「遊びに来ちゃいました」
玄関から顔を覗かせたおばさんにヘラッと笑う。
__幽霊の秋雄はいますか?
なんて、さすがに言えない。結局、手土産を持ってただ遊びに来たように振る舞うことにした。
「あら、嬉しい。入って」
優しく微笑んでくれるおばさんにホッとしながら玄関に足を踏み入れる。前回のように波立つことのない心は、少しづつ過去と向き合えている証拠だろう。
「これ、信濃レッドを使ってみたんですけど良かったら」
「あら! アップルパイじゃない!」
昔からアップルパイが好きな秋雄とおばさんの為に、家を訪ねる時には必ず手土産にしていた。そのことを思い出した私は久しぶりに朝から作ってみたのだ。
「お茶淹れるわね」
鼻唄を歌いながら紅茶を淹れてくれたおばさんと、ダイニングテーブルの椅子に向き合って座る。一緒にお茶をするのは、秋雄が生きていた時以来だ。
「美味しい!」
お皿に乗ったアップルパイを、幸せそうに頬張るおばさんを見ていたら私まで幸せな気持ちになる。
「夏実ちゃん特製の手作りアップルパイは本当に最高よね!」
「良かった」
ホッとしながら一口頬張ると懐かしい味がした。材料は冷凍のパイシートと農園の林檎ジャム。私が作ったのはカスタードクリームだけだから、あまり自賛はできない。
「一緒にティータイムを楽しめるなんて本当に幸せ」と、微笑むおばさんに気づかされる。
アップルパイなんて簡単に作れるのに。この家にだってすぐに来られる距離なのに。それをこんなにも喜んでもらえるのならば、私はもっと早くおばさんにこうして会いに来るべきだったのではないだろうか。
玄関から顔を覗かせたおばさんにヘラッと笑う。
__幽霊の秋雄はいますか?
なんて、さすがに言えない。結局、手土産を持ってただ遊びに来たように振る舞うことにした。
「あら、嬉しい。入って」
優しく微笑んでくれるおばさんにホッとしながら玄関に足を踏み入れる。前回のように波立つことのない心は、少しづつ過去と向き合えている証拠だろう。
「これ、信濃レッドを使ってみたんですけど良かったら」
「あら! アップルパイじゃない!」
昔からアップルパイが好きな秋雄とおばさんの為に、家を訪ねる時には必ず手土産にしていた。そのことを思い出した私は久しぶりに朝から作ってみたのだ。
「お茶淹れるわね」
鼻唄を歌いながら紅茶を淹れてくれたおばさんと、ダイニングテーブルの椅子に向き合って座る。一緒にお茶をするのは、秋雄が生きていた時以来だ。
「美味しい!」
お皿に乗ったアップルパイを、幸せそうに頬張るおばさんを見ていたら私まで幸せな気持ちになる。
「夏実ちゃん特製の手作りアップルパイは本当に最高よね!」
「良かった」
ホッとしながら一口頬張ると懐かしい味がした。材料は冷凍のパイシートと農園の林檎ジャム。私が作ったのはカスタードクリームだけだから、あまり自賛はできない。
「一緒にティータイムを楽しめるなんて本当に幸せ」と、微笑むおばさんに気づかされる。
アップルパイなんて簡単に作れるのに。この家にだってすぐに来られる距離なのに。それをこんなにも喜んでもらえるのならば、私はもっと早くおばさんにこうして会いに来るべきだったのではないだろうか。