ウイルスで苦しみ藻掻いている清水の隣に井村を蹴り飛ばした。二人仲良く苦しませ続けてやる。
 というわけで、次の復讐に移ろう。次は―――


 「あ~お~や~ま~ァ!!お前のせいで井村までもが俺を蔑称で呼ぶようになったんやろうがっっ!!!」

 グシャア、ブシュウウウウウウウウウウウウウ!!

 「~~~~~がぁああああああああああああ!?!?」

 スパイクピンがついた靴で、青山祐輝の頭を踏みつける。その拍子に血がいっぱい噴き出た。次いで爪を立てて青山の胸を突き刺して掴んで持ち上げる。胸倉掴みならぬ胸倉突き刺し掴みだ。

 「あ”あ”あ”あ”!?刺さって、えぐっ、抉れてる!!いだい”!!は、離せ、え!!」

 ジタバタ藻掻いて叫ぶ青山にイラっときた俺は、もう片方の手から酸を発射して腹にかける。

 ジュウウウウウウウ!!
 「ばあああああああっ!?!?」

 服が溶けて露わになった腹が赤く爛れている。


 「お前が俺に偉そうに命令できる立場なんか?お前が口に出すべきセリフは“なるべく早く楽に殺して下さい”って必死に懇願することやろうがよ?
 離せだ?俺を散々貶しておいて、調子こいてんじゃねーぞクソゴミが」
 「ぐああああ......っぐ!!この、狂人が...!」
 「へぇ?お前は今までのと違ってそうやって反抗する気力があるんか。オモロいやんけ。ならもうちょい遊べるな」


 掴んでいる手に力を込めて肉をさらに抉る。血がさらにボタボタと滴る。
 
 「ぐぅおおおおお......っ!!」
 「お前のせいで小6の学校生活ではだいぶ恥かかされた......お前がチ〇デカとかいう不名誉不快極まりない屈辱的ネームで呼んだことでっっ!!」

 さらに握る。血がたくさん出る!
 
 「げぁあああああっっ!!」
 「中学に上がってからも、前原とかと一緒になってあの呼び名で俺を貶してきた。俺が厭がってるのを笑いものにして、止めろと言っても面白がるだけ!!俺を貶めることが道楽やと言わんばかりの仕打ちを二年半も…!!」

 さらに錬成で床から長い棘を発生させて、奴の両手足を突き刺し貫いた!

 「うぉぐぅううううううう......!!」
 「人の身体部位をそうやって大勢の前で貶して辱める。完全な名誉毀損罪を含む虐めや!犯罪や!!つまりこの場でのお前は犯罪者。だからこうして俺に復讐される立場にあるわけや。
 分かるか?あの時...いや今もか。俺がどんだけ傷ついて不快にさせたか!お前は知ろうともしなかったんやろうな、自分が望まない呼び名で呼ばれ続けることの不快さと鬱になりそうなストレスが!!
 人の精神的苦痛のことを知ろうともしなかったお前は、俺をああいう風に貶し続けてさぞ楽しかったんやろーなこの腐ったゴミカス野郎!!!」


 腕、脚、肩、横腹と順に突き刺していく。足元には青山の汚い血だまりが出来上がっていた。マイクで話を続ける。

 『弁明は聞かへんで?全部お前が仕掛けてきたことやからな。全部悪意あるちょっかいやったもんな。俺言うたよな?厭やって、その呼び名で呼ぶなって。散々言い続けてきたよな?
 やのにお前は俺の本気で嫌がってる反応を笑いものにして面白がって俺の名誉をズタズタにしやがった!!
 なァお前ら、このクズをどう思う!?人が嫌がる呼び名で呼ぶようなクズ野郎は許せる人間か!?』

 「酷い!」「最低や!」「小学校とかで教わらなかったん?嫌がることはしてはいけないって!」「お前は最低のクズや!!」「死ねば良いわクソ野郎!!」

 返ってきたのは青山に対する罵詈雑言の嵐。誰もが怒りと蔑みが込められた非難をぶつけてくる。それらをモロに受けた青山は完全に萎縮した様子だ。自分がこの場では悪人扱いされて味方もいないという状況が恐ろしいようだ。

