初弾は、ベルゼビュート様の【物理防護結界】で防ぐことができた。
「マスケットは連射が出来ない！ さぁ行け！」
ベルゼビュート様の号令で、前衛組――バフォメット様、アスモデウス様、フェンリスさん、アランさんが走り出す……けれど、
――タタタタタタァーンッ！！
数秒もせずに次弾の斉射が！
僕を含めた後衛組はベルゼビュート様が咄嗟に張った【物理防護結界】で無事だ。
前衛組は、フェンリスさんの大盾に全身が隠れていて大丈夫なようだった。
――タタタタタタァーンッ！！
「あっははは！ 文明を知らないサルどもは、後込め式のことも知らないのかい！」
アリス・アインスの笑い声。
斉射は止みそうにない。
さらには、
ヴゥゥゥゥウウウウウウンッ！！
と、重々しい連続音を立てて、据え置き式の銃火器が火を噴き、信じられない量の弾丸をバラ撒き始めた！
「ぐぁッ！」
フェンリスさんが悲鳴を上げる！
そ、そんな、被弾した！？
盾に【闘気】を纏わせて、弾丸を軽々と受け止めるフェンリスさんがだぞ！？
「【究極物理防護結界】ッ！！」
ベルゼビュート様が光の壁を張り、レヴィアタン様が【瞬間移動】で前衛組を結界内へ退避させる。
「大丈夫！？」
回復魔法が得意なバルベラさんがフェンリスさんに駆け寄って来て、
「【大治癒】！」
肉がはじけ飛び、千切れかけていたフェンリスさんの右足が、みるみるうちに回復していく。
「あの、蜂みたいな音がするやつ、やべぇぜ。俺の盾も【闘気】も、突破されちまった」
「冒険者クリス！」
ベルゼビュート様の怒声。
「さっさとあの銃を【収納】しな！」
「は、はい！」
僕は結界越しに、間断なく弾丸をこちらに送り込み続けている銃に両手を向け、
「【無制限収納空間】ッ！！」
けれど、銃はパッと一瞬光っただけで、依然として銃撃は止まらない。
なんてこと――あの光は、抵抗されたときに発生する光だ！
「あの銃、【魔法防護結界】が【付与】されている！」
「じゃ、じゃあ次は操作している人間の方を――【無制限収納空間】ッ！！」
けれどはやり、銃撃は止まない！
さらには、
「【炎の矢】ッ！！」
銃声の合間から、アリス・アインスの良く通る声！
そして、あぁ、なんてことだろう……燃え盛る何十本もの炎の矢が飛んできた！！
「――【魔法防護結界】ッ！！」
事前の打ち合わせ通り、ノティアが対魔法結界を張る。
ベルゼビュート様は、【究極物理防護結界】と他の結界魔法の多重起動までは出来ない。
そして、通常の【物理防護結界】では、あの無数の銃弾を吐き出し続ける銃火器を防ぐことができない。
不意に、銃撃が止んだ。
「これで分かっただろう、クリス！？」
アリス・アインスの声。
「お前さんの【無制限収納空間】は効かない！ 銃弾と儂の魔法の両方を防ぎ続けることもできない！」
言いながら、アリス・アインスが上空に百本はあろうかという量の【炎の矢】を展開させている！
「いまここで、そいつらの首を【収納】しな！ そうすれば、儂と王国に楯突いたことを許してやろう！ 西王国での静かな生活を保障してやる！」
「――――断るッ！！」
「ならば、攻撃再開だ」
言葉の通り、銃撃と魔法攻撃が再開される。
「クリスは火魔法を【収納】！ ノティアは土塁を築け！」
ベルゼビュート様の指示に従い、
「【無制限収納空間】ッ！！」
ありったけの魔力を込めて、降り注ぐ炎の矢を【収納】する！
だいぶ取りこぼしたけれど、僕らに当たるはずだったものはすべて防ぐことが出来た。
「【土壁】ッ！！」
そしてノティアが、軍人たちとこちらの間のそこかしこに、銃弾を防ぐための土塁を生成する。
僕らの前にも、ひときわ高い土塁が生み出された。
