私は、リーダー格らしき獣耳の二人に対して、手榴弾を投げつけた。

この手榴弾は「壺型手榴弾」と言われているが、一般的には「手榴弾」と呼ばれる。新入生に最初に三個渡される手榴弾である。


「──ッ!!」
「お前ら!! 伏せろ!!」


二人は私の投げた手榴弾にいち早く気付き、“十三年式村田歩兵銃”を持っていた一人が手榴弾を空中で撃ち抜き、爆発した。

「ちょっと危ないじゃない!」
「今、撃ち抜か無かったら危うく重傷だったよ」

「先輩が撃ち抜いてなかったら、あたしらは怪我をおってたよ」
「そうっすよ! マジで危なかったっす!」
「危ないことは、や、やめてくだ……さい」
私たちにヤンキーはそう文句を言ってきたが、あなたたちが言える立場かと心の中でそう呆れていた。

「あなたたちこそ、こんな市街地で一体何をしてるのよ。こんなこと今すぐやめて」
「そうだよ! みんなが迷惑するから今すぐに止めてよ!」
私たちは少しずつ近付きながら、怒っているヤンキーたちに止めるように説得した。

「それは出来ない相談だね」
「うん、出来ない……相談……」
獣耳ヤンキー二人はそう私たちに言った。
「あたしらは、やらなきゃいけないことがあるんだ」
「姉御の言う通りっす」
「す、すみませんがそれは、む、無理です~」
獣耳ヤンキー二人に続いて、残りの三人もそう言った。

「なら、力ずくで止めるしかないね」
私はヤンキーたちにそう言った。

すると、ヤンキーたちはこう返してきた。
「「「「なら、やってみな!!」」」」
「やってみて下さい!!」
一人だけなんか、か弱そうな声が聞こえたけど……まあいっか。

「それじゃあ、背中は任せたよキク!」
「了解だよ」
そして、私たちは再び走り出した。