから俺は最後までとことんこいつらの全てを奪い汚して辱めることにする。

 溜飲が下がったところで首以外の部位を焼却して、三人の首は隅に雑に置いてさらし者にしてやる。それを見たギャラリー生徒どもは指さして嗤い出す。これこそ“辱め”ってやつ!

 床を掃除して初きれいに戻したところで、隅で震えているクソ女二人を中央に引き摺り出す。復讐もいよいよ大詰めや!


 「いやあああああ!!やだあああああ...っ!!」
 「死にたくない死にたくない!!あんな死に方、嫌ぁ...っ!!」


 ジタバタ藻掻く二人を壇上に晒して重力で拘束する。うつ伏せ体勢のまま硬直させられて何も出来ないでいる二人の前に立って見下しながら話をする。


 「よお、俺をパシリ扱いしていたクソ女ども。俺はお前らのパシリになんかは一度もならなかったけど、その度にお前らは俺が優しくないだの冷徹だの女の敵だのクズだの最低だの......挙げたらキリがねーくらいに、俺に関する悪辣なデマを学校中に広めて俺を貶めたっけ...?
 そのせいで俺は同学年からはもちろん、上級生や今の二年生らからも俺を悪い奴として捉えるようになって、俺から避けたり俺を陰で非難したりと、校内での俺の評価は最底辺、いつもゴミ同然の酷い扱いを受ける嵌めになった...」

 思い出を振り返る調子でかつて二人にされてきた嫌がらせ内容をポツポツと語る。二人は相変わらず涙を浮かべて震えるばかりでいる。ある程度語り終えたところで、俺は怒りの形相で二人の目前に剣を床に深々と突き刺す。

 「「ひいぇああ!?」」
 『なァ訊くけど......俺はお前らに暴力振るったっけ?正直に3秒で答えろ。じゃないと今度はコレをお前らに突き刺す。嘘はすぐに見破れるからな。はいさーん――』

 剣を見せつけて尋問を始める。とりあえず公衆の面前でコイツらの悪行を晒してやることにした。

 「―――ふ、振るわれてませんっっ!!ななたちは、杉山に暴力なんて振るわれたことありませんっ!!」
 
 板敷が真っ先に答えを叫ぶ。状況次第では助かるとまだ思っているのか必死だ。

 『うん、せやな。ホンマにブン殴りたかった気持ちやったけど結局はお前らにそういうことはしなかったよな俺は。暴力行使未遂は事実や!お前らは振るわれてもない暴力があったかのように吹聴していた!!』

 俺が言い終わると同時に観客生徒どもから激しいバッシングが起こる。嘘つきだの悪女だのと、罵詈雑言の嵐だ。これは幻術によるものではなく、あいつらが実際にやってることだ。
 けどさぁ、あいつらの半数人近くは今まで、このクソ女どものデタラメを信じてたよな。殺したくなるくらいの手の平返しみせやがって…!後で全員惨たらしく殺してやる。

 『じゃあ次。俺は他の女子生徒にちょっかいをかけてましたっけー?』
 『俺は下級生を脅したことあったっけー?』
 『俺は誰かを貶めることなんかしたことあったっけー?』

 と、今までコイツらが広めていた悪評の一つ一つを、本当か嘘かを二人に尋問していく。当然答えは全て噂はデタラメ、虚偽であり、この二人は大嘘つきだったってことを全校生徒・教師の前で暴露してやった。


 《嘘つき!嘘つき!!クソ女!!》


 ギャラリーどもが二人を非難しまくる。その圧力に板敷は泣いて震えて、吉原は逆ギレしてうるせェと怒鳴る、効果は全く無いけど。

 「まぁお前らが如何に嘘つきで、俺を散々貶めて、俺が虐げられてるとこを嗤うような最低クズどもだってことがハッキリしたな?」
 「「......!」」
 「俺がお前らの命令に従わない、お前らの思い通りに動こうとしなかったという下らない理由で、理不尽に俺を潰すことにした。俺を底辺に突き落としてそれを楽しんで...随分とまぁ俺を散々お前らの玩具にしてくれたもんやなぁ?ほっっっんと、女って醜い生き物なんやって思ったくらいや......お前らのせいでっっ!!」


 ズドンズドンッッ!!
 「「ぎゃえあああああっっ!?」」

 今度は銃を撃って二人の眼前の床に着弾させる。それだけで二人は情けなく喚く。


 「......俺がさっきからお前らを殺したあいつらと違って甚振らへんのは何でか分かるか?」
 
 銃をプラプラさせながら問いを出す。二人はブルブルと首を振る。恐怖で震えているだけなのかもしれないがとりあえず分かりませんという答えとして受け取ろう。

 「いやさ?俺って女子に対してはさっきみたいな甚振り方は出来るだけやりたくはなくて?一応まだ紳士的要素が俺にはあるから?」
 
 俺の発言に二人が顔を上げる(二度目の時は問答無用に痛めつけてたが)。もしかしたら私たちは酷い目に遭わされずに済むのかも、と期待してそうな様子だ。

 「なァ、そもそもお前らは何で俺をパシリに行かせようとしたん?それも二度も三度も...しつこくしつこくさァ...。こういうのって普通一度断られたらもう関わろうとしないもんちゃうの?それも異性相手に...。何なん?理由あり?俺をパシリにさせたかった理由が」

 二人は答えない。板敷に至ってはあからさまに顔を背けようとしている。この期に及んで後ろめたさで言うのが憚られてるのか。鬱陶しい。


 「早よ言えや。死んだあいつらと同じ目に遭いたいんか、コラ?」


 銃を頭に向けて脅すように言うと、板敷は観念したように、頬を赤く染めて(?)白状した。


 「な、ななが...杉山を何度もパシろうとしたんは...............。
 す、杉山をななのモノにしたいと思ったからっ!」

 「あ?」


 思わず呆気に取られてしまい間が抜けた声を出してしまった。誰を誰のモノにするって?俺があのクソ女のモノにやと??

