【3月24日(木)】
夜中にまた悪い夢を見た。叔父さんの夢。目が覚めて、怖くて悲しくて、一人でいるのが辛くなった。身体がひとりでに震える。それで、拒まれるのを覚悟して、圭さんの部屋に行って、布団に中にそっと入った。やっぱり、圭さんは目を覚ました。
「どうしたの」
「いやな夢を見たので、ここに朝まで居させてください。お願いします」
「どんな夢? よかったら聞かせて。美香ちゃんが家へ来た時のころだったかな、僕の布団に入って寝た時、夜中に急にしがみついてきたことがあった。その時、怖い夢を見ているようだったのを覚えている」
「そのうち、話します。お願いします、抱いてくれとは言いませんが、抱き締めてもらえませんか?」
「うーん。抱き締めるくらいは良いか。それで、悪い夢を見ないで眠られるのなら。じゃあ、背中を向けて、後ろからなら抱き締めてあげる」
私が背を向けると、圭さんが後から少しぎこちないけど抱き締めてくれる。その腕にしがみつく。背中が温かかくて心地よい。そのうち圭さんの腕の力が少しずつ抜けていくのが分かる。私も眠りに落ちていく。
朝、寝床の中で顔を合わせるのはなんだか照れくさいので、圭さんが目を覚ます前に、布団を静かに抜け出した。キッチンで朝食を作って、圭さんが起きてくるのを待っている。
「昨晩はありがとうございました。おかげでよく眠れました。邪魔でよく眠れなかったのではないですか、すみませんでした」
「いや、美香ちゃんは小柄だから柔らかい湯たんぽを抱いているみたいで、温かくてよく眠れたよ」
「じゃ、毎晩いいですか」
「だめ、突然ムラムラして美香ちゃんに襲い掛かってしまうかもしれないから、絶対にだめ。我慢できる自信がないから。昨晩は特別でこれで最後にして」
「残念ですが、圭さんは絶対そんなことないと思います」
「でも嫌な夢、早く見なくなるといいね」
それから、3日目の夜中に、また、私は圭さんの布団に入りに行った。圭さんが目を覚ました。
「どうしたの、前回が最後のはずだけど」
「いやな夢を見たので、今晩もお願いします。昨晩もその前の晩も毎晩、夢をみるので、もう我慢できなくなって、どうかお願いします」
「ずっと、見ていたのか、かわいそうに、良いよ、ここにいて」
「僕と一緒に寝ると悪い夢を見なくて済むの?」
「安心するみたいで、悪い夢は見ないです。それより、買い物に行った楽しい夢をみます」
「それなら、一緒に寝ることを考えてみても良いけど」
「話を聞いて下さい。話をしたものかどうか、この話をすると圭さんが私を嫌いになると心配して、しばらく考えていました。でも圭さんに聞いてもらうと気が楽になるかもしれないと思って」
「聞かせてくれる」
私は、覚悟を決めて、叔父さんとのことを話し始めた。
叔父は見た目は良いがどちらかと言うとぐうたらな男で、会社勤めはしていたが、働くのは嫌いで、給料はほとんど自分で使っていた。でも生活は叔母に頼っていたこともあり、叔母にはとても優しかった。ただ、酒癖が悪く2人に暴力を振るうこともあった。叔母は生活のために週に2回は夜のパートにも出ていた。
高校2年の8月、叔母さんがパートで外出した晩に、お風呂から上がって布団に入ったとき無理やり奪われた。それからは叔母がいないときに身体を求められて、いやがって抵抗すると暴力を振るわれた。叔母に話すというと、そうすればお前もここに居られなくなると脅された。
そのうちアダルトビデオを買ってきてそれを見せて同じことをさせるようになっていった。いやでいやでしかたなかったけれど段々抵抗する気力もなくなって家を出る前はもうなすがままになっていた。
それで、叔母に見つかって、私が叔父を誘惑したみたいに思われて、出ていけと言われた。それまでずっとそんなことから逃れたいと思っていたので、思い切って出てきた。
私は、最初はできるだけ他人事のように話していたけど、その時を思い出すと、我慢しきれずに泣き声になって、最後まで話し終えると、わんわんと大声で泣いてしまった。圭さんも話を聞いて泣いてくれた。そして、泣きじゃくる私を抱きしめてくれていた。
「話して、気が楽になった?」
「本当は話したくなかった。私を嫌いになると思ったから」
「いや、話を聞いて美香ちゃんが愛おしくなった」
「ここにおいてもらってから、早く忘れたいと思っているけど、夢に見るの」
「僕のそばで寝ていると楽しい夢をみるのなら、これから悪い夢を見そうな夜はそばで寝ていてもいいよ」
「本当に、うれしい、きっと良い夢が見られそう。でもやっぱり抱いてはくれないんですね」
「18歳になるまではね」
「私は圭さんに抱かれると、悪いことが忘れられるような気がして、抱いて下さいとお願いしたのです。圭さんになら叔父さんにさせられたことでもなんでもします。圭さんにさせてもらうときっと悪い思い出が忘れられると思います」
「美香ちゃんの気持ちは良く分かった。だけど今はそばで寝るだけ、抱きしめるだけにしてほしい」
泣きじゃくる私を抱きしめてくれた時、圭さんは何を考えていたんだろう。すごい力で抱きしめられた。息ができなくなるくらい。嬉しかった。本当にこのまま抱いてほしかった。圭さんは真面目過ぎる。でもそれが圭さんの良いところ、信頼できるところ。言われたとおり、18歳になるまで待てば良いのだから。
それから、圭さんは私を後向きにして、そっと抱きかかえるようにして寝てくれた。今の私はこれで十分だ。背中が温かくなるとすぐに眠りに落ちた。
