まるで小さい頃イトコに 罠を仕掛けたときのようだ。 わずかな、緊張。 気付くか、 気付かれないかドキドキして なんとなくこそばゆくなるような、 そんな気持ち。 胸が緊張と興奮でざわりと波打つ。 「……では、 今日の授業はここまで」 チャイムの音と同時に みんなが席を立ち、 慌てて私も椅子から立ち上がる。 礼、という声とともに頭を下げた私は、 きっとこのクラスのなかで一番、この時間を楽しんだ生徒だ。