 「ななは、杉山のことイイかもって、せやからアンタをななのモノ...男にしようって!でもなながそう思ってた時には、杉山は皆から嫌われて...虐められてて..。ななの男になる人があんな目に遭ってるのは嫌やったから、なながアンタを虐めから守ったろと思って、それで...パシリとかから始めて、皆に杉山がななの男やって分からせて虐めを止めさせようと考えたんよ!?」

 「.........」

 「せやのに...肝心の杉山はななのそーいう気持ち全然分かろうとせずにななに反抗して協力せーへんくて...ななに全然なびいてくれへんくて...!言うこと全然聞いてくれへんかった!ななが杉山をどうにかしてあげようって思ってるのに杉山全然空気読まへんし!ただでさえ陰キャのアンタとスクールカースト上位のななとじゃ釣り合わへんのに!ななから歩み寄ってあげたのに、アンタが生意気にもななの誘い断るから!!」

 「.........」

「ボッチで陰キャのアンタはただ素直になならの言うこと聞いてたら良かったんや!そうすればななが杉山のこと虐めから守ってやってたのに!その代わりにななが杉山のこと可愛がってあげてたのに!何でななのパシリにならんかったんや!?ななは自分なりに杉山のこと考えてたのに!
 せやからななは、アンタがななのところに来るまで、皆と一緒になって虐め...ううん、なならのは虐めですらない。ただ嘘の噂を流しただけ!せやのにアンタはそんなことも分かろうともせずにこんな...こんな残酷な仕返しをして...!なならにもこんな酷い仕打ちまでしてっ!!」

 板敷は自分の気持ちを、俺を虐げた理由をややヒステリックになりながらも告げて、最後は逆ギレ気味に俺を睨んで叫ぶ。
 
要するに、板敷は俺に好意を寄せていた。それで俺を自分のモノにしようとパシリから始めて俺を私物化しようと近づいた。けど肝心の俺はそんな板敷に反抗して奴の思惑通りに動かなかった。それが気に入らなかった板敷は、俺が従う気になるまで嘘の悪評を広めて俺を虐げ続けていた
 と、いうわけ。
 

 ........................ふざけてやがる。


 「ちっとも理解できへんのやけど?それでどうして俺がお前のところに行くという結果になれると思ってんの?はぁ?俺がどんだけ傷ついて辱められてきたのか理解しようともせずにさァ?」
 「知らん、知らんわ!陰キャのアンタは立場が上のななに素直に従ってたら良かったのに!!下の人が上の人に従うのは当たり前やんか!!もうアンタなんか好きでもないわ!!死ね!!!」
 「......おいおいおい。自分に従おうとせず自分になびかないから虐めに加担して、しかも今も俺を下に見てるんかよ...。同級生やのに立場が上とか下とか...。
 何やねんコイツ。どこまで自分勝手な女なん...?」


 ――こいつはどれだけ俺に憎悪と殺意を抱かせるのか......


 再び沸々とこみ上げる憎悪を感じながら、ずっと黙ったままでいる吉原に目を移す。 


 「で、お前はソイツの補助という形で俺を同じように虐げてたってやつか?」
 「は、はい......ななに協力して、杉山の悪評を広めて...。それでななが付き合えるからって、ななが言ってたから......協力して......」 

 「ハァ………。どいつもこいつも」



 ほんま...マジで。特に板敷というクソゴミ女...。こいつマジでアカンなァ。




 心底呆れたといった様子で額に手を当ててため息を吐く俺をどう捉えたのか、今まで殺した奴らの時とは違う様子...それほど憎悪を向けられてないとか馬鹿な解釈でもしたのか、ここぞとばかりに俺に媚びり出してきた。

 反省してます、間違ってました。二度とあんなマネはしませんから私たちだけは見逃してくれるよう考え直してくれ......泣きながら媚へつらって、命乞いを繰り返して情に訴えかけてくる。


 「ハァ~~~~この......」


 またため息を吐いて呆れた口調で喋る俺に希望を見出したのか、二人は顔を緩ませる。
 が、


 「自分の快のことしか考えてねー自己中最低クソ女どもが...っ!!」


 侮蔑と...殺意を込めた目でそう告げた俺の、捕食者を思わせるその眼に当てられたことで、瞬時に顔を恐怖で引きつらせた。

 「だってそうやろ?結局はお前らの快のことしか考えてへん。俺がどんだけ苦しんで傷ついて...最低な目に遭ってるのかを考えもしてねー。
 しかもまだそうやって俺をこれでもかと見下しとる...。虐めで追い込めば俺が素直にお前みたいな下衆女に降るとでも?場合によっては自殺とかしてたかもしれへんのに。
 お前ら基準で俺が大丈夫とか勝手に決めていつか自分のとこに来るとか思い込んで...!まるでゲームか何かのようにシナリオを進めて、俺の行動を決めようとして...!!
 マジで胸糞で、虫唾が走って、殺したくなる最低のクソどもが...っ!!!」


 ガッと吉原の首を掴んで持ち上げる。俺の手首を掴んで涙目で藻掻く吉原に、超高電圧電流を直接浴びせた!!

 「ぎゃあ”あ”あ”あ”あ”いthptlghp......!!!」
 「焼き焦げろ。その身勝手で汚れきった心と一緒になぁ!!」

 バリバリバリバリバリバリバリバリバリィ...!!!

 体育館中に電流が走る音が響き、同時に人の体を理不尽に蹂躙して破壊する音も響いた。血がたくさん出て同時に蒸発していき、壇上では眩い光を放ち、赤が混じった黄色い閃光が発生していた。

 数十秒間もの処刑執行を行いやがて電流を止める。俺が掴んでいる物は、ただの炭と化していた。手を離すとボロボロと人の形を崩して落ちていき、足元に炭の山が出来上がった。

 「え......し、ほ......?」
 「友達の為とか何とかほざいてたけど、結局は俺を害したことに変わりないやろ。だから落とし前をつけさせた。まぁさっき言った通り女子相手にああいう拷問をする趣味は無いからこの程度で済ませたったが」
 

 呆然と炭の山を見つめる板敷をどかして炭を消し飛ばして、嘘を混ぜた結論を冷酷に告げる。五組の連中からはシホー!とか叫んでいる奴が何人かいる。五組には吉原とつるんでる女子が三人くらいおったからな...先日会った佐藤とか嶋田とかやろ。
 吉原の死骸を消したところで板敷に目を向けて襲い掛かる。あああと泣き喚く板敷を仰向けに倒して服を脱がす。