夜中にまた悪い夢を見た。叔父さんの夢。目が覚めて、怖くて悲しくて、一人でいるのが辛くなった。身体がひとりでに震える。それで、拒まれるのを覚悟して、圭さんの部屋に行って、布団に中にそっと入った。やっぱり、圭さんは目を覚ました。
「どうしたの」
「いやな夢を見たので、ここに朝まで居させてください。お願いします」
「どんな夢? よかったら聞かせて。美香ちゃんが家へ来た時のころだったかな、僕の布団に入って寝た時、夜中に急にしがみついてきたことがあった。その時、怖い夢を見ているようだったのを覚えている」
「そのうち、話します。お願いします、抱いてくれとは言いませんが、抱き締めてもらえませんか?」
「うーん。抱き締めるくらいは良いか。それで、悪い夢を見ないで眠られるのなら。じゃあ、背中を向けて、後ろからなら抱き締めてあげる」
私が背を向けると、圭さんが後から少しぎこちないけど抱き締めてくれる。その腕にしがみつく。背中が温かかくて心地よい。そのうち圭さんの腕の力が少しずつ抜けていくのが分かる。私も眠りに落ちていく。
朝、寝床の中で顔を合わせるのはなんだか照れくさいので、圭さんが目を覚ます前に、布団を静かに抜け出した。キッチンで朝食を作って、圭さんが起きてくるのを待っている。
「昨晩はありがとうございました。おかげでよく眠れました。邪魔でよく眠れなかったのではないですか、すみませんでした」
「いや、美香ちゃんは小柄だから柔らかい湯たんぽを抱いているみたいで、温かくてよく眠れたよ」
「じゃ、毎晩いいですか」
「だめ、突然ムラムラして美香ちゃんに襲い掛かってしまうかもしれないから、絶対にだめ。我慢できる自信がないから。昨晩は特別でこれで最後にして」
「残念ですが、圭さんは絶対そんなことないと思います」
「でも嫌な夢、早く見なくなるといいね」
それから、3日目の夜中に、また、私は圭さんの布団に入りに行った。圭さんが目を覚ました。
「どうしたの、前回が最後のはずだけど」
「いやな夢を見たので、今晩もお願いします。昨晩もその前の晩も毎晩、夢をみるので、もう我慢できなくなって、どうかお願いします」
「ずっと、見ていたのか、かわいそうに、良いよ、ここにいて」
「僕と一緒に寝ると悪い夢を見なくて済むの?」
「安心するみたいで、悪い夢は見ないです。それより、買い物に行った楽しい夢をみます」
「それなら、一緒に寝ることを考えてみても良いけど」
「話を聞いて下さい。話をしたものかどうか、この話をすると圭さんが私を嫌いになると心配して、しばらく考えていました。でも圭さんに聞いてもらうと気が楽になるかもしれないと思って」
「聞かせてくれる」
私は、覚悟を決めて、叔父さんとのことを話し始めた。
叔父は見た目は良いがどちらかと言うとぐうたらな男で、会社勤めはしていたが、働くのは嫌いで、給料はほとんど自分で使っていた。でも生活は叔母に頼っていたこともあり、叔母にはとても優しかった。ただ、酒癖が悪く2人に暴力を振るうこともあった。叔母は生活のために週に2回は夜のパートにも出ていた。
高校2年の8月、叔母さんがパートで外出した晩に、お風呂から上がって布団に入ったとき無理やり奪われた。それからは叔母がいないときに身体を求められて、いやがって抵抗すると暴力を振るわれた。叔母に話すというと、そうすればお前もここに居られなくなると脅された。
そのうちアダルトビデオを買ってきてそれを見せて同じことをさせるようになっていった。いやでいやでしかたなかったけれど段々抵抗する気力もなくなって家を出る前はもうなすがままになっていた。
それで、叔母に見つかって、私が叔父を誘惑したみたいに思われて、出ていけと言われた。それまでずっとそんなことから逃れたいと思っていたので、思い切って出てきた。
私は、最初はできるだけ他人事のように話していたけど、その時を思い出すと、我慢しきれずに泣き声になって、最後まで話し終えると、わんわんと大声で泣いてしまった。圭さんも話を聞いて泣いてくれた。そして、泣きじゃくる私を抱きしめてくれていた。
「話して、気が楽になった?」
「本当は話したくなかった。私を嫌いになると思ったから」
「いや、話を聞いて美香ちゃんが愛おしくなった」
「ここにおいてもらってから、早く忘れたいと思っているけど、夢に見るの」
「僕のそばで寝ていると楽しい夢をみるのなら、これから悪い夢を見そうな夜はそばで寝ていてもいいよ」
「本当に、うれしい、きっと良い夢が見られそう。でもやっぱり抱いてはくれないんですね」
「18歳になるまではね」
「私は圭さんに抱かれると、悪いことが忘れられるような気がして、抱いて下さいとお願いしたのです。圭さんになら叔父さんにさせられたことでもなんでもします。圭さんにさせてもらうときっと悪い思い出が忘れられると思います」
「美香ちゃんの気持ちは良く分かった。だけど今はそばで寝るだけ、抱きしめるだけにしてほしい」
泣きじゃくる私を抱きしめてくれた時、圭さんは何を考えていたんだろう。すごい力で抱きしめられた。息ができなくなるくらい。嬉しかった。本当にこのまま抱いてほしかった。圭さんは真面目過ぎる。でもそれが圭さんの良いところ、信頼できるところ。言われたとおり、18歳になるまで待てば良いのだから。
それから、圭さんは私を後向きにして、そっと抱きかかえるようにして寝てくれた。今の私はこれで十分だ。背中が温かくなるとすぐに眠りに落ちた。