当たり前に友だちと過ごす周りの人たちがすごく羨ましく見えて。私だけが置いていかれたような感覚が辛かった。


 最初に友達づくりの機会を逃したことを酷く悔やんだ。今更話しかけてもいいのか、という不安がだんだんと膨れ上がり、余計に尻込みしてしまう。


 どこにいても、何をしていても、いつもどこか息苦しい。どうにかしたいのに、どうにもできない焦燥が募る。


 想像していた高校生活はもっと毎日がキラキラしているはずだったのに。


「でね、そのドラマの俳優さんがめっちゃかっこよくてね。……あ、ごめん、春原さん、椅子使っちゃってた!」


 元々の席で私はすごく仲の良さそうな女子五人グループのちょうど真ん中に位置していた。休み時間に私の席を使われることもしばしば。


「大丈夫、気にしないで」


 自分の席に座れない休み時間はひたすらトイレにこもった。授業中の周りのアイコンタクトは気付かないふりをした。


 ――大丈夫、気にしないで。そのドラマ私も好きだよ。混ぜてもらってもいい?


 なんて言えてたら、私がこんなに悩むこともなかったんだろう。


 あと一歩踏み出せない自分が嫌いだった。


 もっと深刻な悩みがある人からすればちっぽけに思えるかもしれない悩みが、私を苦しめていた。


 



 でもその日、先の見えなかった闇の中に一筋の光が差したのだ。