 「え......?ちょ、なに...!?何なん!?!?」
 「何って、続きに決まってるやろ。これはお前ら虐めの主犯どもに対する復讐なんやから。全員ちゃんと地獄へ送るって俺言うたやろ」
 「ま...!待って、待ってよぉ!!し、しほを殺して...ていうか皆を殺して...!もうええやろ!?それにななは、皆と違って杉山が嫌いで虐めてたわけちゃうかったし!ななは、杉山を恨んでなんかないし......ホンマに反省してるし。な、ななだけでも殺さんどいてぇやあぁ!!」

 板敷の懇願に対し知るかと冷たく返して板敷の服を破る。その際に手足の腱を破壊して無抵抗状態に落とす。

 「きゃああああ!?す、杉山...?あんた、まさか...!?」
 「お前をここで辱める。皆が見てる前でや。お前の尊厳を粉々に潰して汚しまくる。せいぜいたくさん絶望して嘆いてから死ね」


 あまりの予想外の行為に板敷は驚愕、やがて恐怖に震える。教師どもも啞然としている。観客生徒どもは扇情的な姿になった板敷を見てフウゥ!と騒いでいる。五組からは最低...と女子の非難が聞こえてくる。ムカついたから後で残酷に殺してやる。
 因みに吉原をヤらなかった理由は……あんなブス相手にしてもこっちのSAN値が削られるだけだからや!。ブスは惨たらしく殺してオーケーや。

 「待って、待って!!こ、こんな大勢の前で!?や、止めようよっ!!こういうのはふっ、《《二人だけの場所で》》...」


 酷い目に遭わされるというのに板敷はどこかまんざらでもない様子だ。場所についてしか文句を言わず、そもそも凌辱行為自体については拒否をしていない。さっき俺のこと好きでもないとか言ってたくせにな。

 俺の事が好きだってのはホンマやったんか?もしそうならなおさら質が悪過ぎるわ。普通好きな奴に対してあそこまで貶めて追い込むようなことする?意中の相手を見下したりするかね?
 そんなクソ女に俺が本気でなびいて振り向いてくれるとか思っとんのかコイツは?

 まぁ好きとかどうとか、もうどうでもいいか。復讐することに集中すれば良い。けどこのまま俺がコイツを犯してもコイツにとっては何の地獄でもない。
 せやから......


 “アバター作成” 本人の顔を若干崩す。


 板敷の目の前に三人のアバターが出現した。全員不細工に分類される顔をした、いわゆるブ男だ。しかも全員全裸で既に戦闘態勢だ!

 「ひっ!?な、何?何なんこいつら...!?」

 そして三人が一斉に板敷を襲った!


 「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”っ!?!?んぐぅ!?うぼえぇ...!
 すっ杉山ァ!!いだっ!!な、何でぇ!?止めて助けてぇ!!こんなキモい奴らとなんか、―――――――ぉうぐぷ......っ!!」


 窒息してそうなくらい顔を赤くさせて苦しそうにしている板敷を嗤いながら返事をする。

 「っははははははは!!誰がお前なんかとするかよ!?俺と相手じゃお前への復讐にならへんやろ?せやからお前が生理的に無理そうなアバターを創ってそいつらで相手させることにしたんや!それも大勢の前で!!
 ていうかキモい奴らって言うけどなァ、そいつらは一応俺の分身なんやで?外見は別人やけど中身は一応俺なんやからな。キモいとか言うなや」

 「~~~ぶはぁ!こんな奴ら、ななが知ってる杉山やない!!あ”っ!!杉山がイイ!やられるなら杉山のが良いぃ――おごばぁ!?」

 一秒ごとに板敷の尊厳を存分に穢していく。教師どもはまたも目を逸らしたり耳を塞ぐなどで見て見ぬフリ(五組も同様)、他の生徒どもは色めきだって囃し立てている。
 因みに板敷に快感は訪れないようにしている。二度目の人生の時と同じ、快感が痛みに変わる細工をしておいたから今も地獄の激痛を味わっているところやろうな!


 「ごほっごほぉ...!杉山ァ......お願いぃ助け、てぇええええ......嫌や...!ななこんなの、嫌あぁああああああああああああ......ッ!!」


 口が自由になる度に板敷は俺にひたすら助けを求めるが当然応じない。中指立ててざまぁと嗤うだけだ。

 「助けなんかねぇよ。俺にその気は無いし、教師どもも見て見ぬフリや。どうや、これがお前らが俺にしてきた仕打ちや。今までずっとそういう理不尽を強いられてきたんやこっちは...!分かったら屈辱と羞恥と絶望に犯されて死ねっ!!」

 もはやどうにもならない...と悟ったのか、板敷は完全に折れてしまい、もう俺に...誰にも助けを求めはしなかった。
 それからも数十分間続き、身も心も汚しきった板敷は発狂しながら死んでいったとさ。


 『めでたく全員俺に復讐されて地獄へ落ちましたとさ!っはははははははは!!11名全員ぶち殺したったわ、ざまぁあああああああ!!!』


 これで、ひとまずは復讐対象全員の殺害完了や.....最高の時間やったな~~!


 じゃあ次は、教師どもを粛清しよか...!!



 俺を虐めた同級生11名への復讐は、これで終わった。
 が、当然これで終わりではない。

 教師どもの拘束を全て解いてやる。最後に言いたいこと言わせてから全員殺そう!

 「はーい長時間の鑑賞ご苦労様。口を出さず邪魔もしないでくれて、ありがとな~」

 嫌味たっぷり込めたお礼を言って教師どもを煽る。反応は...俺の態度に憤慨した様子でいる者、恐怖で震えている者、無念さに歯を軋らせている者それぞれだ。一番多いのは俺に恐怖している奴らだ。

 「き、さ、ま...!よくもこんなイカれたことを......っ!」

 ついに俺を貴様呼ばわりするようになった校長を、重力で引き寄せて宙に浮かせて見世物にする。

 『さて!俺の復讐は終わったわけやけど、次はこの学校の浄化(正しくは破壊だが)を行うとするっ』

 宣言とともに校長を頭から床に思い切り叩きつける。

 ガンッッッ 「げぇぶうう...!?」

 『さっきも紹介したが、このクソジジイは、俺の虐めを見て見ぬフリ処分しようと...いや完全に隠蔽しやがった、教育者としてあるまじきの最低なクズだ!!』
 
 俺の紹介に観客生徒どもが校長を盛大にバッシングする。

 『俺はこんな奴が学校を運営していることが許せねー!。ていうか誰も許したらあかんやろ!!こんなクズ野郎はさっさと殺されるべきやと俺は考えている!!
 どうやお前ら!?校長をはじめとするこの最低無能教師どもを処刑してかまへんか!?』

 ざわりと教師どもが狼狽する。校長も冷静さを欠いて何か喚いている。俺の問いかけから数秒待たずして大勢の返事が返ってきた。

 《虐めを黙認する先生なんか要らねぇ!!》
 《見て見ぬフリする奴は先生失格や!!》
 《殺せ!殺せ!!殺せぇ!!!》

 ギャラリー生徒の誰もが教師全員の処刑を望んだ。その教師全員は顔を真っ青にして、いやあああと悲鳴を上げる奴もいた。

 「―――と、いうわけや。死ね、金や名声、保身に目が眩んで俺を潰したクズが」

 ゴキャ......ッ!

