__啓太とは、二年の交際を経て今年の正月に婚約した。

 私より四歳上の彼。大手企業のエリート営業マンで多忙な生活をしている。
 会うのは月に二回。どこかで食事をしてお互いの近況報告をする。私も学業にバイトと忙しくしているし一人の時間も必要だ。だから彼との距離感は心地よかった。

 “__秋頃、籍を入れない?”

 しかし彼がそう言ったのは三日前のことだった。
 彼は二十六歳。結婚適齢期。私は二十二歳。就職先も決まってはいないし、これから決まる見込みもない。やりたいこともないし、ならば永久就職という言葉に流され安定を手に入れることが妥当だ。

 それに元々、私が大学を卒業したらそのうち籍を入れることにはなっていた。それが早まったのは、就職の決まらない私を見て心配してくれた彼の計らいだろう。ならば答えは既に決まっているはずなのに……。

 “__今はまだ忙しいから”

 そう言って、逃げるように実家に帰省しただなんて両親には言えない。
 彼に不満があるわけではない。結婚したくないわけでもない。なのに私は頷けなかった。