中学卒業を機に生まれ育った長野を飛び出した私は東京の全寮制の高校に入学した。その後も地元に帰ることなく現在は三流大学の四年生。しかし夏休みに入っても就職先は未だに決まってはいない。
正直、学業も就活もそれなりにしか励んではこなかった。その結果が現実だ。地元に戻りたくがない為に努力しているふりをしてきただけ。
私は母に嘘をついた。
正直、何もやる気にはなれない。ただ流されてしまいたい。時間に。他人に。全てに……。
ふと脳裏に広がるのは秋の色。夕焼けの赤よりも濃い紅の色。まだこの胸がザワザワと騒ぎ出す。
「どうしたの?」
駅の階段を一緒にキャリーバッグの取ってを持ちながら下る母が首を傾げる。
「……何でもない」
「そう? 何か顔色が悪いみたいだけど」
「ちょっと最近体調が悪くて。この日差しにやられたのかも」
「大丈夫なの?」
「うん、まあ」
寝不足のせいなのか最近体調が優れない。
それに長野は避暑地だなんて思っている人が多いけれど、それは軽井沢とか白馬とか山の方だけの話。むしろ長野市内は湿気が少ないだけで東京よりも日差しが強い。
__今年は特に。
そう感じるのは心理的な問題なのかもしれないけど、間違いなくこの熱さに疲労感が増す。
正直、学業も就活もそれなりにしか励んではこなかった。その結果が現実だ。地元に戻りたくがない為に努力しているふりをしてきただけ。
私は母に嘘をついた。
正直、何もやる気にはなれない。ただ流されてしまいたい。時間に。他人に。全てに……。
ふと脳裏に広がるのは秋の色。夕焼けの赤よりも濃い紅の色。まだこの胸がザワザワと騒ぎ出す。
「どうしたの?」
駅の階段を一緒にキャリーバッグの取ってを持ちながら下る母が首を傾げる。
「……何でもない」
「そう? 何か顔色が悪いみたいだけど」
「ちょっと最近体調が悪くて。この日差しにやられたのかも」
「大丈夫なの?」
「うん、まあ」
寝不足のせいなのか最近体調が優れない。
それに長野は避暑地だなんて思っている人が多いけれど、それは軽井沢とか白馬とか山の方だけの話。むしろ長野市内は湿気が少ないだけで東京よりも日差しが強い。
__今年は特に。
そう感じるのは心理的な問題なのかもしれないけど、間違いなくこの熱さに疲労感が増す。