「サラダだけって兎じゃないんだから」と、口を尖らせる母に苦笑する。
「東京だと割りと普通だよ」
「もう。東京東京って」
周りの女の子達はお昼にコンビニの千切りキャベツやサラダチキンを食べている。小腹が空いたらナッツやドライフルーツを摘まむ程度。その中で、自分だけ平気で高カロリーの物を食べる程に空気が読めない人間ではない。
「本当に、もう食べないの?」
「うん」
サラダを完食するとキッチンで洗い物を済ませ、すぐに自分の部屋に戻る。勉強机の上に置きっぱなしにされていた秋雄の生徒手帳を手にとると、ベッドに腰を下ろしながらゆっくりとページを開いた。
“__八月三日。ナツ”
九年前の今日の日付には私の名前が書かれている。しかし何をしたのか記憶には残っていない。恐らく、それだけ他愛もないことをしていたのだろう。
結局、私達の関係は彼氏彼女という名前をつけたところで以前と何も変わらぬ距離感だった。幼すぎたし、何より交際期間はたったの……。
「……あ」
そこでふと思い出した。私は、写真をもう一度缶の箱から取り出すと枚数を数える。
「……十一」
その数字は、私達が彼氏彼女として過ごした日数と同じ。
「東京だと割りと普通だよ」
「もう。東京東京って」
周りの女の子達はお昼にコンビニの千切りキャベツやサラダチキンを食べている。小腹が空いたらナッツやドライフルーツを摘まむ程度。その中で、自分だけ平気で高カロリーの物を食べる程に空気が読めない人間ではない。
「本当に、もう食べないの?」
「うん」
サラダを完食するとキッチンで洗い物を済ませ、すぐに自分の部屋に戻る。勉強机の上に置きっぱなしにされていた秋雄の生徒手帳を手にとると、ベッドに腰を下ろしながらゆっくりとページを開いた。
“__八月三日。ナツ”
九年前の今日の日付には私の名前が書かれている。しかし何をしたのか記憶には残っていない。恐らく、それだけ他愛もないことをしていたのだろう。
結局、私達の関係は彼氏彼女という名前をつけたところで以前と何も変わらぬ距離感だった。幼すぎたし、何より交際期間はたったの……。
「……あ」
そこでふと思い出した。私は、写真をもう一度缶の箱から取り出すと枚数を数える。
「……十一」
その数字は、私達が彼氏彼女として過ごした日数と同じ。