 躊躇無く処刑を執行。校長の首を捻ってへし折り、その価値の無い命を潰した。

 「ふ...ふざけるなァ!!い、虐めを行った彼らを殺しただけでは飽き足らず、何で俺らが殺されなければならんのや!?」

 うすら禿げのオッサン...教頭が怒鳴り散らす。切れ過ぎて自分称が俺になってるし。

 「じ、自分が嫌な目に遭ったからといって人を何人も殺しやがってこの狂人が!俺ら大人だってなァ!色々問題や悩みを抱えて勤めてんだぞ!?生徒一人の事情に大々的に動くことが容易ではないことを知らずに好き勝手言って人として最低な行動ばかりしやがって!!ふざけるなあああああああ――――」

 ボン―――ッッ!!


 教頭の言葉は最後まで続かなかった。俺が首を爆発させたからな!

 『―――と、相変わらず自分の都合を引き合いにして自分らは無実だっていうズレた主張をするだけの腐った大人の最期でしたっと』

 教頭の首無し死体に発砲してぐちゃぐちゃにしながら紹介するのを見た観客生徒どもはぎゃはははと嗤う。

 「大人だから色々大変?自分らの問題で手いっぱい??そんなんやったら初めから教師という責任重大な職に就いてんじゃねーぞクソども。お前らの中や無関係な世間にとっては通じるのかもしれない言い訳でもなぁ、この俺には何の言い逃れにもならん下らない詭弁に過ぎへんわ!!!」

 殺気を盛大に放ち、同時に魔術を乱方向へ放ち威嚇してやる。教師ども全員狼狽してパニックを起こす。

 「もうええわ。ここにいる奴ら全員が教育者失格や。学校ではただ勉強教えてたらええわって思考の連中どもがよ。
 結局お前らも世間と同じ、たかが一人のガキの問題なんかどうでもいいって思ってる偽善者やんけ!!
 死ねっ!!!」

 そして処刑を執行。巨大な火球をいくつも生成して、無慈悲に撃ち落とす。次々に焼かれて断末魔の悲鳴を上げて絶命していく教師どもを俺はただ嘲笑っていた。

 全員焼き殺した...かに思えたが、一人撃ち損じた奴がいた......担任教師だ。五組の連中が奴の名前を叫んで逃げてだ止めろだ喚き出す。無視。

 「ああ~お前か、江藤先生。残った奴が誰かと思えば......偶然にも俺の最後の担任の教師かいな...」
 「う......ぐ......」

 運良く隙間か何かのお陰で唯一炎から生き延びたらしい。が、背中が盛大に爛れていて重傷ではあるが。

 「ハァ、ハァ.........わ、私がもっと...君の問題に向き合っていれば......こんな、ことに......」
 「せやな。免職を恐れずに校長とか教頭にたてついて俺の虐めの件をもう少し何とかしていれば、お前も死なずに済んだのに、なっ」

 グサァ!「あ”.........っ」

 江藤の爛れた背中に躊躇無く剣を突き刺して心臓をも刺し貫いた。

 「ごぼっ!......こ、れ...以上、罪を”......か......さねて、は.........い、けな..................」

 最後に何か俺に忠告しようとしたが、力尽きて死んだ。同時に五組からいくつもの悲鳴が聞こえてくる。どいつもこいつも、俺の時とこのゴミクズどもの時と反応が違い過ぎるやろ。何やねんこの温度差は。俺かてお前らと同じクラスメイトやゆうのにな...マジでキモいわ。

 ともかくこれでこの学校で勤務している最低で無能な教師どもは全員殺した。粛清完了や!
 あんな奴らが教育者をしていること自体が馬鹿げて間違っている。消されて当然なんや。

 『これで、復讐対象の連中と最低で無能な教師どもの処刑はひとまず終わりや!全員ご苦労さん!よく盛り上げてくれましたー!』

 催眠術をかける対象はもういないため、ギャラリー生徒どもの顔には本来の表情が見えている。
 全員、涙を流して震えながらも引きつった笑みを浮かべている。最初からコイツらは俺の復讐回を心の底から楽しんではいなかった。殺されたあいつらには楽しんでいたように見えてたんだろうが、こいつらの顔には終始恐怖という感情の仮面が貼り付いていた。

 「こっこれで......俺らは解放される!殺されずにここから出られる......んだよなっ!?」


 誰かが期待した声色で俺に問いかける。あいつらのやられ様を嗤い、あいつらを罵倒して非難することを条件に残った連中は全て解放される...表向きではそう言った。もちろん覚えている。
 だから俺は「もちろん...」と爽やかに笑い―――


 「嘘に決まってるやろ!?バァカどもが!!
 全員ぶち殺すって何度も言うてたやろ!?俺を助けなかったこんな学校、お前ら含めて全部消してやるんだよっっ!!」


 発する言葉に怒りと侮蔑を込めてそう叫んだのだった!!

 さァ、仕上げと行こうか!!



 俺の返答と宣言を聞いた生徒どもの表情が次々消えいく。それくらい予想外で衝撃的で信じたくない事実なんやろうな。ざまあww
 しばらく絶句していた連中だったが我に返った何人かが悲鳴ど怒号を上げて俺を非難したりここから逃げ出そうとしたりと体育館が喧しくなる。
 あいつらの中にもどうせ大西や谷里みたいな虐め連中もおるやろうしな。それに、あの中には俺がリンチされてるところを見物していたイキり下級生もおるやろうし、そいつらも十分殺害すべきクソどもや。

 さらには......この学校には、社会人時代の復讐対象だった生徒も紛れ込んでいる!
 
