青く輝く剣身(ブレイド)にはドラゴンの大鱗が密集して蠢き、グリップとガードは削られた骨に宝石が埋め込まれている。十字のチェーンが刻まれた盾は魔法の力を秘め、攻撃を吸収する事も可能であった。

「人間のガキのようだが、お前は何者だ?」
「ソングだ」

 そう名乗ると、チーネがエリアンを押し退けてソングの横に立ち、胸カップの防具に紐パンのチーネと豊満なエリアンの争いが始まる。

「ちょっとエリアン。くっ付き過ぎ」
「な、なんだよ。邪魔すんなって」
「レズビアンなのに何で?ソングの指南役はチーネなんだよ」
「恋は自由だ。SEXは俺の方がベテランだし、ドラゴンも喜ぶと思うぜ」

 アルダリとジェンダ王子とトーマも背後で陣形を作ったが、女性同士の険悪な雰囲気を見て呆れ、ソングも振り返ってあっけに取られている。

「効き目があり過ぎたか?」とジェンダ王子が小声で呟き、アリダリがキューピッドの矢を使ったと気付く。

「恋の悪戯か?」
「それって、解けないんすか?」
「一度、ヤラないとダメな筈じゃ」
「はい。イージーです」
「まったく、困った王子じゃ」

 アリダリがチーネとエリアンの間に割って入り、ソングの横に立ってスマフグを説得するが、赤い褌一枚の老人が加わって更に心象を悪くした。

「スマフグよ。話を最初に戻して、七枚の金貨で我らを通してくれぬか?ソングと戦えば、お主でも切り刻まれるぞ」
「ふざけるな。おめーら、オレを舐めてんのか?」

 スマフグが怒り狂って翼を広げて四メートル程ダイブし、戦士チームを押し潰そうと襲い掛かる。その時、ソングはスマフグの足を拘束する鎖が突っ張るのを見て、最善の策を思い付く。

『なるほどね』

 戦士チームの頭上を翼と胴体の巨大な影が覆い、左右に散らばって逃げるが前へ走り出したアルダリがうつ伏せに倒れ、ソングが「アリダリー」と心配して叫び、スマフグの股の間で上半身を起こして褌を引っ張るアルダリを見て胸を撫で下ろす。

「これ、大事な褌を踏むでない」
「トーマ、大丈夫?」
「フーッ、服が破れただけっす」

 トーマは背中を鋭い爪で引っ掻かれて転び、チーネが助け起こして避難させ、エリアンはジェンダ王子の上に覆い被さり、尻尾が振られるのを剣で跳ね返す。

「サンキュー、エリアン」

 豊満な胸の下でジェンダ王子が礼を言い、ソングはドラゴンの剣を振り上げてスマフグの尻尾を切断し、尾を片手にぶら下げて剣先を向け、チーネがソングに駆け寄って横に並び、蜜蜂の剣を構えてスマフグを睨みながらソングを制する。

「この剣なら、首だって切れるんだぜ」
「ソング、待ちなさい。その者は仮にもウルズの泉の門番です。九つの国が途絶えたとはいえ、ユグドラシルには必要な存在」
「わかってるよ、チーネ。こいつを許す。俺は愛の戦士だからな」

 ソングはジャンプしてドラゴンの剣を振り上げたが、スマフグの首ではなく、繋がれた鎖を切断して拘束されたスマフグを解放した。