 「め、めちゃくちゃやこんなん...。俺は認めへんで、お前なんかが正しいわけないんや...。俺がお前を貶したんは悪いことやったって認める、けど......だからといってここまですることは、許されへんはずや!!なぁ先生らもそう思うやろっ!?」

 だがそれでもまだ自分の意見を主張する気力が残っていた青山は俺の行為を否定して、教師どもに同意を求める。ほとんどが青山の言葉に首肯する。再び俺を非難する声も上がってきた。
 そんな茶番を見た俺は呆れを含んだため息を吐いて教師全員の口を閉じさせる。次いで青山の顔面を何度も殴り続ける。

 「何勝手に、自分の発言の同意を求めとんねん。お前の意見なんて全然聞いてへんかったやろうがっ!!」

 蜂の巣になるくらい腫れるまでぶん殴り続けて一息ついた隙に青山はなおも反論する。

 「いい加減にしろ、や...。もうこれで終われ、よ...。何人も殺しやがって...!この殺人鬼がぁ...!“チ――」

 刹那、俺は青山を床に叩きつけて、胸を放して首を掴んだ。

 「おい......お前今何言おうとした?俺に向かって今、何言おうとした?この期に及んでまだ、あの忌々しい呼び名で俺を貶そうとしたんか?」
 
 怒りを通り越して感情が無くなった声で問いかける。対する青山は苦しそうにしながらも口を動かす。
 声は出てないが口の動きで大体その内容が理解できる

 ............そうか。

  この程度の拷問はコイツにとっては生温かったと。まだ俺をそうやって貶すくらいの余裕があると。
 まだ、足りないってことか……この復讐の残虐度が。

 なら......コイツにはとことん絶望を味わってもらおっかな。今のクソ発言をしたことを後悔するくらいにな...!


 パチンと指を鳴らして青山の目の前にモニターを出現させる。モニターが映し出されているのは誰かの家のリビングだった。どこにでもありそうな一般家庭の様相のリビング部屋だ。
 
 ただ、その部屋は普通ではなかった。テーブルはひっくり返されて傷だらけ、窓は割れていてソファーも中身が飛び出てボロボロだ。壁にはあちこちに傷や穴があって酷い有り様だ。


 「............おい、これって............」

 首を放して代わりに両手足に枷をつけて芋虫状態にした青山は、モニターを見て明らかに動揺している。

 「どしたー?顔色が悪いなー。血を流し過ぎたせいだけやなさそうやけどー?」
 「これ......《《俺ん家》》やんけ...!」
 

 青山が再度吠える。俺は正解と答える代わりに笑ってやった。
 そう、モニターに映ってるのは青山の家の中だ。
 今回の復讐をするにあたって、俺はあることをしていた。それは虐め主犯連中の家族関係のリサーチだ。
 どいつもこいつも、家族仲は俺程ではないが微妙だった。《《たとえ目の前で家族を殺して見せても大してダメージを負わせられない》》と判断していた...が。


 「お前だけは随分家族仲がよろしいようで。良いことやなぁ家族と仲良いってのは」
 「.........」


 絶句する青山を笑いながらカメラを動かして部屋を移動させる。すると映像から何か声が聞こえる。助けてだの離してだのと...。それを聞いた青山の顔がさらに悪くなっていく。
 そしてパッと画面が切り替わるとそこには数人が映っていた。二人は俺...によく似たアバターだ。適当に作った為、機械部分が若干見えている。だが青山が目を惹いたのはもう三人の姿の方だ。


 「誰か、助けてええ!!」
 「母さん...!!」

 「クソ、何でこんなことに...!」
 「父さん...!!」

 「放して、放して、よぉ...!!」
 「ね、姉ちゃん...!!」

 『はーいその通り!こちらにお映りしておりますのが~~青山祐輝の家族ご一行でーすっ!!』