 「なァ?里山浩基《さとやまこうき》。阪本渉《さかもとわたる》。田原元気《たはらげんき》。村田和也《むらたかずや》」

 「「「「――うぐあああっ!?」」」」

 対象の名前を呼ぶとそいつらを引き寄せることが出来る、限定引力の魔術を使って、対象の四人を俺の前に引き摺り出した。
 
 「ガキの頃のお前らの面は見たことなかったけど、へぇ少なくともバイトしていた頃の顔そっくりやなやっぱ...。うん、その面拝みながら甚振ればかなりスッキリ出来そうや」
 「な、何で俺が...!?俺はあんたを虐めてなんか...!!」
 「将来お前らは、この俺を職場から排除するんや。そうされる前にここでぶち殺しまーす」
 「め、滅茶苦茶や!?俺はそんなことせーへんわっ!!」
 「だぁからするって言うてるやろ!!俺に注意されたからとか何か気に入らんからって上司に俺のことを悪く言って評価下げたりそいつらとグルになって俺を排除するんや!!
 させるかよそんなこと。ここで殺しとけば俺はあんな理不尽に潰されることは無くなるからなァ!!」
 「ふざけんなァ!!誰か!助けて――」

 “地獄を見ろ”

 「「「「ぎやああああああああああああああ......っ!!!」」」」

 幻術に嵌めていつもの地獄巡りを夢の中で体験させる。熱湯窯へ閉じ込め、怪物に食われ、手足を切り刻まれ自分の体がぐちゃぐちゃになるのを見させられる、真空間で何度も窒息と破裂を繰り返す等々...。
 夢の中では一日を凌駕する時間が流れ、その間四人は死んでも死んでも終わらない半永久的な地獄巡りを体験した。
 
 「十分甚振れたかな。じゃあ死ね」

 ドン!ドン!ドン!ドン!

 ショットガンで四人の腹を撃ち抜いて風穴を空けてぶち殺した。四人とも苦悶に満ちた、良い絶望顔で死んでくれて何より!

 「じゃあつぎは~~お前ら、俺が谷里や中村とかに痛めつけられててのを笑って見てたよな?惨殺刑」

 谷里や中村らとつるんでいたイキり下級生どもを引き寄せてそのまま全員をくっつけて圧縮する。

 「ごべぼらぎげっ!?!?は、離れろ...!!」
 「お”、まえがどっかいげや”......」
 「ごべん、なざい”!!わらっでごめんなざい”!!だずげ、でえぇえ...!!」
 「やべでっ、ゆるじ......がぺがぼぁっ!!」

 肉と骨と内臓が潰れる音が出るとともに丸い形をした肉のキューブが出来上がる。意外ときれいな円形となったが中身が気持ち悪過ぎる。

 「自分でやっといてなんやけど気持ち悪いわ。もう消えろ」
 
 飽きたから爆弾を投げ入れて爆破。体育館中に数人分の肉片と骨が飛び散る。生徒どもはさらにパニックを起こして発狂しまくった。

 「面と向かって話すんは初めてか...谷里の元彼の、植田瑞希さん?」

 次に先程谷里の復讐で使った茶髪のポニーテールの髪をしたミニスカートの少女...植田瑞希を引き寄せる。植田は涙を溜めて震えながらも俺を睨んで罵倒してきた。

 「最低......狂ってる、人間じゃない...!」
 「ああその通りや。けどはじめは普通やった俺を理不尽に虐げたのはお前のクソ彼氏や。あんなゴミクズ野郎は惨たらしく殺されて当然や」
 「私は......優人先輩に、あんなっ、酷い態度を......!!優人先輩を.........あんたのせいでっっ!!」
 「ははは...あのクズが死んだ時のお前は泣き崩れてたもんな。お前、男選ぶセンス壊滅的やな?せっかくええ見た目してる女やのに」

 植田に憐れむ視線を向けながら銃で眉間をパァンと撃ち抜いて即殺した。死に際にちくしょうという一言を小さく零して植田は死んだ。

 『よし......あとは一気に消すか。安心しろ。残りは全員楽に殺すから。

 じゃあな有象無象ども』

 そう宣言して、大規模破壊殺戮魔術...的な攻撃魔術を放ち、一瞬で体育館を更地にした。
 数百人いた中学生は一瞬で虹を渡って逝った。あの中には小学と中1の最初の頃一緒に遊んだ仲の奴らもいたっけ?そいつらも無慈悲に消し去ってやったぜ!!
 俺が虐められていても見て見ぬフリをして、教師とかに報告さえしなかった薄情な奴らやったし、何の未練も無いよな!!
 
 「じゃあ仕上げに、《《あそこ》》へ行くか」


 唯一校舎から隔離させてずっと封鎖したままでいた教室...3年5組の出入り口引き戸を開けて中へ入る。再び密閉空間にして誰も逃げられないようにする。

 「ひいっ!?」「す、杉山...!」「あ、あぁ......っ」「化け物......殺される」

 俺が入ってくると教室内はパニックを起こす。全員が教室の後ろに下がり、ガタガタ震えている。

 「お前らクラスメイトどもをここに閉じ込めた理由は簡単や。単に恐怖する時間を与え続ける為。あいつらを残酷に殺しているところを見せつけて自分らもああなるんやって恐怖を植え付けて絶望させる為」

 自分の身長分はあるサイズの大剣を錬成して、構えながら連中に近づく。みんな悲鳴を上げたり近づけさせまいと物を投げつけたり発狂したりごめんなさいと言ったりと反応は様々だ。

 「くそ......くそ...!杉山......テメーは......」
 「川路か...。お前はこの三年間俺を虐めはしなかったが、底辺に落ちた俺を見下してたよな。今は俺が、お前を見下してるわけやけど。お前とは喧嘩し損ねたっけな。
 何なら今ここでケリつけるか、ん?お前は最初から俺より格下だったってこと思い知らせてやろうか?」
 
 剣を向けて挑発するも、川路は怯えた様子で後ずさった。もうここにいる奴ら全員戦意は無いようやな。

 「お前らはあいつらの理不尽を止めへんかった。間違っていることを見過ごして、大人を頼らず、ただずっと傍観あるいは無視を決めてただけ...。この中の半数でも教師にチクれば俺は助かったかもしれへんのに。お前らは俺を助けなかった。それがお前らの罪や。
 よって、全員斬殺刑。

