『剣と盾は何処にある?』

 腰のキルト生地が少し膨らみ、ソングは股間の辺りに圧迫感を感じたが、父ゼツリが体の中に隠したというドラゴンの神器は見当たらず、額に脂汗が滴り閉じた目に入り込み、思い浮かべたチーネの裸体が消えかかる。

「アルダリ、ソングを残してチーネとエリアンが戦っている。武器を発現させるつもりだ」

 交渉を諦めたジェンダ王子がアリダリに声をかけ、「フム、この危機を脱するにはそれしかあるまい」と一角獣の杖を前に突き出してアドバイスした。

「ソング、もっとエッチな想像をしろ。チーネとやった時を思い出すんじゃ」
「邪念を捨てろ、と正反対すね?」

 何気なく呟いたトーマの言葉に、ジェンダ王子は『勇者ゼツリは無闇に武器が使えないように、至福の愛を感じた時に封印が解かれ、武器の使用時間も制限した』と推理した。

「ソング。真の快感は愛から生まれる。欲望の向こう側にある愛を見つけるんだ」

 ジェンダ王子の声にソングが振り向き、首に掛けた母の形見のペンダントが揺れて開き、揉み上げと顎髭を生やしたゼツリの精悍な顔写真が微笑む。

「なるほど、ゼツリの奴め」

 唯一、一緒に戦った事のあるアリダリがゼツリの思惑に苦笑し、『神々の戦争を嘆き、ドラゴンの神器を封印したい』と苦悩していた最強の戦士を思い浮かべる。

「息子に愛の課題を与えたか?」

 ソングもエッチな想像だけで武器を使えるなら苦労はしなかっただろう。チーネとの初体験を終えたばかりの少年が、欲望の果てに輝く愛を理解し、精霊秘体の中に存在するドラゴンの神器を発現させ、自在に扱うには神聖な魂が必要であった。

「そんな簡単じゃねー」

 目を閉じてチーネの苺の唇と柔らかい桃の乳房を思い浮かべたが、爆発するような快感は得られない。

「僕みたいな愛の熟練者なら、イメージで絶頂に達する事も可能なのですが……」
「それ、自慢すか?」
「フム、ソングにチーネを抱かせるしかあるまい」

 アルダリがジェンダ王子の意見を聞いて『チーネの愛が必要』と答えを出し、トーマが「ここで?」と驚いたが、ジェンダ王子も頷いて、「戦地にベッドを作ってやりましょう」と弓矢に松明の火を付けて放ち、ソングの周辺の石床に刺さると、炎の線が走って四角に囲われ、アリダリが声を張り上げて叫ぶ。

「時間稼ぎは我々がする。チーネはソングとSEXをして、剣と盾を出現させるんじゃ」