ドラゴンの剣と盾を構えて走り出したソングにチーネがキルトの巻きスカートを投げ渡し、ソングは空中で腰に巻き付けて戦士チームを救いに向かう。

『……24.25.26』

 スマフグの火炎でエリアンの盾がひび割れ、アルダリの一角獣の杖も熱で折れ曲がり、ジェンダ王子とトーマも後半へ逃れて身動きができない。

「もう限界じゃ」
「このままでは焼け死ぬぞ」
『……28、29』

 タイムアップ寸前でソングがエリアンの前に出て、十字のチェーンが刻まれた盾で床を這う火炎の波を吸い込み、一瞬で消失した炎を見てスマフグは息切れし、再度火を吹こうとするが煙しか出ず、エリアンとアリダリがへなへなと座り込む。

「待たせたな」
「ギリギリだった」
「ふぅ〜、ひやひやさせるな」
「しかし、まだ倒してはない」
「ひぇー、トカゲの丸焼きっす」

 トーマが焼け焦げた被り物を見て嘆き、ジェンダ王子はブランドの髪を手で払って火を消し、ソングの盾の防御力に驚く。

「火を吸い込むとはな?」
「フム、竜族の王ラウバルの力が秘めらておる」
「グラウバルを倒したのはゼツリ」
「なるほど、ドラゴンの骨と鱗で作られているんすね?」

 トーマはドワーフの鍛冶屋の親父に製造技術を叩き込まれ、神々の戦争で家族を失って旅人になった。

「トーマ、よく知っとるな?」
「亡くなった鍛冶屋の親父から、魔法の力を持つドラゴンの盾と剣が存在するって聞いたっす」

 アリダリは焼け焦げた髭と赤い褌の火の粉を払って一息つき、エリアンも黒焦げになった盾を石床に置き、黒革の戦闘服も焼けてボロボロになっていたが、ドラゴンの剣先をスマフグに向けるソングの隣りに立つ。

「ソング。やるな」
「エリアン、休んでていいぜ。スマフグ、おまえの負けだ。諦めて降参しろ」

 エリアンがソングの腰に太腿をピッタリ寄せ、股間のドラゴンがキルト地の巻きスカートの下で横を向いたが、ソングは気にせずに鱗の波打つ剣を構え、右手の小指が腐食して第二関節から欠けているのに気付く。

『ん?』

 アドレナリンが出て痛みは感じなかったが、剣を握れなくなる不安が()ぎり、SEXの回数と比例していると嘆く。

『あと、八回……か?』

 スマフグは歯軋りをして悔しそうにソングが持つ剣と盾を見下ろし、『竜族の王グラウバルが遺した武器かよ?』と呟き、闘志を漲らせて前へ踏み出す。