スパックはウルズの泉の青い水面から目玉を出して戦士チームを見張り、門番のスマフグを倒してウルズの泉に飛び込むのを確認すると、戦士チームより先に人間界へワープして、お台場の海から堤防に上がってエロガラスを呼んだ。

「ゲオ、ゲオ……」

 超音波の鳴き声を夕空に響かせて二本のツノ先の目を揺らしていると、空高く旋回するエロガラスがゆっくりと降下し、スパックはツノを引っ込めて堤防を全速力で走り、エロガラスの背中に飛び乗った。

「ブェッ」

 人間界の伝書鴉は額に白いメスのマーク記号があり、全身は真っ黒で普通の鴉とほとんど見分けがつかない。

 エロガラスはくすんだ夕空に舞い上がって、背中にしがみ付くスパックと情報交換して飼い主の元へ向かう。

「奴らがクルゲロ」
「スマフグをやっつけたか?」
「アア、ご主人様もアブナイゲロ」

 エロガラスもスパックも商人ヤズベルに飼われる身分であるが、金の為なら汚い仕事を請け負う最低の商人を心底嫌っている。捕獲した生物は売れるまでこき使われ、首に埋め込まれた発信機で逃げられない。

 商品として売れた者は幸運であり、ヤズベルは優秀で賢い者ほど手元に置いて諜報員として育成した。

「オモシロクなるゲロ」
「しかし、あの魔族に勝てるか?」
「たしかに、魔女もコワイゲロ」

 スパックを背中に乗せたエロガラスが品川の高層ビル群の間をすり抜け、眼下に羽田空港が見えると、多摩川沿いにある広い庭付きの邸宅へ舞い降りてゆく。

 神々の戦いで財産を没収されたヤズベルは、流浪の商人となって辛苦を舐めていた頃にランスマンダーという魔術師と知り合い、かつてのような地位と財産を築くチャンスかも知れぬと、秘密裏に情報を集めてランスマンダーの闇の計画に加担している。

「スペアキーはないのか?」

 広いリビングでマンダー家の長女ファラがヤズベルを四つん這いにさせ、馬乗りになって股を開き、鉄の下着の鍵穴を覗き込んで文句を言った。(禁欲の鉄の下着はドルトンの原子記号が刻まれ、股の中央にライプニッツの四大元素を表す円型の図形があり、その三角形の中央に鍵穴がある。)

「お前の事だから、それくらいは作ってあるんだろ。父には秘密にするから出しなさい」

 ファラは黒革のブラとコルセットをして、手に持った鞭でヤズベルの尻を叩いて責め立てた。

「なんで禁欲のパンツなんて作ったのよ」
「ファラさま。お許しください。ランス様の御命令で闇の鍛冶屋に作らせた物ですが、鍵はランス様しか持っていないのです」

 ヤズベルはズボンを脱がされてパンツを下げられ、ビシバシと鞭で尻を叩かれて真っ赤に腫れ上がり、興奮したファラは馬乗りのままヤズベルを仰向けにさせ、両腕を掴んで無理やり乳房を掴ませた。

「嘘つきだね。早く出しなさい」

 赤い唇を近付けてヤズベルの顔を舌で舐めて迫ったが、窓ガラスをコツコツ叩く伝書鴉に気付いたヤズベルは悶えるファラを押し退けて立ち上がり、黒髪ロングの眼鏡美女は床に寝転がってブラの中に赤いネイルの指をねじ込み、巨乳を揉んで鉄の下着を拳で叩いてひとりで絶頂を迎える。

「アゥ、アッアァ〜」

 その光景をガラス越しに眺めたエロガラスとスパックは顔を見合わせて苦笑し、ズボンを穿いて身なりを整えたヤズベルが窓辺に近寄って窓を開けた時には、真顔で(こうべ)を垂れて出迎えた。