「しばらく結界無しで戦え！ アタシは軍人どもの【魔法防護結界】を無効化させる！ ――行けッ！！」
ベルゼビュート様の号令で、こちらも一斉に動き出す。
「【究極魔法防護結界】ッ！！」
まず、ベルゼビュート様が巨大な、この広場全体を包み込む魔法結界を発生させる。
魔法結界は魔力や、魔力で生み出された事象を阻む性質を持つ。
だからこのように場を包み込むことで、逆に魔力の発散を抑え、魔法の威力を高めることもできる。
それは敵――アリス・アインス側にとっても同じだけれど、ベルゼビュート様が軍人たちの対魔法結界を無効化させる為に必要なことなら仕方がない。
ベルゼビュート様は、続けて何がしかの詠唱を始める。
同時にレヴィアタン様が銃弾も届かないくらい空高くに飛び上がり、上空から前衛組の様子を見守る。
いざ負傷すれば、【瞬間移動】で結界内へ退避させる為だ。
前衛組は、土塁に隠れながら少しずつ前に進む。
あの、無数の弾をバラ撒く備え付け銃は1挺しかないから、土塁を選べば前進は可能。
問題は軍人の方だけれど、あの小銃は連射が出来る一方で、数発毎の弾込めは必要らしい。
そして僕は、アリス・アインスの【炎の矢】を無我夢中で【収納】し続ける。
それでもときどき致命的な取りこぼしがあって、そういうものはノティアとバルベラさんが【魔法防護結界】で防ぐ。
そんな危うい均衡を保ったまま、数十秒ほどが経過して、
「【付与破壊】ッ！！」
ベルゼビュート様が唱えると同時、結界内全体が一瞬、パッと白い光に包まれた。
「よし！ 行け、クリス！」
「は、はい！」
僕の目の前にレヴィアタン様が現れ、
「やつらの背後に転移するわよ！」
「はい！」
返事をするや否や、ぱっと目の前の景色が切り替わる！
目の前には、僕らに気づかないまま射撃を続けている軍人たちの姿！
僕は両腕を突き出し、ありったけの魔力と祈りを込めて、
「【無制限収納空間】ッ！！」
果たして――――……
「マスケットは連射が出来ない！ さぁ行け！」
ベルゼビュート様の号令で、前衛組――バフォメット様、アスモデウス様、フェンリスさん、アランさんが走り出す……けれど、
――タタタタタタァーンッ！！
数秒もせずに次弾の斉射が！
僕を含めた後衛組はベルゼビュート様が咄嗟に張った【物理防護結界】で無事だ。
前衛組は、フェンリスさんの大盾に全身が隠れていて大丈夫なようだった。
――タタタタタタァーンッ！！
「あっははは！ 文明を知らないサルどもは、後込め式のことも知らないのかい！」
アリス・アインスの笑い声。
斉射は止みそうにない。
さらには、
ヴゥゥゥゥウウウウウウンッ！！
と、重々しい連続音を立てて、据え置き式の銃火器が火を噴き、信じられない量の弾丸をバラ撒き始めた！
「ぐぁッ！」
フェンリスさんが悲鳴を上げる！
そ、そんな、被弾した！？
盾に【闘気】を纏わせて、弾丸を軽々と受け止めるフェンリスさんがだぞ！？
「【究極物理防護結界】ッ！！」
ベルゼビュート様が光の壁を張り、レヴィアタン様が【瞬間移動】で前衛組を結界内へ退避させる。
「大丈夫！？」
回復魔法が得意なバルベラさんがフェンリスさんに駆け寄って来て、
「【大治癒】！」
肉がはじけ飛び、千切れかけていたフェンリスさんの右足が、みるみるうちに回復していく。
「あの、蜂みたいな音がするやつ、やべぇぜ。俺の盾も【闘気】も、突破されちまった」
「冒険者クリス！」
ベルゼビュート様の怒声。
「さっさとあの銃を【収納】しな！」
「は、はい！」
僕は結界越しに、間断なく弾丸をこちらに送り込み続けている銃に両手を向け、
「【無制限収納空間】ッ！！」
けれど、銃はパッと一瞬光っただけで、依然として銃撃は止まらない。
なんてこと――あの光は、抵抗されたときに発生する光だ！
