朝は電車に乗り、駅で落ち合って学校までを歩く。


 教室に入ると、いろんな人に挨拶をして、私と旭の席の周りに集まってきたクラスメイトたちと喋る。


 つまらない授業は真面目に聞くときもあれば、寝るときもあり、隣の旭と絵しりとりなんかしたりした時もあった。


 面白い授業は他の人に便乗してたくさん先生をいじる。


 黙食とか言われていたけれど、先生の目の届かない穴場に行き、たくさん喋りながらお昼ご飯を食べた。


 ひとりで食べるより何倍もお弁当が美味しかった。たまに男子の誰かが購買で買ってきてくれるメロンパンをもらう。


 週替わりの定食にバターチキンカレーがあるときは、食堂へ。みんなだいすきなやつだ。

 
 部活は仲のいい子たちに誘われて、ダンス部に入った。最初の頃、躊躇わずに部活見学に行けば、友だちもできていたんじゃないかと少し後悔もした。

 
 だが、私の学校のダンス部はみんな明るくて、あまり厳しすぎることもなく、楽しかった。中学の頃入っていたバスケ部で厳しい練習はもう懲り懲りだったから、ちょうどよかった。


 放課後に部活がない日は、学校帰りに寄り道もした。


 仲の良かった女子だけや、旭たちも誘って男女で遊んだり。私は昔から男友だちが多いほうではなかったから、これも新鮮だった。


 コロナのせいで行きたいところに行けないことは多かったけれど、ただ喋るという時間がなにより楽しかった。


「3、2、1……」


 スマホのカメラにカウントダウン機能をつけて全員一斉に飛べば、綺麗に空中で静止したような写真が生まれる。


 2年生の夏、10人程度で海に行き、そんなものを撮った。SNSに『#アオハル』『#JK』の文字と一緒に載せた瞬間は、とても感慨深く思えた。自分が高校生を楽しんでいるという実感が湧いた。


 何気ないけど幸せな毎日を、ただがむしゃらに駆け抜けた。