小学三年生になった頃、里中も通っていた小学サッカー教室に、小林大記も入ってきた。俺と里中・小林は別々の小学校だった。
二人とも、小学低学年の頃から集団のカーストトップにいないと気が済まない質だったそうで、サッカー教室でもすぐに皆の中心となって、カーストの一番上に立ってみせた。
二人が集団のカーストトップに立つ方法はシンプルで、それは「暴力」だった。とにかく気に入らない奴に対して、喧嘩でねじ伏せるやり方だ。当時の里中は喧嘩早い性格で(今も割とそうなのだが)、奴に反発する同級生は皆、奴に泣かされた。
さらに小林が入ってきたことで、その質の悪さは加速すことになった。小林の悪知恵で、里中はコーチに気付かれないやり方で同級生に暴力を振るうことを覚えた。二人が結託したことでサッカー教室はあいつらに支配され、同級生たちのほとんどが二人を恐れ、逆らわなくなっていった。
だけど一人だけ、里中と小林に屈しなかった少年がいた。当然、この俺のことである。
当然そのことを面白くないと思った里中と小林は、本格的に俺をねじ伏せにきた。ある日、練習が終わった後、二人は俺をコーチがいない場所へ呼び出して、リンチしようと牙を向けてきた。その喧嘩の結果は、俺が二人を返り討ちにしたというものだった。
この喧嘩の前からも、二人は俺に対して陰湿な嫌がらせをしてきていた。俺は屈することなく我慢して、あいつらから手が出るのをずっと待っていた。そしてとうとう痺れを切らした里中たちが直接暴力に訴えてきたから、お陰で大義名分を得た俺は正当防衛として、奴らを思い切り存分にボコボコにしてやった。
そこからなんやかんやのトラブルがあって、俺はそのサッカー教室を辞めた。中学も別だったため、里中と小林との因縁は自然消滅した。
―—そのはずだったのが、進学した先の高校になんとあいつらもいたことで、因縁が再燃してしまった。
あいつらと再会した数日後の放課後。あいつらは、サッカー教室の時のことで俺にまた暴力で仕返ししにきた。二度目の喧嘩では二人は地元の仲間を集めて、俺を数で屈服させようとした。
俺も負傷したものの、前回と同じ…いやそれ以上の傷をあいつらに負わせて、喧嘩に勝ってやった。奴らの仲間も病院送りにしてやった。
数ある暴力でも俺に敵わないと悟った里中と小林は、進級した後同じクラスになっても大西たちと一緒になって俺を害することはしなかった。
ところが異世界召喚されて俺以上の力を手に入れたと知るや否や、あいつらはまた俺に牙を向けてきた。
そして俺は今度は二人に一方的に甚振られた……。
あの時の屈辱、今思い出しても腸煮えくり返るような気持ちにさせられる……!!
*
「——今度は俺がお前らを一方的に甚振る側だ。そして十分に痛めつけて苦しめた後、テメーらはここで惨たらしく死ぬことになる。俺にぶち殺されるんだよ!」
残虐な笑みを浮かべて二人を睨む。それを見た里中は、ブルブルと震える。小林も同じく恐怖に満ちたうめき声をあげる。
「「あ、あ、あ...」」
さて、始めるか。二人への殺戮を。
そこからは、里中と小林にとってはただ地獄が続いた。
あちこちに二人の肉片が散らばり、内臓まで飛び散ってもいた。こういうのが苦手な奴は間違いなく吐くだろうな。
あいつらゴミカスの無様な最期はしっかり目に焼き付けた。
二人には大西にかけたのと同じ暗黒魔法で幻術をかけて、幻の中で数百回殺してやった。
ついでに兵士たち全員にも幻術をかけた。全員断末魔をあげて無様にのたうち回っていた。
先に心が壊れたのは小林だった。泡を吹いて廃人と化してしまって、もう甚振り甲斐が無くなってしまった。だから仕方なく、臓物引っかきだしてグロテスクに殺してやった。
里中はどうにか壊さずに済んだ。正気に戻すと奴は俺に何度も謝罪と命乞いの言葉を並べる。
「あれはわざとじゃなかったんだぁ!悪いのは全部、大記だったんだよ!俺はほぼ無関係というかっ。仕方なくお前を痛めつけて...。だ、だから、ゆるし―「嘘発見器無しでも分かる嘘ついてんじゃねぇよゴミクズが」
(グシュ...)―—え?」
長年の友だった小林をあっさり売り、醜く赦しを乞うてきた里中の腸部分に手を突っ込み、手づかみでそのまま大腸を引っ張り出す。自分の臓器が飛び出すシーンを目の当たりにした里中は、最期は無様に情けなく喚いて、キモい顔を晒して死んだ。
「ぎゃあああああああああああああああ!!!な、いぞうが...あ、あ...」
こうして、里中優斗と小林大記、絶対に殺したかったゴミ二人を苦しめて殺すことができた。
これで7人目と8人目。俺を害した主犯格の元クラスメイトはこれで半分以上殺せた。
「まずはひと段落ってところか」
残りの元クラスメイトもまだこの国に在籍しているはずだ。遠征で他国に行っているとしても、数日でここに帰ってくるはずだ。
今は少し羽を休めて、次の復讐に備えよう。
が、その前に一仕事。
未だ地面に倒れ伏している―否、精神崩壊してピクリともしない兵士たちを見て俺は面白いことを思いつき、ニヤリとほくそ笑む。