 さようならクラスメイトども―――」


 そう言ってから、俺は駆けて―――殺した。

 たくさんたくさんたくさん......斬った。斬り殺した。斬って斬って斬って......。
 あちこちから声が上がったがどれも長くは続かなかった。絶望と苦痛と恐怖が混ざった声は数秒ごとに途切れていき、その数も減っていった。代わりに流れる血の量が増えていき、教室は数十人の血で赤く染まっていった。


 「ああ、最後はお前か」
 「う、ぐぐ......っ」

 死体に埋もれかけている川路を見下ろしながら剣を構える。川路は恐怖と...悔しさを見せて俺を罵ってくる。

 「テメーは、弱い...。心が弱過ぎる、クズや......っ!せやからお前は壊れて...こんなことをするん、や......!!」
 「弱いから壊れた?はははせやろうな。俺は孤独やったから。孤独で溜め込む奴の心は弱くなる弱くなってなり続けて......」

 ズバンッ!頭を両断してぶち殺す。

 「しまいにはぶっ壊れるんや」

 死体となった川路を蹴り飛ばして破壊して、剣についた血肉と脂を洗い落とす。
 締めに教室を外から破壊して瓦礫の山に変えてやった。

 「これで...このクソ学校に在籍している奴ら全員殺害完了やな」

 俺以外誰もいなくなった校舎やグラウンドをひと回りしてみる。外見は何のこともないどこにでもある普通の中学校だ。だが実態は人の嫌がることを面白がってしやがるクズ生徒・理不尽を強いるクソ生徒・腐った頭を持った大人どもが蔓延る、そんな中学校だった。


 「こんな学校は存在してはいけない...。塵一つ残さず消さんとなァ」

 学校から出て行き、少し離れて空に浮かぶ。そして学校目がけて巨大レーザー砲をぶっ放した!!

 機械的な音を立てて発射されたレーザー砲は、破壊の限りを尽くして、盾浦東中学校を跡形残らず消滅させた...!


 「この価値の無い中学校全てへの復讐と粛清はこれで全部終わった...!!
 ざまあああああああああああああああああああああああ!!!」



 何も無くなった空で一人、俺はしばらく笑い続けた――。



中学生復讐編 最終回



 「よぉ。高校でも随分イキって過ごしてるみたいやな?弱い同級生を虐めて楽しんでるそうやんけ」


 ガッ、ゴッ!
 「ぉげら......っ!?」


 東大阪市内にある高校を訪ねて、茶髪のパーマがかった頭で耳にピアスを付けている標的...下田天武《しもだてんむ》の腹に膝蹴りをくらわせて悶絶させる。膝を地に着かせたところを、顔面に爪先蹴りを放って吹き飛ばす。ぐちゃりと鼻が潰れる音がした。

 先日やり遂げた盾浦東中学校での復讐は、俺の復讐劇においては序章に過ぎない。というより中学時代の復讐すらまだ完遂出来てねーからな。

 今思い切り吹っ飛ばした奴が、中学時代の最後の復讐対象だ。そいつは現在高校一年生やから、先日の体育館への招集ができずにいた。せやからこうして直々に赴いたって話。
 もちろんこの下田天武も赦してはならないクソ野郎や。何せ去年、谷里らと一緒になって俺を散々痛めつけやがった最低クソ上級生やったからな...。

 「そういうわけで去年の恨み・憎しみ全部まとめてここで発散する...復讐するからな。遊び気分でこの俺を理不尽に甚振った罪でお前は死刑や」
 「あ”あ”っ!?いきなり俺をどつきやがってこのクソガキがっ!!殺す、蹴り殺す!!」
 
 鼻を押さえながら怒鳴る下田は怒り心頭の様子。不意打ちされたことに激怒している。というかまだまだ元気だ。だいぶ手加減したからな、せいぜい鼻が折れて鳩尾に少しダメージ与えた程度か。
 下田がキレて怒鳴ると俺の間に後ろを塞ぐ連中が現れた。下田とつるんでいる不良どもだ。
 つーか高校に上がってさらにクズさに磨きがかってやがるな、このクソ野郎。何でわざわざイキって不良ぶるのか理解できねーわ。自分の心象を自分で下げて落として何の意味があるのか...まぁどうでもいいか。
 それよりも後ろの連中の何人かが煙草の煙を出してるのが無性に苛つかせる。受動喫煙させやがって......よし全員死刑。


 「喫煙は喫煙所で吸えやクソゴミどもっっ!!」


 ズババン!!瞬時に水を纏った剣で後ろの不良どもの首を刎ね飛ばしてゴミクズの命と煙草の煙を消してやった。

 「は...あ!?」

 後ろにいた仲間たちの惨状を目にした下田は何が起きたんだといった様子で硬直している。

 「どした?俺を蹴り殺すんやなかったんか?」

 血の付いた剣を向けて挑発するが下田はなお怯んだままで向かおうとしない。ああ凶器にビビってるのか。しかも人を殺したしな。

 「なんや、イキって不良してる割には殺し現場を見るんは不慣れか?小物が」

 所詮弱い者虐めを趣味とする小物って奴だわコイツら。ちょっと血を見ればそうやって腰抜けになる雑魚や。


 「はーぁ。俺はこんな雑魚に好きに甚振られてたんか......最っ悪!赦さん!殺す!甚振り殺すっ!!」


 下田のさっきのセリフを似せて叫んで、一気に接近して下田の両足を斬り飛ばした!

 「う”ばわあ”あ”あ”あ”あ”あ”っ!!お、俺の足がああああああっ!?!?血が、血がああああ!!とま、止まらへん、止まらねぇよおおおおおおおおおおおおおおおおおお......っ!!」

 足首から先が無い部分から血の噴水が噴き出て下田の下半身は赤く染まる。地面に倒れ込んだところに、腿に剣を突き刺してそのまま持ち上げる。

 「ぎゃあ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!痛いっ、誰かああああああっ!!助けでええええええええええええ!!さ、殺人鬼がここにい”い”い”い”い”い”い”っ!!!」
 「無駄無駄。結界張って人払いもしてるからお前みたいなクソ野郎なんか誰も気付かへんし助けも来ねーから」
 「ぞんな...っ!た、頼む...!止めてくれっ!俺にいったい何の恨みが...!?」
 「ハァ?そっからかよ?おい俺の顔を見ろっ!去年同じ中学の下級生で、この俺を理不尽に虐げやがったこと、忘れたわけないよなァ?」