「あの銃、【魔法防護結界】が【付与】されている！」
「じゃ、じゃあ次は操作している人間の方を――【無制限収納空間】ッ！！」
けれどはやり、銃撃は止まない！
さらには、
「【炎の矢】ッ！！」
銃声の合間から、アリス・アインスの良く通る声！
そして、あぁ、なんてことだろう……燃え盛る何十本もの炎の矢が飛んできた！！
「――【魔法防護結界】ッ！！」
事前の打ち合わせ通り、ノティアが対魔法結界を張る。
ベルゼビュート様は、【究極物理防護結界】と他の結界魔法の多重起動までは出来ない。
そして、通常の【物理防護結界】では、あの無数の銃弾を吐き出し続ける銃火器を防ぐことができない。
不意に、銃撃が止んだ。
「これで分かっただろう、クリス！？」
アリス・アインスの声。
「お前さんの【無制限収納空間】は効かない！ 銃弾と儂の魔法の両方を防ぎ続けることもできない！」
言いながら、アリス・アインスが上空に百本はあろうかという量の【炎の矢】を展開させている！
「いまここで、そいつらの首を【収納】しな！ そうすれば、儂と王国に楯突いたことを許してやろう！ 西王国での静かな生活を保障してやる！」
「――――断るッ！！」
「ならば、攻撃再開だ」
言葉の通り、銃撃と魔法攻撃が再開される。
「クリスは火魔法を【収納】！ ノティアは土塁を築け！」
ベルゼビュート様の指示に従い、
「【無制限収納空間】ッ！！」
ありったけの魔力を込めて、降り注ぐ炎の矢を【収納】する！
だいぶ取りこぼしたけれど、僕らに当たるはずだったものはすべて防ぐことが出来た。
「【土壁】ッ！！」
そしてノティアが、軍人たちとこちらの間のそこかしこに、銃弾を防ぐための土塁を生成する。
僕らの前にも、ひときわ高い土塁が生み出された。
「しばらく結界無しで戦え！ アタシは軍人どもの【魔法防護結界】を無効化させる！ ――行けッ！！」
ベルゼビュート様の号令で、こちらも一斉に動き出す。
「【究極魔法防護結界】ッ！！」
まず、ベルゼビュート様が巨大な、この広場全体を包み込む魔法結界を発生させる。
魔法結界は魔力や、魔力で生み出された事象を阻む性質を持つ。
だからこのように場を包み込むことで、逆に魔力の発散を抑え、魔法の威力を高めることもできる。
それは敵――アリス・アインス側にとっても同じだけれど、ベルゼビュート様が軍人たちの対魔法結界を無効化させる為に必要なことなら仕方がない。
ベルゼビュート様は、続けて何がしかの詠唱を始める。
同時にレヴィアタン様が銃弾も届かないくらい空高くに飛び上がり、上空から前衛組の様子を見守る。
いざ負傷すれば、【瞬間移動】で結界内へ退避させる為だ。
前衛組は、土塁に隠れながら少しずつ前に進む。
あの、無数の弾をバラ撒く備え付け銃は1挺しかないから、土塁を選べば前進は可能。
問題は軍人の方だけれど、あの小銃は連射が出来る一方で、数発毎の弾込めは必要らしい。
そして僕は、アリス・アインスの【炎の矢】を無我夢中で【収納】し続ける。
それでもときどき致命的な取りこぼしがあって、そういうものはノティアとバルベラさんが【魔法防護結界】で防ぐ。
そんな危うい均衡を保ったまま、数十秒ほどが経過して、
「【付与破壊】ッ！！」
ベルゼビュート様が唱えると同時、結界内全体が一瞬、パッと白い光に包まれた。
「よし！ 行け、クリス！」
「は、はい！」
僕の目の前にレヴィアタン様が現れ、
「やつらの背後に転移するわよ！」
「はい！」
返事をするや否や、ぱっと目の前の景色が切り替わる！
目の前には、僕らに気づかないまま射撃を続けている軍人たちの姿！
僕は両腕を突き出し、ありったけの魔力と祈りを込めて、
「【無制限収納空間】ッ！！」
果たして――――……
