__どうせ、わからないくせに。
ふと、浮かんだ言葉がこの心の中で蠢いている。
「大人になると、他人の気持ちなんて理解できないことに気づくんだよ」
「え?」
首を傾げる秋雄は純粋な目をしている。その瞳には、二十二歳の私は酷く汚れた人間に映るのかもしれない。
「多くの人と接っすると理解されなくて傷つくことが沢山ある。そして気づく。お互いに分かり合うことはできないって。だから、哀れみも同情も心の籠らない口だけの言葉に聞こえてしまう」
「でも、大事なのは理解しようとする姿勢だろ? そうすれば、いつかは分かり合える「かも」しれない」
「「かも」なんて確率に掛ける時間が勿体ないし、その確率の為に傷つきたくないんだよ。だから深く関わることなく上辺だけの付き合いが多くなる」
大人になればなる程、傷つくことに臆病になる。だから、何かあっても傷つくことがないように相手に深入りするとこなく上辺だけを優しくなぞるような関係しか築けなくなる。
「……ふむ」
何かを考えているかのように黙りこむ秋雄には、わからない話だろう。鎧を身につけて他者と対等な位置に登りつめる苦労も、ふとした会話でマウントを取り合う心理も。
「俺は、その考え方はやっぱり勿体ない気がするな。だってさ、最初の印象が悪いのに知れば本当は凄い良い奴で最終的には仲良くなってたりすることもあるだろ?」
「まあ、確かに秋雄も最初は苦手分野の人間だったしね」
「俺だって、お前とは仲良くなれないと思ってたわ」と、二人顔を見合せるとプッと同時に噴き出す。
__いつもクラスの中心にいた秋雄。
__いつもクラスの端にいた私。
正反対の私達は親友となり恋人となった。そのきっかけは、間違いなく秋雄が勇気を持って私の殻をそっと優しく叩いてくれたから。
ふと、浮かんだ言葉がこの心の中で蠢いている。
「大人になると、他人の気持ちなんて理解できないことに気づくんだよ」
「え?」
首を傾げる秋雄は純粋な目をしている。その瞳には、二十二歳の私は酷く汚れた人間に映るのかもしれない。
「多くの人と接っすると理解されなくて傷つくことが沢山ある。そして気づく。お互いに分かり合うことはできないって。だから、哀れみも同情も心の籠らない口だけの言葉に聞こえてしまう」
「でも、大事なのは理解しようとする姿勢だろ? そうすれば、いつかは分かり合える「かも」しれない」
「「かも」なんて確率に掛ける時間が勿体ないし、その確率の為に傷つきたくないんだよ。だから深く関わることなく上辺だけの付き合いが多くなる」
大人になればなる程、傷つくことに臆病になる。だから、何かあっても傷つくことがないように相手に深入りするとこなく上辺だけを優しくなぞるような関係しか築けなくなる。
「……ふむ」
何かを考えているかのように黙りこむ秋雄には、わからない話だろう。鎧を身につけて他者と対等な位置に登りつめる苦労も、ふとした会話でマウントを取り合う心理も。
「俺は、その考え方はやっぱり勿体ない気がするな。だってさ、最初の印象が悪いのに知れば本当は凄い良い奴で最終的には仲良くなってたりすることもあるだろ?」
「まあ、確かに秋雄も最初は苦手分野の人間だったしね」
「俺だって、お前とは仲良くなれないと思ってたわ」と、二人顔を見合せるとプッと同時に噴き出す。
__いつもクラスの中心にいた秋雄。
__いつもクラスの端にいた私。
正反対の私達は親友となり恋人となった。そのきっかけは、間違いなく秋雄が勇気を持って私の殻をそっと優しく叩いてくれたから。