 剣を引っこ抜いて胸倉掴んで持ち上げ直して俺の顔をしっかり見させる。

 「う、ぐ!お.........おっお前はぁ!?去年...谷里と中林が、痛めつけて欲しいって頼んだ相手の...!!」
 「思い出したか?そういうわけや。よくも俺を散々甚振ってくれたな......復讐したるからなこのクソ野郎...!」

 ブンと地面へ投げ落として手から炎を発生させる。全身を炙ってたっぷり甚振ってやろうか。そんでその次は酸を纏った拳でぶん殴りまくって壊そうか。

 「ま、待ってくれ...!俺は頼まれただけ......しかも相談されたんや!あの二人がお前に嫌がらせされて困ってるから俺に何とかして欲しいって!そ、それだけでお前をボコってただけで、お前が思ってるような悪気はなかったんや――」
 「あれだけ楽しそうに俺を蹴りまくっといてか?」
 「へ...?」
 
 ズンと脅すように地面を踏み鳴らしながら歩を進めていく。その音に下田はヒッと情けなくビビる。

 「俺は憶えているで?お前、谷里らと楽しそうに俺を甚振ってたよな?お前は今と同じ弱い者虐めが大好きな最低で腰抜けの小物野郎や。後輩の為とかで俺を成敗?そんな建前が俺に通用すると思てんじゃねーぞ!?お前は単に弱っている俺を甚振れるから谷里の嘘まみれの相談に乗っかかったんやろうがっ!!」

 怒りに任せて、手にしていた炎を下田の全身に浴びせる。炎といっても精々肌が爛れる程度の温度だ。死にはしない。その代わりに16才のガキにとっては地獄レベルの激痛を味わうけどな!

 「ぎゃあ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”づい”っ!!熱いあ”づい”あ”づい”っっ!!!み、水、水う”う”う”う”う”う”う”!!!」
 「お前はただ俺を甚振るのが楽しかっただけやろ?しかも反抗する俺が不愉快だとかで潰そうとも思ってた。後輩の為やとかの大儀なんか関係無い。ただ俺を面白がって虐めてただけや!!よくも俺をお前みたいなクソ野郎のサンドバッグにしやがって!!地獄に落ちろおおおおおお!!!」

 さらに炙る、炙る!髪は燃えて禿坊主になり、手に触れただけで激痛が走るレベルの火傷を全身に負って全身急所人間に魔改造してやった。

 「酸性パーンチッ!!」

 火傷まみれの体に酸を纏った拳を叩き込む!ジュウウウッと皮膚が溶けていきぐじゅぐじゅの体と化した!

 「でい”やあ”あ”あ”あ”あ”っ!!嫌や!!痛いのは嫌やあああああ”あ”あ”あ”!!!」
 「俺だって嫌やったわ!!止めろ言うてもお前らは止めへんかった!反抗したら逆ギレしてさらに苛烈に暴行して、苦悶の表情をした俺を面白がって!!お前はそうやって今まで俺や他の立場が弱い奴らを好き勝手嬲ってきたんやろうが!?その報いを今受けてるんやろがっ! “もっと苦しめェ!!” 」

 さらにウイルスを体内に流し込んで中から体を壊していく。炎で炙られ酸で溶かされ、ウイルスでぐちゃぐちゃに破壊されていく。まさに生き地獄というものを、下田というクソ野郎に思い知らせてやった。

 「ご、ごんなごどなら...っ!あ、あ”いづらのざぞい”に乗るん”じゃ、ながっだ......!!こんなッ怪物、にぃい”い”い”い”......!!」
 「人に理不尽を強いるお前らの汚い心の方が怪物や。早よ地獄へ落ちろやクソ野郎」

 最後に思い切り蹴り飛ばして、目に見えないところまで吹っ飛ばした。向こうから数名悲鳴が聞こえたがどうでもいい。


 「中学時代の復讐対象は、これで今度こそ全員殺したな。帰るか」


 屍になった不良どもを燃やしてから学校を出て行き、自分の家に帰った。

 復讐活動はこれにて一旦終わり。「次」が訪れる時までの間、しばらく色々好き勝手やっていこうか...!



――――――――

次回以降 しばらく日常(?)回


 下田をぶち殺した後の数日間は、金を稼ぐ事に時間を費やしていた。見た目を誤魔化して成人になりすまして競馬やカジノに入り浸り、チートを使ってあっという間に数百万稼いだ。
 競馬では何事もなかったが、カジノの場合そうはいかなかった。今回利用したカジノ施設の運営先が裏社会の連中だったということで、荒稼ぎした俺を不審に思った連中が俺にちょっかいをかけてきた。

 「おい若いの。随分当たりを掴んだようやんけ。あまりにも出来過ぎてるんとちゃうか?ちょっと調べさせてもらうで」
 
 厳つい黒服男が二人挟むように立ち塞いで事務所へ連れて行こうとする。暇つぶしに少し付き合うことにした。

 「持ち物は財布と合鍵とハンカチ...だけか。財布の中は紙幣と硬貨、あとポイントカードが数枚......特に変な物はねーな」
 「そやろ。嫌やな、変にいちゃもんなんかつけやがって...」

 イカサマを疑った男に嫌味たらしく文句を言って煽る。それに対して男は顔をひくつかせながらも疑ったことに謝罪をして出口へ案内してもらった。
 あの顔は納得していないって感じやな。このまま済ます気はないやろうな。それにこの組織は...。


 未成年だったこの頃の俺はまだ自分の口座・通帳を持ってなかったので、また見た目を誤魔化して銀行で口座を開いて通帳もつくった。さっき儲けた金を8割預金して(だいたい500万円)、残りの金で欲しい物全部買った。
 当時のいちばん最新のゲーム機は、据え置き系がWiiやPS3とかで、携帯系のやつががまだニンテンドーDSⅰしかなかった。けど定価が未来から来た俺にとっては安く消費税も5%だったからどれも安価で買えた。あと一年待てばDSが3Ⅾ化されるから楽しみやな。数十年遡ったせいで文化がだいぶ遅れてる感があるがこれはこれでまた楽しめるから良い。
 当時はPSPとか遊んだことなかったからそれも買ってみるか。
 パソコンは...型とかはよく分からんけど、超薄いやつのはまだ出てねーみたいだ。とりあえずノートとデスク両方買った。

