『快感のイメージ。チーネのアソコ』

 ソングは両手を広げて全身に力を込め、チーネとSEXをした時の天にも登るような快感を思い起こして、局部にエネルギーを集中させた。

『いや、いきなりじゃダメだ。苺の唇に……桃のオッパイ。メロンのお尻。そしてアソコはマンゴーか?』

 ソングが手と腰をくねくねさせて動き、勇者ゼツリの子かと感嘆していたジェンダ王子とエリアンの表情が変わる。

「どう見ても、変なこと想像してないか?」
「妙ではあるが、武器を扱うルーチンなのでは」
「いや〜、あの腰付き、あれだろ」

 トーマが声を押し殺して笑い、チーネが顔を真っ赤にしてトーマのゴーグルを手で覆う。

 元老院(げんろいん)の四人も、ソングが恍惚の表情で匂いを嗅ぐのを見て、何事かと顔を顰めた。

『まったく、ソングったら何やってるのよ?』

 チーネは恥ずかしいのを通り越して、怒りで黄金色の髪を逆立てて、思わず立ち上がって叫んだ。

「ソング。エッチなこと考えるのやめなさい」

 言い終えてから、あちゃーって感じで口を押さえて席に着き、王女エッダがソングの小指を見て推察する。

『なるほどね』

 ソングに秘められた能力はある衝動により発現され、愛の証として使用が可能になる。

『ゼツリはラグナロクの戦いで、敵とはいえ神々を殺して嘆き苦しみ、ドラゴンの武器は封印したいと、人間界へ去ってしまったのだ』

「ソング、貴方のその小指。それが勇者である事を証明しています。最高点で貴方を合格とし、その力を戦士チームで発揮する事を期待する。ゼツリの名にかけて、魔の呪いに打ち勝つのよ」

 王女エッダはソングの左手の小指が欠けている事に気付き、チーネの恥ずかしくも熱い眼差しを見て、ソングとチーネは恋をして愛し合ったと見抜いた。

『やったのね?でも、ソングとチーネは生きている』

 女王が両手を前に出してハートマークを作り、笑顔でソングに合格を伝え、チーネを残して秘書官と傍聴席の者を退席させ、ソングとチーネに詳しい説明を求めた。

「チーネも前に出て、ソングの横に並びなさい」
「わかりました。女王さま」

 女王エッダは若い二人の恋愛を考慮して内密に進め、城の中にスパイがいる危険性も考慮した。

 アルダリは席を立ち、胸ポケットの中の拡大鏡を手にして、ソングの体の中を隅々まで覗いて調べている。(拡大鏡は大きさと透明度をアップさせ、エネルギーの流れと物体の中まで見通せる。錬金術師アルダリのエッチアイテムの一つである。)

「ソング、ちょっとパンツ脱いで見せてくれぬか?」
「アルダリ、もうよしなさい。それよりチーネとソングに確認したい事があるの」
「王女、どういう事でしょうか?我ら元老院を差し置いて合格と決めたからには、それなりの理由があるのでしょうな?」
「ふん、まだ気付いてないのか?」

 錬金術師アルダリが振り返って四人の年寄りどもを一瞥し、鼻で笑ってそう告げた。既にアルダリはソングに秘められた武器を見抜き、腐食の呪いを操る魔術師と戦うにはソングとチーネの力が必須だと理解していた。