 あとは漫画とかラノベだが...うーんこれらはいいかな?とっくに知ってる内容しか無くて新鮮味がねーな...時間遡行の弊害点の一つやな。仕方ねー。
 買い物を済ませて家に帰る。昼間だということもあって誰もいない。ゲームやパソコンの初期設定をアバターにやらせている間、俺はベランダからこっそり顔を覗かせて外を見る。下には案の定、不自然に停車している黒い車があった。

 あれはさっきのカジノの奴らだ。こいつらは最初から俺をつけていた。気付いてはいたがあえて何もせずこのまま自宅までつけさせてやった。その方が面白いからな。せっかく来たから少し遊んでやろうと思ってるし。しばらく経つと車は去って行った。住所を特定するのが目的だったらしい。なら次絡んでくるなら明日以降やな。

 夜になると母も姉も帰って来た。「ただいま」を言うことなく二人とも自室へ入っていく。母は部屋着に着替えてすぐにリビングへ行って夕飯を作り始める。30分後食卓に三人分の御膳が並べられて同時に姉がリビングに来て食事を始める。

 「......」
 「......」
 
 以前なら二人で会話をしていた時間が、今では誰一人として喋らなくなった。俺が喋らなければこの家に人の声がすることはもう無いのだ。
 食卓に座ることなく俺の分も並べられてる料理に目をくれることもなく、外で買った飯を自分の部屋で食べて済ませる。
 
 (ていうか、今日も作ってやがるな……。何やねんあれは)

あのクソ母はいつも勝手に俺の分も作ってやがる。「作るな」と言ってみたが効果は無く、必ず三人分…俺の分も作るのだ。日常ルーティンだけしていろって組み込ませたせいだと思って、ほったらかしにしてるけど、何か鬱陶しくなってきたな。

 「せやから要らん言うてるやろが、こんなもん」

 俺の分の料理を床にぶちまけてやった。すると今までじっと座ったままでいたクソ母が(姉は自室へ戻った)、立ち上がって、こっちをじっと見つめてきた。


 「......何やねん」
 「.........」


 俺が問いかけても何も答えず無言でこっちを見つめるだけだった。しばらくして床に散らばった料理を片付けはじめた。
 そんな母に向かって俺は「気持ち悪っ」と吐き捨てて、自分の部屋へ戻る。

 確かに俺は、家族二人の心と感情を全部抜き取ってただの抜け殻人間に変えたはずやけど...。まあ、もうどうでもいいか。こいつらに何かしらのバグが発生していようが、俺が困ることはない。

 というか近いうち、俺は新しい家建てて前みたいに一人暮らしをするつもりだ。自分以外の人間が住んでることは我慢ならんし、さっさとあの二人の顔を見なくて済むようにしたい。

 翌日も学校へ行かずに...というか跡形も無く破壊したから行くあてがない。それに高校へ進学する気もないし。

 (進学せずとも復讐はできるし...くくく)

 しかしあの不自然に出来た大穴をいつまでも放置するのもなぁ......あ、そうや。あそこを俺の新居にしよう!
 一戸建ての家建てて庭や運動場なども造って豪邸に改造する...ええやんけ! 


 色々“錬成” “創造” 構想......実行!


 頭に思い描いた構造の家を創造して、次に中身も思い描いてその通りに創造して創り上げていく。二回分の人生で得た知識をフルに使い、当時にはあった物を創っていく。
 まるで神にでもなった気分や。ゼロから次々と創っていく作業は楽しいもんやな。
 口座から金をおろして新しい家具を買って回り室内に配置する。空いた土地には大きめの庭と運動場、さらには映画館も造ってみた。本場のスクリーンよりクオリティは低めだが、大画面で観るだけでも迫力あって良いはずだ。
 あとは適当に倉庫とかいっぱい造って...はい俺の為の豪邸が完成!!

 「なんか二度目の人生よりも良いのが出来たな...俺の理想が詰まった家や。っしゃあ!良いことしたぁ~」


 「盾浦東中学校は廃校してここには個人宅が新たに建った」という認識をとりあえず市内に広めて洗脳した。これで完全にあの中学校は完全にこの世から消え去ったな...消えてええわあんなクソ学校。

 新居が完成した頃にはもう夜になっていた。魔力をけっこう使ったから疲れてもいる。今日はあの家で過ごして明日からここで生活を始めよう。

 家に帰ったところで違和感に気付く。誰もいない...。
 時間は夜の8時。いつもならこの時間にはだいたい二人は帰って来ているはず。ましてや今のあいつらはただの抜け殻。決まったことしかしないはず。

 考えられるとすれば誰かに強制されて帰りを妨げられている...か。友達の付き合いとか飲み会とかそんなところか。今のあいつらにそんなものについて行くやろうか?
 そう考えていると電話が鳴って受話器を取る。相手は聞き覚えのある声だった。


 『杉山友聖やな?お前の家族二人は預からせてもらったで?二人に会いたければちょっとこっちの事務所まで来てもらおっか。聞きたいことがあるからよォ』

 昨日のカジノの...いやカジノを運営しているヤクザってところか。それも...

 「ああやっぱり、前原優の親戚の...」
 『ああ?優を知ってんなら話は早いわ。ほな昨日のカジノのとこへ一人で来いやそこでたっぷり話してもらうからな...!』

 最後に怒りがこもった声でそう言うと一方的に切って通話は終了した。
 やっぱりな、検索魔術で分かっていたことやけど、あいつらは前原が言っていたヤクザ連中だ。たぶん連絡がつかなくなった前原を気にかけてのことやろうな。

 じゃあ何で俺に絡んできたのか、それも前原の事前の入れ知恵か何かやろ。あいつは本当に俺のことをテキトーに言って俺を潰そうとしてたんやろうな。前々から相談を持ち掛けられていた叔父は、突然連絡つかなくなった甥が、もしかすると俺の仕業じゃないかって嗅ぎつけたんやろうな。知らんけど。

 でだ......母と姉を人質にして俺を捕らえようとしてるわけか今は。二人の不在の理由は分かった。あいつらが前原と関わりがあるってことも分かった...。


 「よし。疑問も晴れたことやし、遊ぶか」


 だから何や?もうあの二人がどうなろうが関係無いし。つーか用があるならお前らから来いって話やし。人質とか回りくどいことしやがって。


 その夜俺は、ヤクザの呼び出しを完全に無視したのだった――。